タクシー人生

東京のタクシー人生について語ります。よくある話です。

ご案内

2024-03-29 00:53:10 | 日記
「タクシー人生」のブログにようこそ。

私は2014年4月から東京で法人タクシー運転手をしています。
この文章を書いているのは2017年2月なので、
かれこれ2年と11ヶ月のキャリアです。

勤務している会社は小規模ですが、営業年数は長く、地元で
堅実な営業を続けています。私はまだ勤続年数が浅いという
こともあり、非無線の派手なカラー(黒タクではない)の
車に乗って仕事をしています。(2019年よりJPN TAXI)

このブログは私がタクシー運転手になるまでと、なってからの
雑感を書いたものです。「よくある話」です。
内容は(一部本筋と離れるものもありますが)87話あります。
できましたら 001はじめに
からお読みいただければ幸いです。





2023年 ご報告

2023-12-31 22:13:26 | 日記
2023年の大晦日に書いてます。

2023年12月29日が本年最終乗務でした。
今年も奇跡的に無事故無違反ノークレームで終了しました。すべての人、物、時間に感謝です。

今年は信号待ちをしている時に追突事故に合いましたが、病院に行くこともなく幸いでした。

年収もほぼ2022年と同額。タクシーが減って1台あたりの営収は上がっているはずなのに
給料が変わらないのは、いくつも理由があります。歩率が下がったことも要因のひとつ。
国は「給料を上げろ」というムードなのに、下げているんだから、なんという会社でしょうか。

乗務時間も短縮化されました。逆に休憩時間の取得は厳しくなりました。(2時間以上は
ぜったいに取れ、となりました。一応かたちだけ)

私は午前6時の出庫です。以前は翌午前3時が帰庫時間でしたが、これが午前2時20分に変更。
40分は「出庫前点検」と「帰庫後の納金処理」の時間とのことで、「全部で21時間内」と
いうことになりました。ま、帰庫遅れについても、これまで通り何も言われませんが。

これまでは午前2時をもって回送としてましたが、1時20分で回送も中途半端なので、午前1時に
回送にしています。回送どころか午前1時にはガススタンドにいます。

つまりは12時台には「もうガススタンドに行かなきゃな」と思ってますから、2時ギリギリまで
繁華街で客をさがしていた頃に比べますと、かなり違っています。

タクシー切れになる時間帯にガススタンドに行っているんですから、いただけませんわ。

以前に比べたら、仕事のやる気は確実に減っています。

それでも給料が変わらないのはコロナ明けとタクシー不足のせいかと思います。
転職も考えていますが、具体的な行動に移れないまま、来年を迎えそうです。

やる気はありませんが、無事故無違反への思いは変わらず強く持っております。




2022年 ご報告

2023-01-06 18:29:57 | 日記
皆さま 明けましておめでとうございます。

2022年のご報告をいたします。

今年も奇跡的に無事故無違反ノークレームで終了しました。すべての人に感謝です。
また、11月には料金改定もあり、売り上げは11月以降増えています。

会社は新たな賃金体系を12月に導入しました。そもそもの賃金の計算方法がよくわからない
上に、新しい計算方法だけ知らされたとしても、我々はわかるわけがありません。
結果として、多くの人が「これまでより下がった」とのことです。私もそうでした。

とはいえ、新体系で下がったとしても「他社平均よりもよい歩率」とのことです。
調べる方法もありませんが。

昨年の後半以降、他社からの移籍組がとても多いように感じます。それは
「ゆるい。歩率高い」だからかもしれません。相変わらず無休憩、帰庫遅れ、距離オーバー問題
なしです。もっとも無休憩と帰庫遅れについては、ほんのわずかの罰則的減額がありますが、
ほとんどないと同じくらい。

