老麗・美しく老いる

「美しく老いる」を余生の目標として、そのあり方を探る。

派遣切り

2008-12-26 00:06:32 | Weblog
「派遣切り2万人」、
ジャーナリストは造語の名手だ。
しかし、厭な言葉だ。
この言葉を聞く度に、
私は、
責められているような気がする。

会社の経営の一部に携わっていた時、
労働者派遣法に基づく派遣会社からの派遣社員を
使用することを積極的に推進してきた。
寧ろ、一般職種への法改正を歓迎していた。

安い賃金で、しかも、必要な時に、
必要なだけ提供を受けることが出来る。
不必要になればいつでも断れる。
こんな便利な労務管理は、
自社では到底不可能だったから。

当時は、派遣社員もプライドがあって、
こっそり「わが社に正社員として就職しないか」
と水を向けてみたが、即座に拒否された。
「私は、三十歳になるまでは、色々経験して、
自分に最もあった仕事を見つけるつもりです」
と聞いた時、
それはそれで立派な考えだと思った。

労働者派遣法は「人」を商品化したわけで、
体裁の良い奴隷のようなものだ。
不況になればこうなる事は、
初めから明白であった。

ハルシオン

2008-12-25 20:28:10 | Weblog
都会のど真ん中で、
「またか」と思われる事件が起こった。

報道によれば、12月24日、
元タレントの飯島愛さん(36)が
東京都渋谷区の自宅マンションで死亡していた問題で、
飯島さんは
死後約1週間が経過していたことが25日、
警視庁渋谷署の調べで分かった。


また、部屋にはハルシオン(睡眠導入剤)
など数種類の薬品があったが、
医師が処方したものだった、とのこと。

胃癌の手術の後、
私も眠れなくなって医師に入眠剤として、
ハルシオンを処方してもらった。
以降、今も0.25gを時々服用している。

ハルシオンを呑みて身を置く夜の闇飲み得ぬことのこの頃多し
金子 貞雄

この歌を「作風」に発表した時、
雑誌をみたら「ハルジョオン」になっていたことを思い出した。
「ハルシオン」などというものは、
健康な人は知らなくても良い薬だから、
誤植があった方が健全ということだ。


自殺細胞

2008-12-24 22:46:10 | Weblog
今年の警視庁の統計によれば、
最近の自殺者数は年間約33千人。
その内1/3が60歳以上。
原因・動機の半分が病気。
これは19年の統計だから20年、21年は
もっと顕著な現象になるような予感がする。

自殺細胞(アポトーシス)の存在を知ったのは、
私が癌になる前だったと思う。
確か、だれかの短歌の中に出てきて初めて知った。

自殺細胞は、
恐ろしい名前に反して有り難い細胞で、
壊死などの他殺細胞とは違って、
生物が成長し生き続ける為に自ら死んでゆく。

よく、
オタマジャクシから蛙になる時に尻尾が消える現象や
胎児の手の水掻きのような部分が消えて
五本の指になる現象などで喩えられる。

また、自殺細胞のお陰で癌細胞も取り除かれたり、
悪質な免疫細胞も除去するという
重要な役割も果たしていることが解ってきたようだ。
自殺細胞を利用した病気治療の方法など
これからの研究が待たれている。

一方、
人間の自殺脳細胞を除去する社会の実現は急務のようだ。

金魚の冬眠

2008-12-23 23:24:31 | Weblog
 「ヒメダカだけでは、水槽が寂しい」
 「孫が来た時、赤い金魚がいた方が良い」

等と屁理屈を付けて、
秋頃、妻が赤い和金を二匹買って来た。

水槽は一日中日の当たらない玄関に置いてあるが、
11月下旬頃だっただろうか、
金魚が水槽の底に横たわって死んでしまった。

ところが、意地悪ばあさんの妻が、
爪で水槽のガラスをコツコツ叩いたら、
何と金魚が泳ぎだした。

その後も、
時々、水槽の底に横たわることがあったが、
コツコツやると泳ぎだすので
「金魚も冬眠をするのだろう」
とそのまま様子を見て来た。

このたびインターネットで調べてみたら、
水温が10度以下になると、
金魚が冬眠状態になることは常識のようだ。
12月初旬から3月初旬頃までは、
餌も食べないから与えなくて良い。
水は蒸発した分を補充すれば良い事なども解った。

今では、孫ならぬ、意地悪ばあさんが、
底に動かなくなっている真っ赤な金魚を、
毎日のように見ている。

お年寄りの孤独死

2008-12-22 22:34:52 | Weblog
「12月20日、
JR代々木駅から徒歩1分の家から、
死後6年以上経って白骨化した男性
(生きていれば66歳)が発見された」
「独り暮らしの男性(70)が
ミイラ化した状態で発見された。
死後約8カ月」
「ワンルームマンションで老人が孤独死した。
亡くなって数ヶ月経っていた」
「都市部での高齢者の孤独死が急増している」
最近多く目にする記事だ。

今年の1月
「都市再生機構が運営する賃貸住宅約77万戸で、
孤独死が平成18年度に517人、
過去7年間で約2・5倍となっている」
という報道もあった。
孤独死は、
全国で6000人ともいわれている。

こうした社会現象に対して厚生労働省は
「孤独死を防ごうと、今春から全国100カ所に
『見守り役』を配置する新事業を始める」という。

老人の一人暮らしは無くすことは出来ないだろう。
とすれば、安心して一人暮らしが出来るシステム、
一人でも安心して死を迎えることが出来る社会システムの構築が、
これからの国の指導者に強く求められる。

