映画「ブルージャスミン」を見てきました。
いやあ.....これはある意味コメディでしょう。あ~面白かった。
美しくノーブルなケイト・ブランシェットが主人公ジャスミンの転落人生物語を熱演いや快演しています。
ウッディ・アレン監督も、これに抜擢するって相変わらず残酷でわかってるね。
NYから妹の住む西海岸の家に転がり込む最初のシーンで、ああ、と思いました。
タクシーが着いたアパートの前の道路。車道と歩道の段差のところはデコボコなのか汚い水たまりになっています。
日本は道路キレイな方だけどアメリカはこういうところすごく雑。
でもこのシーンだけで、ああ高級な地域じゃないなとわかります。
すっからかんなはずのジャスミンですが、美貌な上にお召し物と荷物が贅沢なので、タクシードライバーはジャスミンの
命じるままに待ったり荷物運んじゃったりします。
それくらい立ち居振る舞いとオーラがゴージャスだったのでしょう。
イジワルな視線は細部まで行き届き、これでもかと対比させます。
元セレブリティーの姉ジャスミンと何から何まで安っぽい妹ジンジャー。
エルメスのバーキンと格安モールで売ってそうな大きなバッグ。
英語も、アッパーイーストサイドの気取った話し方と口許ゆるゆるのだらしないしゃべり方。
プロの手のかかったキレイな肌と、生活の疲れが表れた肌。
ジャスミンの過去と今。
主人公ジャスミンはいつもご機嫌ななめです。
わたしがこんな目にあうはずない、これは何かの間違いだと常に現実逃避してますからね。
どっかで反省して気づくのかな?という観客の期待(?)はことごとく砕かれます。
救いがあるとすれば、妹ジンジャーと彼氏がチープだけど良い人たちなことでしょうか。
ダメダメ感満載ですが、相手を許し身近にある幸せにすぐ浸れる。これ大事。
だからといって、啓蒙的要素はゼロなところがまた小気味いい。
ケイト・ブランシェットのお洋服は全編とても素敵です。
設定上着たきり雀なので、質の良いものを「もたせて」着るわけです。
シャネルのジャケットやミッソーニ(たぶん)のカーディガンは、普段使いではこう着るのね。
色味もベージュ、スモーキーグレー、オフホワイト、淡いミントグリーン、などの微妙で着こなしのむずかしいものばかり。
わたしはほとんどトライしたことない色だけど、なんだかおしゃれ心がかきたてられました。あ、ヒントだけね。
虚栄の象徴としてのファッションですが、それしかなければそれはリアルクローズ。
高そうなワンピースに脇汗までかかせて、ウッディ・アレンってホント意地悪。
彼女はこれでアカデミー賞主演女優賞獲りました。
授賞式見てる時点ではまだどの映画も見てなかったので「ふーん」という感じでした。
その後「アメリカン・ハッスル」見たらエイミー・アダムスでもよかったのにと思い、さらにその後「8月の家族たち」見たら
メリル・ストリープでも、と思いました。
が、この鬼気迫るケイトはやはり主演女優賞に値しますね。
でも女優さんってたいへん。
映画のチラシには、辛酸なめ子さんの秀逸なイラスト&文が。
ちなみに辛酸なめ子さんは中高の後輩です。この変わり者加減....よくわかります.....。