kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

第9地区

2010年04月11日 | 年間ベスト3
日時:4月10日
映画館:バルト11
パンフレット:B5横版。700円。

南ア、ヨハネスブルグに難民エイリアン(通称:エビ)を満載した巨大宇宙船が漂着。人道的見地から難民キャンプ「第9地区」に押し込んで、はや20年、地区のスラム化に頭を悩ませた政府は民間軍事会社MNUにエイリアンたちの強制移住を委託し・・・というこの映画

面白い、面白い、面白すぎる!もうムチャクチャ面白い!今年のベスト入りは確実だ!!

MNUの記録ビデオ、事件当日の報道カメラ、監視カメラ、後年の関係者インタビューなどから構成されるエセドキュメンタリー仕立てというテクニックは珍しくもないのだが、それぞれの映像の完成度が異様に高く、構成と編集も見事なので、全く飽きさせない。

演出もテンポがよく、ムダにタラタラしたシーンはおろか、「間のもたせ」とか「ため」さえも無い。映画脳が「この場面はこう転んで、こういうオチになるな。」と予想していても、「転んで」のところですでにオチになるという展開の早さ。そのタイミングが目障りでないから、息つくヒマもなく、ドンドン話に引き込まれる。

主な登場人物はMNUの小役人、傭兵部隊長、賢いエビだが、誰にも感情移入できないのが実にイイ。(笑)
社会構成が、南ア人>ナイジェリア人ギャング>エビ>家畜>害虫となっており、誰もが露骨な差別意識をむきだしにするあたり、なかなか説得力があるし、人道無視で金もうけのきっかけを手にしたMNUの喜びようがブラックで笑える。

花を添えるのが、細かいプロダクションデザインに特殊メイク、そして派手な銃撃戦。

特殊メイク絡みでは、いまどき珍しいような、手がちぎれ、文字通り、体が爆砕するシーンが連発され、ワクワクしてしまう。(ちなみに観客席の両側ともその手の映画に免疫のない女性で、しょっちゅうビックリしていた。)

舞台の南アはさすがに軍事大国。4輪装甲車キャスパーの大行進に、見たこともない銃もバンバン登場して、「ブラックホーク・ダウン」化するクライマックスの三つどもえ大銃撃戦など大興奮。ちなみに対戦車ライフルはダネルNTW-20というらしい。悪い血が騒ぎますなあ。

とまあ、楽しめる要素を詰め込めるだけ詰め込んで、それでも破綻していない作品なので、ずいぶん長文になってしまった。

ところで、この映画アカデミー賞の作品賞にノミネートされていたが、よく考えたら、「ハートロッカー」とあわせて「傭兵部隊がアンチ・マテリアル・ライフルをぶっぱなす映画」が2本もあったことになるね。(笑)






題名:第9地区
原題:DISTRICT 9
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー、デヴィッド・ジェームス、ジェイソン・コープ


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