他社の厳しい条件の中でやっていた人達は水を得た魚のように高営収を上げてきます。
まさに「四社の売上」って感じ。

私は、今年ものんびり安全運転法律順守でやっていきたいです。

そうそう、新年早々にコロナになってしまいまして、1週間の自宅待機となりました。


本年もよろしくお願い申し上げます。

2021年ご報告

2022-01-01 12:09:18 | 日記
2021年も無事に終えることができました。

印象に残ったことを書いておきます。

2021年は会社が大手グループに会社ごと移籍しました。

コロナ禍なので、単純な比較ができないと思いますが、それまでの中小グループ
と現在の大手グループでは売上はどうだったのかな、と思います。

中小の時は「中小だから」という言い訳をついしてしまいましたが、大手ですと
そんな言い訳もできません。専用乗り場も多くありますし、アプリや無線など
これまでにはない「営業支援」があります。

ただ、2014年に入社した時の中小グループの派手な色の非無線のクラウンで
「ただ流すだけ」の仕事の方が気楽だったかな、とは思います。

その他としては、オリパラの運転手をしたことです。

とにかく「待機」ばかりで、それでもオリンピックはまだ「運転手としての仕事」が
ありましたが、パラは本当に「全日、ただ待機だけ」で終わったようなものです。

全体的に色々と問題のあったオリパラですが、末端の運転手として、それは肌で
感じました。

個人的には、免許の更新がゴールドでできたことが嬉しかったです。

なんとか3年間、無事故無違反できました。奇跡的だと思います。
更新ハガキが届き、届いて更新するまでの間に、違反事故を起こしたらいやだなと
思って、更新可能日の初日に更新しました。

今年も無事故無違反を第一で、やっていこうと思います。

オリンピック仕事

2021-09-12 05:52:47 | 日記
ご無沙汰をしております。

オリンピックパラリンピックの期間、運転手仕事をしました。
顛末は別途noteブログで書いております。

新型コロナ禍中に強行開催されたオリンピックです。いろいろなところで問題や歪み
が発生しましたが、運転手仕事についてもそれは発生していた、と言わざるを得ません。

ご興味ありましたら、お寄りください。

OGPイメージ

オリパラ運転手日記00|たもかた|note

都内で法人タクシーの乗務員をしています。 会社から「オリンピック、パラリンピックの関係者の運転手をやりませんか?」と言われ、やることにし...

note(ノート)

 

2020年ご報告

2021-01-24 08:41:58 | 日記
ご無沙汰しております。

2020年のご報告をいたします。

この仕事をまだ続けております。当然にして新型コロナの影響を受け、2020年は
4月~6月にかけて、約2か月の自宅待機他、まともに仕事ができない期間が続き、
これを書いている現在(2021年1月)も緊急事態宣言が再発令され、売り上げが
上がらず、会社も輪番休車をしているので、厳しい日々ではございます。

コロナ以前とコロナ後を比べると、個人的には1日の売り上げベースで約2万位は
違っているように感じます。これは、ツイッターをフォローしている他社の
カリスマドライバーも同じ様です。

コロナ以前は1日(隔日勤務の場合で)8万~9万は普通にやっていたカリスマ
ドライバーが、コロナ後は6万~7万。私はコロナ以前は6万~7万でしたが、
同様にコロナ後は4万~5万になっています。それでも緊急事態宣言前は
時々は6万くらいはできるようになってきましたが、緊急事態宣言で
またガクッときびしくなっています。

会社も移籍しておりませんが、勤務先がこれまでの中小グループから、
大手四社のグループに移籍することが決定しました。

「乗務員さんのため」と言うだけで、会社は多くを語ることはなく、どのような
事情でグループを変えるのか全くわかりませんが、会社に従うまでです。

緩い会社で、その緩さが気に入っていましたが、大手グループになって
管理が厳しくなったら嫌だなと思っています。




センター苦情

2019-10-10 05:30:33 | 日記
2019年9月に 乗客からセンター苦情
(東京タクシーセンターに住所氏名を伝えてクレームをされること)を受けました。

