今してみたい「海外進出のこんな事あんな事・ビジネスチャンスは海外マーケットにあり」
講師 Just Creative Design 代表 山本千代美さん
2014年8月19日、ティグレ会議室において、「今してみたい『海外進出のこんな事あんな事・ビジネスチャンスは海外マーケットにあり」と題して、Just Creative Desgin代表の山本千代美さんに講演していただきました。以下に要約します。
ご紹介いただいた山本千代美です。よろしくお願いします。
経済成長の持続には世界で稼ぐグローバル化が避けて通れない時代になっています。政府も海外で稼げる中堅・中小企業を支援する姿勢でいます。わかっているけれど、どこから手をつけていいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?eBay(イーベイ)をご紹介してその手がかりをつかんでいただけたらと思います。
今日のアジェンダは、①eBayとは何かということから始めたいと思います。②クロスボーダーEC市場の動向をお伝えします。③eBayの登録方法をお伝えします。④取引にはコミュ二ケーションの壁があります。⑤商品の発送方法をお伝えします。
⑥出品手数料などについてお話させていただきます。⑦どんな商品が売れているのか紹介させていただきます。⑧関税について説明します。⑨トラブル対応についてお伝えします。
eBayとは
eBayはアメリカで誕生した世界最大のオンラインマーケットです。登録ユーザー数は2億3000万人以上で、世界最大の市場です。取引金額は2012年度で6兆円を売り上げています。1秒間に2000ドル以上の取引があったほどの市場です。Made in Japanのあなたの商品を日本市場だけで売るのか、世界市場を相手にするのかの選択です。答えは簡単です。マーケットの大きさが違います。
クロスボーダーEC市場動向
海外、国内ともにEC(電子商取引)市場は右肩上がりに拡大しています。今やインターネットで物を売ったり買ったりは当たり前の時代です。日本ではここ2~3年の間に新たなトレンドとして国をまたぐクロスボーダー市場がにわかに脚光を浴びてきています。その背景には、国内EC市場の成長の鈍化が上げられます。また、アジア、特に中国のEC市場の成長・発展が著しいことが挙げられます。そして、クロスボーダーEC市場支援事業者がたくさん立ち上がりました。
こんな経験があります。そろばんを1500円で仕入れて、2700円で出しました。そしたら2万個の注文が来ました。個人で出した商品を企業が買いに来たのです。その時は、手元に2万個のそろばんはなかったのですが、手当てして商いを成立させました。
中国の方が日本の商品を買う割合は36%、アメリカの方は割合が32%、韓国が28%となっています。日本人が中国の商品を買う割合が12%、アメリカの商品を買う割合が13%ぐらいです。欲しいものが国内で完結していることと、言葉の壁があり海外のものを買うことに消極的になっているようです。そのことは商売においても、海外に出て物を売るということに消極的になる傾向にあります。ここは乗り越えていただきたいと思います。
eBayのはじめ方
eBayとPayPalのアカウントを登録します。次にPayPalのアカウントを認証します。そしてPayPalがeBayで使えるようにリンクさせるということになります。eBayは全部英語ですので、Yahoo!などの翻訳機能を利用してください。eBayに登録するために必要なものですが、まず登録を確認するためのメールアドレスです。これは皆さんお持ちですね。これとクレジットカードまたはデビットカードが必要です。国内発行のVISAまたはMASTERカードで登録ができます。PayPalアカウントを登録するために本人確認の書類が必要です。パスポート・運転免許証でOKです。これらはスキャナーで撮ってアップロードしてeBayに送れば完了です。始めようと思えば、今日からでもできます。PayPalはインターネットバンキングのようなものと思っていただけたらいいと思います。決済はすべてPayPalで行います。開設は無料です。銀行口座のようなものですが口座番号や取引番号がありません。すべてウェブ上で行います。商品が落札されると買い手はあなたのPayPal口座にアメリカドルで支払ってきます。そのアメリカドルをあなたの日本の銀行口座へ日本円で振り替えることができます。その際、振替手数料が掛かります。
コミュニケーションの壁
eBayに登録しますとIDが与えられますが、そのIDでフランスやイギリスにも出店できます。その際には言葉の壁がありますので、アメリカであれば英語でいけるので他の国に比べたらハ-ドルは低いのではないかと思います。eBayアメリカは世界中の人が見ています。英語が得意でない人も買いに来ます。やり取りはメールです。それほど難しい英語は使いませんし、eBay定型文というのがありますのでそれを使えば便利です。「この商品はいつごろ着きますか?」とか「この製品の色は何色ですか?」という質問がきます。eBay定型文や貿易英語を検索すると「品物は2~3日で着きます」「この色は~です」という文章が出てきます。
注意しておくことはトラブルの防止のために、商品説明を詳しく書き込むことです。色やサイズ、新品か中古か?などを細かく書いておけば、商品を買う場合い相手も判断しやすいことでサービスにもなります。文化の違いがありますので、「この商品の送料少し高くないの」とメールで質問してきます。その時ははっきりと「高くないです」と返事をしておかないと、曖昧な返事をするとトラブルの原因になります。商品の到着が少々遅れても文句を言ってくることはあまりないです。オーストラリアはアメリカとほぼ同じです。お国柄で特徴のあるのはオマーンです。商品を値切ってきます。郵送で届きにくいのはイタリアです。注意してください。ドイツは100%届きます。国の特性は理解できてくると思います。言葉の壁は英語を毎日少しずつでも使って慣れていく必要があります。商品を1個売るまではすごく時間がかかる場合もありますし、ハードルが高い場合もあります。私の場合は、1個の商品を売るのに6ヵ月掛かりました。1個売れると次から次へと売れていきました。モチベーションを維持することが重要になります。
