“カ・ノ・ン”

映画を見た後の余韻をしたためて。。。カノンの旋律のように・・・♪

「父と暮らせば」

2005-03-15 | Movei
監督:黒木和雄
出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信
原作:井上ひさし
製作:2004年
鑑賞:2005年3月15日

<Story>
 原爆が落ちて3年後の昭和23年、夏の広島の火曜日から金曜日までの物語である。
図書館に勤める福吉美津江(宮沢りえ)は愛するものたちを一瞬の閃光で失い、自分一人が生き残った負い目に苛まれながらひっそりと暮らしていた。美津江の勤める図書館に大学で助手をする予定になっている木下正が現れる。木下に好意を寄せる美津江の元に原爆で亡くなった父竹造(原田芳雄)が現れ、「恋の応援団」と称し、美津江の閉ざした心を開けようと努力していく。。。

 kanonの評価:♪♪♪♪(♪:1点)

 出演者はわずか3人、それも木下は少し顔を出すだけで全く台詞がない。二人芝居と言ってもいいほどである。舞台も竹造が残した小さな旅館(原爆でぼろぼろになったのを住むことが出来るようにしたあばら家)がほとんどで、そこで父が娘の心を開けようと二人の台詞オンリーの芝居が始まる。
台詞で原爆の悲惨さや心を閉ざした状況を慎ましやかだが凛とした雰囲気で話す宮沢に対し、コミカルでおどけてみせる原田との二人の台詞のやり取りがすばらしい!
原爆投下後の「ヒロシマ」の風景を作られた映像ではなく、当時の写真や原爆の図で表している。

<Comment>
 まず、驚いたのは出演者が二人だけで(浅野さんはほんの少しで台詞もない)構成されていることだ。当時の悲惨さは今まで映画(「黒い雨」「蛍の墓」など)たくさん描かれてきたが、この映画のように二人だけの「言葉」の中に「悲惨さ」があるのをはじめて見た。昨今、「ヒロシマを語り継ごう」と被爆者たちがあちこちで講演しているが、その物語を聞くような雰囲気だった!
 また内容が内容だけに、重苦しい雰囲気を原田さんの軽妙な台詞回しがコミカルに描かれて、重い内容だが、「映画を見て幸せな気分」にさせてくれている。
 本当に宮沢さんの演技はすばらしい!としか言いようがない! 台詞の中に「気持ちが込められ」あたかも、その現場を映像で見ているかのようである。 原田さんの演技は言うまでもないが、軽妙な台詞回しは「原田さん以外は誰も真似できない」と言いたい!

 宮沢さんは華奢な体つきであるのに、CM(お茶)や「たそがれ清兵」での着物姿にいつも色気を感じてしまうのは「彼女の心」のあらわれであろうか?

 浅野さんは3日前に「殺し屋1」で見せたエキセントリックな表情とは裏腹に「真面目で誠実な青年」をただ立っているだけなのに演じていることが凄い! 改めて浅野さんの演技力に完敗した。

 子供の頃、広島と長崎に旅行に行ったことがある。原爆ドームも平和公園も原爆記念館も行った。劇中ではあまり悲惨な資料は描かれていなかったが、目を覆う絵や写真、資料が山のようになり、怖くて泣きそうになったことを思い出す。
 少しでもそのような資料を目にしたものは、美津江の話す言葉からその光景を思い浮かべるに違いない。
ある意味、現実の悲惨さを見せない手法の方がより効果的に「悲惨さ」を出しているのかも知れないと思った。

このような映画はやはり単館でしか上映できないかも知れないが 、岩波ホールは再上映する理由はわかる。
岩波ホールといえば、今日は平日(火曜日)の朝一に行ったのだが、上映30分前にはほぼ満席になっていた。岩波のご贔屓さんはやや年配の方が多いのはよく知っていたが、今回も年配のご婦人やご夫婦で満席となっていた。
以前「おばあちゃんと一緒」「山の郵便配達」を見に行ったときには補助席(とっても混んでいて)だった。補助席はとってもお尻が痛かったが、今回は普通の席で「岩波も悪くない」と思ってしまった(笑)

 このような映画をたくさんの方がご覧になり、戦争の悲惨さを誰も二度とあじあわないような世界が早く来ることを望むしだいである。
 
 

 

キーワード
岩波ホール 山の郵便配達 原爆ドーム 小さな旅館 井上ひさし 父と暮らせば
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コメント

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ありがとうございました! (kanon)
2005-03-16 16:33:14
★cyazさま



TB 3つもいれてくださりありがとうございました。

改めて3つ読ませていただきました。

cyazさんのお話はいつ読んでも 楽しいし、ためになることばかりで、

文章も旨いですね(若輩者が失礼おば。。。)



このような映画が「岩波」だけでなく、日本どこでも見ることが出来る

ように配給してほしいと願います。



また宮沢さんはすばらしいですね。

「トニー滝谷」も良かったと知り合いが言ってました。

この舞台挨拶を見に行ったそうですが、あまりにもお痩せ過ぎていて。。。

「りえちゃん、大丈夫なの?」と思わず声かけたくなったそうです(++)

ある程度は仕方ないとしても、りえさんは以前は普通体系だっただけに。。。

ただ いいお仕事に恵まれていらしゃるし、それの評価もよいので

大丈夫だと思うのですが。。。

やはりアデクションを直すには困難があるかと。。。

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