この仕事、交通事故、交通違反、乗客トラブル、が三大「してはいけないこと」ですが、
その内のひとつを起こしてしましました。

小さな乗客トラブルはいくつもありますが、これが「センター苦情」となりますと、
在籍している会社の優良事業者点数にも関わることとなり、乗務員にとっては
重大な事態となります。最悪「懲戒解雇」にもつながる事案です。

当然、私に原因があり、反省をしています。

顛末は別ブログで書いております。

アメンバー限定にしておりますので、ご興味のある方は
「タクシー人生を読みました」とコメントの上、
アメンバー申請をお願いします。

東京タクシードライバー2年B組



2019年 ご報告

2019-09-21 06:22:42 | 日記
このブログを書きましたのは2017年であり、2019年現在のご報告をしておきます。

タクシー乗務員の仕事は続けています。会社も変わっておりません。
他社のご同業からは「もっと稼げる会社に来なよ」とのお誘いがありますが、
家から近く、社内ムードもいい、現在の会社を移る気持ちはありません。

担当車はグループカラーのクラウンから、2019年からはJAPAN TAXIに変わって
います。JAPANになって、四社、黒、個人に「乗られてしまう」ことが減った気が
します。

私が乗務員になった2014年と現在を比べると、売り上げ的にも、街の様子からも
「景気はよくなっている」と感じます。
(私個人の営業テクニックは、始めて1年位からは上達していないと思います)

「流しメイン、路上付け待ちしない」のスタイルも変わっておりません。

初乗りが410円になってからは、三桁、千円台のお客様ばかりです。(泣)

ここ1年位は「配車アプリ」「QRコード決済」でしょうか。

私の会社はkm系のアプリを採用するらしく、助手席のヘッドレストには
液晶パネルも付いて、紹介映像や画面上でもタッチボタンがあり、車内には
ステッカーまで貼ってあるのに、2019年9現在まだ使用できないという、実に
情けないグダグタの状態です。

ですが、「これ、使えないの?」と問い合わせされたことも数回程度。
まだその程度の認知度と普及ですね。現在はアプリが乱立している状況ですが、
やがて淘汰されていくのでしょうか。


2020年のオリンピックまではこんな感じで、なんとかやっていけると思いますが
オリンピック後は必ず景気は悪くなるでしょう。

そうなってもなんとかやっていけるようにしたいと思っております。


追記4 アメーバブログ

2017-04-02 15:14:50 | 日記
お読みいただきありがとうございます。

日々の具体的な出来事はアメーバブログ
「東京タクシードライバー 2年B組」という
なんとも語呂の悪いタイトルで書いております。

こちらは生々しい話もありますので、アメンバー限定に
しております。アメンバー申請につきましては、
原則 タクシー業界で働いている方、もしくは就職希望の方に
限らせていただいていますが、「タクシー人生を読みました」
とコメントいただければ、承認させていただきます。

ご興味ありましたら、お立ち寄りください。

東京タクシードライバー 2年B組

追記3 車内嘔吐

2017-03-12 17:59:20 | 日記
本編でも書いているが、この仕事で困ることは「事故と違反」である。
では、次はなにか、と言えば、「お客とのトラブル」である。

酔っ払い、気難しい人、怒りっぽい人、豹変する人、様々である。

「『俺だって人間だ』と、思ってはいけない」という所長の言葉。
「お客様は殿様」という所長の言葉。含蓄がある。

上記のように困ったお客はいろいろあるが、個人的には「泥酔して爆睡して
起きないお客」が、まず困る。業界の通例では「寝て起きないお客に触れてはならない」
となっている。「起きてください」と口で言うだけ。これでは起きない。
どうして「触れてはならない」のか、というと、トラブルが拡大することを恐れて
のことだ。「痴漢だ、暴力だ、」とならないためである。

「起きてくれ」と叫んでも起きない時は「警察を呼ぶ」となっている。私は何度も
呼んでいる。警察は思い切り身体を揺さぶって起こしにかかる。それでもなかなか
起きないお客もいる。「到着→起きない→警察呼ぶ→待ち→警察起こす→やっと起きる」
これですごく時間がかかる。