取引の流れ
商品の流れは、ヤフオクと同じと思っていただければいいと思います。違うのは国をまたぐということです。日本から商品をサイトに出品します。ユーザーが商品を落札します。支払いが確認できたら、商品を発送します。発送した商品に「商品が壊れていましたよ」という苦情が来ます。そういう場合に備えて、写真を撮っておくといいですね。「こちらでは、このようにちゃんと梱包して発送しました」と言えるように備えておきましょう。海外への荷物の発送は郵便局を利用するのが一般的です。民間の配送業者がありますが、郵便局が比較的料金が安くて済みます。郵便局には4つの発送方法があります。①EMS(国際スピード便)、②Air Mail(航空便)、③SAL便(サル便)、④船便の4つです。たいていはEMSを使って発送します。約3~7日で着きますし、問い合わせ番号が付いていますので、商品が今どこにあるかを追跡することができます。また、商品についてそれぞれに補償が付いています。オプションで200万円までの補償を付けられます。補償問題に発展した時に役立ちます。Air Mailは約1~2週間で着きます。問い合わせ番号や補償はありません。補償問題に対応できません。SAL便も同じで、問い合わせ番号や補償はありません。到着まで2~4週間かかります。大量に物を送る場合には船便を使います。問い合わせ番号、補償はありませんがオプションで保険が付けられます。
eBayの手数料
オークションで出品する場合と即決価格で出品する場合で手数料が変わってきますし、品物によっても手数料が変わってきます。計算するサイトもあります。
www.fees.ebay.com/feeweb/feecalculator
にアクセスすると計算してくれます。このサイトでカテゴリーと出品したい商品の価格などを打ち込んでいくと手数料を確認できます。
商品が落札された時に落札手数料がかかってきます。その他の手数料としてPayPal
の手数料がかかります。PayPalの手数料は取引金額の3.9%+40円です。たとえば、100ドルでゲームを売った場合、eBay出品手数料0.5ドル+eBay落札手数料10ドル+PayPal手数料4.2ドル=14.7ドル掛かります。約15%の手数料がかかるということになり、手数料を加味しながら価格を決めていく必要があります。
出品手数料無料枠というのがあります。毎月50商品までは無料です。ただし落札手数料は掛かってきます。eBayの中で店を持って商売がしたいという方には年間契約のストアー契約があります。アンカーストアー契約の場合、月に200ドル弱支払うことで1ヵ月2500個まで出品手数料無料で利用できます。その他に、プレミアムストア、べーシックストアなどがあります。
どんな商品が売れているか?
扇子が売れています。日本のイメージとして紙というのがあります。金魚でパープル色のものが売れています。綿のてぬぐいが売れています。アメリカでは綿ですがフランスではポリエステルのてぬぐいが売れています。日本ではこんなものとなるんですが、世界では評価されていて飛びついてくることになります。扇子は安いものですが1本100円のものが数千円で売れることもあります。袴が武道で使われているので、アメリカで流行っています。袴を300円で仕入れてきて一万円で売れるということにもなります。衣料品に関しては男性用がよく売れています。フランスではコスプレが流行っています。日本食が流行っていますので、炊飯器などが売れています。中近東はサプリメントがよく売れます。どういうものが、どこの国で売れるのかリサーチする必要があります。
関税について
関税とは外国からモノを輸入した時に支払う必要のある税金のことです。関税は受け取る人が支払います。消費税は国内では8%と決まっていますが、関税は何%とは決まっていません。輸入したモノによって変わってきます。関税は商品、重さ、何のために送るのかによって決まります。関税を安くしてほしい人から、化粧品では関税が高いのでシャンプーとして発送してもらえないかとかというような問い合わせがあります。化粧品よりシャンプーとして送るほうが関税は安くなります。プレゼントにすると安くなりますので、プレゼントとして送ってほしいという要望がきます。
郵便局のサイトを見れば、送っていいものと送れないものがわかります。商売目的の場合は、(商品代金+アメリカ国内の送料+保険料)×60%の関税がかかってきます。個人使用の場合は、商品代金×60%の関税がかかります。「関税」はバイヤーさんにとって悩ましい問題です。トラブルを避けるためにバイヤーに対して注意書きをしておくことが重要です。「輸入税・関税等は商品の価格や送料に含まれていません。これらの支払い義務は落札者にあります。これら、追加の金額がいくらになるかは、ご入札、御購入前に、ご自分の国の税関に確認してください。」としておけば、クレームが来た時も「事前に商品説明に記載していた」という証明になります。
トラブル
日本ではめったにありませんが、海外発送は、荷物が届かないことがあります。海外の郵便事情は日本ほどよくありません。EMSと書留で商品を送った場合、問い合わせ番号がありますので、郵便局の追跡サービスで確認しましょう。
商品をEMSと書留で送って、商品が壊れてしまったときは補償がありますので、郵便局に損害賠償請求できます。受取人にお願いして、現地の配送業者に「商品が壊れていた」という旨を報告していただきましょう。これをダメージレポと呼ぶようです。現地の郵便局と日本の郵便局が連絡を取り合って補償の有無を決定します。 Air mailとSALで送った場合は、補償がありませんので、商品を出す際に、「Air mailとSALは補償がありません」とあらかじめ記載しておきましょう。もし、クレームをいただいた場合には、赤字覚悟で再び商品を送ることも考えておきましょう。
買い手が訴えた場合、誠実に対応することで、お客様に理解していただけるように努めましょう。国や文化が違っても同じ人間。クレームに負けずに頑張ってください。