イエメンでは、鶏肉はとりや、山羊の肉と牛の肉は肉屋で売られています。鶏肉は、もちろん生きた鶏を売っていて、その場で絞めて内蔵出してもらっていただくのが基本。これは二年前にもご紹介済み。まだ生暖かい鶏肉を自分で細かく切っていくのがどうも苦手で敬遠しがちです。山羊の肉は臭いので買ってまで食べません。牛の肉も痩せた子牛ゆえに気の毒でそこまで強欲になれず買ってまで食べません。
今日はその肉屋の写真をご紹介します。ずーっと撮りたかったんだけど、死んで逆さに吊るされているお顔つきの子牛の写真を撮るのも不謹慎な気がして気が引けていたのですが、遂に入手したので。そう、イエメンでは牛肉は肉屋の前で吊られて、吊るされた体から肉が削がれて切り身として売られていくのです。そして、その横には生きた子牛や山羊が餌を食べている。ドナドナの世界。肉は生きた動物を殺してようやく人間が食べられるんだ、ってことを見たまま教えてくれています。でも、顔つけておくこと無いんじゃないかとも思うけど。
なんで改めてこんなこと書いてるのかというと、イエメンに大量に持ち込む親父週刊誌の中に「屠畜と食育」という記事があって、最近の子どもはパックにされた切り身の肉を肉だと思っていて「肉を食べることは、動物のいのちを食べ物にすること」を知らない子が増えていて、テレビでも野菜や魚を扱う築地市場は放映するけど、肉を扱う芝浦屠場はドキュメンタリーでは扱えない。なぜなら、屠畜には差別問題が絡んでいるから、見ないふりされているから、ということ。で、イエメンに目を転じてみれば、肉屋は毎日の通勤路の途中で大通りに面して肉を吊るしているって対照的だなぁと思ってのこと。ちなみにさすがに絞めるのは表では見たことは無い。イエメンでは、ハラーレというイスラムの教えに基づいた神聖なる絞め方の手順があるのですが。