「酔っ払って絡んでくる客」も厄介である。会話が成立しない場合も多い。これも困る。
しかし、基本的に「早く料金を払って降りてくれればよい」と思っているので、ひたすら
平身低頭で接する。何を言われてもじっと耐える。怒って反論してはいけない。時間が
かかるだけである。「お客様は殿様」だから。

「泥酔嘔吐」も困る。私は約3年の経験でまだ車内で「完全(大量)嘔吐」は、ない。
窓を開けての嘔吐(通称マーライオン)とか、すでにかなり吐いていて、ゲロ袋持参で
乗り込む、とか、座席に座った状態で吐いて、ゲロの大部分が自分の洋服で吸収とかで
シートの上に大量にぶち撒かれたことはない。同様に、「車内排便」の被害にも遭って
いない。

嘔吐されたら、時間はかかるが、シートを洗浄(あるいは交換)すればいいし、都内には
車内洗浄を24時間対応してくれる業者もいる。

また、これらのトラブルもこの仕事は「一期一会」である。次に遭うことはないし、
処理してリセットしてまたやり直せばいいのである。またこのようなトラブルに遭遇する
ことは稀である。

毎度、比較して悪いが、前の会社は「絡んでくる酔っ払いに、毎日何度もゲロされていた」
様なものだった。どこまでも続くゲロの日々。

やはり地獄だった。




追記2 タクシー 会社と乗務員

2017-03-10 16:28:12 | 日記
タクシー乗務員というものは、「社員であって社員でない」様なところがある。

普通の企業における従業員というものは、その企業の事業の為に全員が仕事を
している。利益を上げる直接的な部門やそれを補佐するスタッフ部門、経理
総務など管理部門もあるが、会社の進む大きな目的のために全員が同じ方向を
向いて働いている。個人の労働はその事業の「一部を担当している」と言える。

タクシー乗務員は乗務員自体がその会社において「利益を生む商品」であり、
会社は乗務員の営収の一部分をピンハネして会社を運営している。乗務員は
会社とは雇用関係にあるが、乗務員自体が「商品」になっているので、普通の
会社のような「その企業の事業の一部分を担当する」社員ではない。これが、
同じ「運転手」でもバスや電車は、その会社が計画したプラン、シフトに
従って乗務するのだから、「一部を担当する」業務と言えるだろう。

タクシー乗務員は芸能プロダクションと契約しているタレントとか、風俗産業で
働く風俗嬢(もちろんホストクラブのホストも)に似ている。運行管理者は
いわば、芸能マネージャーであり、乗務員が円滑に且つより営収が上がるように
スケジュールを調整する。

タクシー乗務員に上司部下という存在はない。大手では班長をリーダーにチーム化
しているところもあるが、乗務員は基本は「ひとり」である。「雇われている」と
いうより、「契約している」「所属している」といった感覚に近い。だから、移籍は
頻繁に行われる。「ひとり」だから、売り上げを頑張るのも、手を抜くのも、自由。
決まりを守るのも破るのも自由。また、事故、違反、客とのトラブルも自己責任。
車内強盗や詐欺に会っても会社のフォローはない。

私は現在の会社に不満はないし、移籍する気持ちもないが、もし現在の会社が売上
不振で倒産しても、他のタクシー会社で問題なくやっていける、と思う。
また、何らかの必要があり、もっと売り上げを目指さねばならなくなった時は
移籍も現実化してくるだろう。

すでにこのブログで書いているが、私は前の会社で、上下関係でとても苦しい思いをした。

それがないだけでも、この仕事が自分に合っているという気がする。





人生タクシー

2017-03-06 18:02:41 | 日記
このブログのタイトルは「タクシー人生」ですが、
「人生タクシー」(映画.com)というイランの映画が2017年4月15日から
公開されます。一応全国公開ですが、東京でも新宿武蔵野館のみの
単館ロードショーです。

