人生ブンダバー

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【臨時増刊】新日本フィル第499回定期演奏会

2012-09-20 05:00:00 | 音楽

9月15日(土) 三連休の初日。まだ残暑ともいえない真夏の暑さが続いている。
9月から新日本フィルの2012-2013年シーズンが幕開けした。トリフォニー・シ
リーズ第2日を聴いた。

午後1時30分きっかりにアルミンクがラフな服装で登場、恒例のプレ・トークが
始まった。通常は第1ステージの現代曲について、解説されることが多いが、こ
の日はブラームスのドイツ・レクイエムについて行われた。興味深かった。
(アルミンクはドイツ語。通訳付き。)

○演奏にあたっては、楽譜が大切だが、その他に、作曲者が当時何を考えてい
 たか?作曲者がどのような演奏をしたか?ということが参考になる。
○文献としては、ジークフリート・オックスというブラームスのアシスタントをしてい
 た合唱指揮者によるものやウィーン楽友協会の楽譜係によるものがある。
○ウィーン・フィルのパート譜・・・・・・1871年初演以来1980年まで使われていた。
○ブラームスの演奏は、近年よりも速かった。第1曲目は、カラヤン12分に対し
 てブラームスは8分だった。ただし、楽譜に書かれていないテンポ・ルバートが
 行われている。これは歌詩の内容を強調するためである。
○ブラームスは、中音域--ヴィオラ、アルト、テノールなどを大切にしており、
 そこがハッキリ出るように書いた。
○念のためにいえば、これらの検証は作曲家の意思を尊重することであって、
 コピーを作ることではない。
○一般にレクイエムといえば死者のためのミサを意味するが、ブラームスは生き
 残った人々への慰めの音楽を書こうと思ったようだ。


<プログラム>
1.B.ブリテン イリュミナシオン(1939)
2.J.ブラームス ドイツ・レクイエム(1868)

指揮;C.アルミンク
ソプラノ;リーサ・ラーション(1、2)
バリトン;ロベルト・ホルツァー(2)
合唱;栗友会合唱団
合唱指揮;栗山 文昭
コンサートマスター;豊嶋泰嗣

1.B.ブリテン イリュミナシオン(1939)
 初めて聴く曲。タイトルを見て、まったくの現代音楽かと勝手に思い込んでいた
ら、A.ランボーの「イリュミナシオン」という詩にブリテンが作曲した歌曲だった。知
らなかったが、ヴェルレーヌと関係した詩も出てくる。この曲が作曲された1939
年といえば、平和主義者のブリテン(--ブリテンは英国人である。)がアメリカ
に住んでいた頃である。
 ソリストはスウェーデンのソプラノ。Wikipediaによれば、1967年生、今年45歳
になる。キャリアをチューリヒ歌劇場でスタートさせ、アーノンクール、ウェルザー
=メストらと共演。スカラ座ではムーティー指揮でパパゲーナを歌っている。歌詩
はA.ランボーのフランス語なので、プログラムの歌詩対訳を見ても、なかなかど
こを歌っているのか分からなかった(笑)が、L.ラーションは透明なすばらしい声
だった。

2.J.ブラームス ドイツ・レクイエム(1868)
 1のフランス語から一転して、ドイツ語の世界。ともに40代の、L.ラーションとR.
ホルツァーの二人のソリストがすばらしかった。余談だが、歌手は、一概にはい
えないが、声の響きという点では40代がいいのではないかしらん。
 R.ホルツァーは、1963年生、今年49歳、ブルックナー大学、ザルツブルク・モ
ーツァルテウムに学び、ザラストロ(魔笛)、ロッコ(フィデリオ)、フィリッポ2世(ド
ン・カルロ)、オックス男爵(薔薇の騎士)などを得意としているようだ。ホルツァー
はオーストリア人のようだが、L.ラーションともにドイツ語の発音、歌唱がすばら
しかった。

 一方、栗友会合唱団は、女声約85人、男声約60人の大合唱団。テノール、バ
スは半々かな。声も大変いいし、パートもそろっており、ガナる人もおらず、その
点はさすがであるが、いつものように、いくら耳をそばだてても子音が聴こえな
い。録音の悪いCDを聴いているようだ。ドイツ語で子音が聴こえなければ言葉
が分からない。たとえば、第1曲出だしの Selig sind ズィーリッヒ・ズィントゥが
ズィーリー・ズィンに、第3曲 keine Qual カイネ・クヴァルがアイネ・クヴァルに
聴こえる。(あくまで私、個人的には)栗友会のドイツ語にはいつも満足できない
部分が残る。ラーションやホルツァーのソロでは見事な子音が聴こえるので、ホ
ールや座席のせいではないだろう。アルミンクは何も言わないのかしらん。それ
ともあえてそうさせているのかしら。分からない。p なら p なりに、f なら f なりに、
合唱として、ドイツ語の子音を美しく響かせてもらうとうれしいのだが・・・・・・。

 アルミンクの演奏は、彼自身ウィーン生まれということも関係するのかしないの
か、子音を強調しない合唱のせいか、峻厳さより柔らかさを感じさせるブラーム
スであった。それにしても名曲!、ブラームスはいいですね~。







トリフォニー・ホール 右の絵は石丸寛氏の作品


同上 葛飾北斎の絵






錦糸町駅前 東京スカイツリーはいずこ?





東京スカイツリーは錦糸町駅から徒歩20分



秋祭りの季節 


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