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メイキング・オブ・マイマイ新子

映画「マイマイ新子と千年の魔法」の監督・片渕須直が語る作品の裏側。

のりものウンチク

2009年11月02日 11時32分51秒 | mai-mai-making
 予告編でも紹介されている、貴伊子が三田尻へやってくるシーン。
 C59-164号機はこの当時、山陽本線に実在していた機関車です。特急用じゃないのでランボードの白線はなしです。
 ついでにいうと、このもうもうとした煤煙は、『ブラック・ラグーン』の背景から雲だけを切り出したものです。それを黒っぽく染めて、何層にも重ねて使っています。
             
 そして、列車そのものは、東京駅13時ちょうど発の急行『雲仙』です。貴伊子は父といっしょに8時間揺られて三田尻に着いたことになります。
 ということで貴伊子の到着シーンは朝8時台です。だとすると光の向きが実際とは違っちゃうのですが、そこは映画ですから効果優先でわざとやってます。
             
 昭和29年には特急『かもめ』も誕生しているので、はじめはこれに乗ってきたことにして「いやあ、トンネルばっかりでまるで特急『カラス』か『ふくろう』だったでしょう」と冗談いわせてみようとも思ったのですが、残念なことに特急は三田尻通過でした。
 でもって、貴伊子たちが乗って来た客車は、寝台車ではなく、リクライニングシートの特別二等客車スロ51だったのでした。山陽本線の電化よりもリクライニングシートの方が早かったというのは、ちょっとおもしろいです。
 窓の下の青帯が二等車の印です。監督は昔、赤帯の三等車になら乗ったことがあります。
             
 機関車や客車は、こちらでデザイン設定図を起こすことなく、実物の図面を国会図書館などで手に入れて、それを元に直接絵を描いてしまっています。
 列車の様子は、昭和33年の松竹映画『張込み』なども参考にしています。

 映画の舞台は山口県防府市なのですが、駅の名前はこの頃は「三田尻」です。昭和37年になって「防府」駅と名前が変る、その前なのです。
             
 その駅前に貴伊子たちを迎えにやってくる紡績会社の社用車は、トヨペット・クラウンの初代タイプ。
 トヨペット・クラウンを描くためには、演出の香月さんが愛知県のトヨタ博物館まで実車を取材に行ってくれています。
 この車種は昭和30年に新発売されたばかりです。
 ピカピカな感じを出そうと、処理を工夫してみました。
             
 そのクラウンが通りかかる天神銀座前の交差点。ここには昭和33年になってはじめて防府で第一号の交通信号が立ちます。ということで、昭和30年の防府は道路に信号がひとつもない世界だったのでした。
             
 商店街入り口右側の山口銀行は建物が新しくなっていますが、左側の権太寿司は今でもあります。
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