ボン・ナターレ

2008-12-21 22:35:22 | Weblog
「2nd.Buon Natale 
Christmas Concert」が、
12月20日に
群馬県鬼石町鬼石多目的ホールで開催された。
観客は100人位だろうか。
8割方が小学生低学年や幼稚園・保育園児で、
大人はその父兄や親族だけの小さなコンサートだった。

主催は、30歳代の音大出身の女性三人。
動機は極めて純粋で、3人が子持ちになった時

「幼児や子供を連れて行けるコンサートが無い。
だけど行きたい。
じゃあ自分達でコンサートを開いちゃお」

とのこと。だから
「赤鼻のトナカイ」や「あわてんぼうのサンタクロース」
などの場面では、
子供が赤い帽子を被って舞台に上がり、
鈴を振ってリズムをとった。
「となりのトトロ」や「崖の上のポニョ」
では大声で歌った。 

勿論、
大人を楽しませるWhite Christmas、Amazing Graceや
オペラ曲、ピアノソロ等もあったが、
幼児に交わって幼児になった。
そして歌った。
それにしても、
ソプラノの高音域は人間技とは思えない。

まぬけ どじ ぶま

2008-12-20 23:03:00 | Weblog
エレベータに乗ったのは私一人だった。
エレベータ嬢があっちの方を見ながら
言ってくれれば良かったものを、
私と目を合わせて
「いらっしゃいませ」
と言うものだから、
私もつられて頭を下げてしまった。
何かバツの悪い思いが残って、
用も無い次の階で降りてしまった。
 
買い物をした。
小銭入れを見たら1円足りない。
近くの雑貨屋なら
「1円負けてよ」と言うのだが、
スーパーではそれは出来ない。
仕方なく1000円札でおつりを貰った。
その途端に
「レジ袋はいりません」
と言えばよかったと気がついた。
何か損をしてしまったような気がした。

電車は、
最後尾よりも最前列の車輛の方が空いてする。
電車が来る迄に少し時間があったので
、雑誌の校正に夢中になっていた。

気がつい時、
目的の電車が発車してしまった。
10両編成で短かった為に私の前まで来なかったのだ。
自分への言葉に詰まった。

まぬけ! どじ! へま! ぶま(不間)。
そんなに言わなくても。

ペットの喪中葉書

2008-12-19 22:39:51 | Weblog
今年は、ペットの喪中葉書をいただいた。

葉書の表面下半分に
「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます」
とあったから、懇意の方だったので、
一瞬「えっ!聞いていなかった」と思った。
ところが
「十六年という歳月を共に過ごした甲斐犬のソラン・
空子が五月五日にみまかりました」
とあり、
「私たち二人にとって大切な家族の一員でありました」
とあった。
お二人にはお子さんがいない事は承知していた。
裏面は、全面、生前の愛犬の写真だった。

この辺の農村部には、
菩提寺の墓地の他にも畑のあちこちに墓地がある。
わが家でも私が知っているだけで三箇所にあった。

何年か前に、
わが家で子供達が大事にしていた
愛犬・金子ジョンが亡くなった時、
その内の一つである畑の中の墓地に
金子ジョンの亡骸を埋めた。
明治生まれの母親から
「人間と畜生を一緒にするもんじゃあねぇ」
とひどく怒られた。

21世紀日本。子供が激減して、ペットが増えている。

林忠彦と『薔薇祭』

2008-12-18 22:44:58 | Weblog
日本テレビの
「おもいっきイイテレビ」を観ていた時の事だ。
「きょうは何の日」のコーナーで
「1990年12月8日は写真家・林忠彦が亡くなった日」
という言葉に、私は、一瞬、聞き耳を立てた。

林忠彦は、
「人物写真の林」と言われたほど、
戦後の日本を彩ったさまざまな人物の写真を撮ることで、
時代を見つめ続けた有名な写真家だ。

私の短歌の師・
大野誠夫の処女歌集に『薔薇祭』がある。
戦後風俗を詠って一躍大野を有名にした歌集だ。
その歌集の表紙や三枚の口絵写真が
すべて林忠彦の写真なのだ。

旧参謀本部の男女、
上野駅地下道の親子、
有楽町ガード下に立つパンパン、
大森駅前で七輪の火を起こしているバーの女将。

戦後、
写真を四枚も使った贅沢な歌集でも話題になったが、
その写真が林忠彦のものである事でも注目された。

林を紹介する場面で、
その中の女将の写真が映されたので、
咄嗟に、妻に画面を注目させようとしたが、
「あっ、そう」とあしらわれた。

常用漢字の混乱

2008-12-17 22:48:35 | Weblog
短歌の月刊雑誌「作風」を発行しているが、
「編集方針」には苦慮している。
特に、
漢字をどのような考え方で統一するかは、頭痛の種だ。

「コスモス」の仲間に聞くと、
「漢字は常用漢字。固有名詞でも旧字体はダメ。
全て新字体に統一」で割り切っているという。

「作風」では、
「JIS漢字」や固有名詞など一部で旧字体を許容。
一方「常用漢字表」にある漢字は
「常用漢字」を使用する事で統一してきた。
しかし、
「飼」は常用漢字だが「餌」は常用漢字に無いために、
同じ「食偏」なのに字体が異なる。
ところが会員はその区別がつかない。
そのために、このように校正をどれほどやってきたか。
もう、疲れてきた。

12月16日、
文化審議会国語分科会漢字小委員会が
「常用漢字表」に
新たに191字の読み方や字体案を纏めた。
が「餌」も「食偏」に統一するのかと思いきや、
「餌」のような「食偏」を認めるというものだ。
これにはガッカリ。

ますます「常用漢字」が漢字を乱す元凶になっている。