☆映画の旅の途中☆

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『カナリア』(2005)

2013年07月12日 | 西島秀俊さん☆映画
『カナリア』(2005)

塩田明彦監督、:石田法嗣さん(岩瀬光一 )、谷村美月さん(新名由希 )、西島秀俊さん(伊沢彰:カルト元信者)、りょうさん、つぐみさん、甲田益也子さん出演。



【STORY】
かつて母親が所属していたカルト組織・ニルヴァーナの施設で妹と共に暮らしていた少年・光一は、児童相談所に預けられていた。
しかし母は戻ってくることはなく、祖父は妹だけを引き取った。光一は祖父母がいる東京を目指して、児童相談所を脱走した。その道中で、彼は援助交際をする少女・新名由希に出会った。

【感想レビュー】
この映画のモデルとなった事件当時、私は中学生でした。

大きなショックを受けましたし、マスコミを始めとする社会が、事件の全貌が分からないままに、様々な情報や憶測を垂れ流しにし、それを私も半分は享受していた記憶があります。

そこに一体どんな現実があって、そこに居た彼らはその後一体どうなったのか…。

共同生活を送る彼らの中には、もちろん子ども達も居たわけで、まだ幼く、自己の確立すらあやふやな人格に、特定の偏った価値観を、隔離された環境でひたすらに叩き込まれたら、一体、その人格はどうなってしまうのだろう…。

そして、ある日突然、その価値観は違いました、間違っていました、と言われたら…。

考えただけでも、恐ろしいです。


光一を演じる石田法嗣さんは、西島さんとふとした時の表情が似ていて、なんだか不思議な俳優さんです。

映画の特に前半を、子役の2人が引っ張っていくという難しそうな展開ですが、石田さんも谷村さんもとっても素晴らしかったので、自然に入り込めました

そして、西島さん演じる伊沢と光一が初めて対峙するシーン。

凄い緊張感でした…。
西島さんの切迫感がもう本当に…。

傍観している私からすると、得体の知れないその教えを、頑なに信じている様子、それが迷い無い態度のように思える程、こんなに末恐ろしい存在はないわけですが、西島さんはまさに、脱退するまでの伊沢を、そういう人物として演じきっています。

演じきっているというよりは、またいつものように、“伊沢”という人物そのものなので、本当に恐ろしいのですが…。

でもそんな頑なな伊沢が、光一の無言の反抗に、ふと心を寄せて諭すシーンがあります。

そこから始まる伊沢と光一の静かな心の交流が、最後まで、何か一筋の希望にも思えました。


自分が自分である事。

その事からは、誰しも逃れる事は出来ない。

すべてを受け入れて、それでも生きていくしかない…。

迷いながら、耐えながら、泣きながら、でも最後は真っ直ぐ前を見据えて歩いていく光一と由希が印象的でした。


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