映画監督がタクシードライバーをやってドキュメントを撮る、
みたいな作品のようです。

このブログのタイトルとほとんど同じなので、びっくりしました。


追記1 ゴルフバック

2017-02-28 16:33:45 | 日記
本編を書いている時に忘れていたエピソードです。思い出したので書きます。




地理試験に合格して、二種免許を取って、乗務員証が出来ても実は不安だった。

都内のタクシードライバーの平均年収は350万円(正確には2015年、393万円)
それは平均なのだから、実力のない新人ならば、もっと低くなるだろう。
300万、200万の年収でやっていけるか。そもそもこんなに運転センスのない人間が
職業ドライバーになれるのか。21時間もの長時間の勤務に耐えることができるか。
とてもとても不安だった。

タクシードライバーは現代日本において「最底辺の職業」である。「最後の職業」である。
前の会社に「挫折した」人間は、やはり「最後の職業」にも挫折してしまうのでないか、
「最後の職業」ができなければ、「次」はない。
とてもとても不安だった。

初めての(そして最後の)路上研修の前日、ロッカーを与えられた。そのロッカーは
幅30センチくらいの、小さな小さなロッカーだったが、そこに、ある人は制服を
ある人は洗車道具などを、自由に入れていいのだった。前の会社では個人ロッカーは
なかった。女性社員には更衣室と個人ロッカーが当然にして与えられたが、男性は大きめ
の共用ロッカーに冬場はコートなどを適当に入れていた。個人ロッカーを与えられたのは
はじめての経験になる。

ずらりと並んだロッカーの上や片隅にたくさんのゴルフバックが置かれていた。ゴルフはここの
乗務員がやるとのことだった。平日が休日になるので、月1~2回、活発に活動している
らしかった。しかも従業員組合から活動費も援助されているとのことだった。

この会社の乗務員はゴルフをする余裕があるのか、と思った。

ゴルフというのは一般のスポーツとは、少々違う。どこが、違うのか。

ゴルフをしている子供はいない。いないことはないが、子供にゴルフをさせるのは
超がつく金持ちか、子供向けのスクールを展開している土地に限られる。

子供はしていないスポーツは他にもたくさんある。モータースポーツ全般、ダイビングや
船に関するスポーツ全般等々、ほかにもあるだろう。ゴルフ同様、子供もゼロではないが
やらせるのは、金持ちの親だ。

これらのスポーツは「金と暇」がなければ、できない。余裕のある金持ちしかできない。

野球もサッカーもランニングも柔道も剣道もテニスも水泳も貧乏人でもできるスポーツ
である。バブル時代、ゴルフ会員権は投資の対象になった。その当時に比べるとゴルフは
実は「金のかかるスポーツ」ではない。しかし、やはり個人的には「ゴルフをやる人と
やらない人」とは明確に分かれると思っている。ゴルフと「最底辺の職業」とはイメージ的に
結びつかなかった。両極の存在だった。

ゴルフをやれる人は「余裕のある人」である。この会社の乗務員は(ある程度の人々は)
「ゴルフをする余裕がある」のである。

ロッカールームに無造作に置かれているゴルフバックを見て、私は
もしかしたら、俺もタクシードライバーができるかな、と思った。


087

2017-02-21 06:47:12 | 日記
タクシーの仕事は楽しい。「恥ずかしい職業」だけど、楽しい。

この業界に入る前、面接した営業所長の「この仕事を楽しくてしょうがない、と感じる人と、
こんな仕事やってられるか、と感じる人とに分かれるんです」ということばをよく思い出す。

私は明らかに「楽しくてしょうがない」と思える側の人間だ。仕事を始めてこれを書いている
2017年2月現在、2年と11ヶ月になる。乗務回数は400回を超える。それでも「いやだな、飽きたな」
とは思わない。ちょっとした「ワクワク感」と「ドキドキ感」を持って、「今回の乗務でどんな
出会いがあるのかな」と毎回 楽しく仕事をしている。

確かに、何度も書いているように、事故、違反の恐怖、客トラブルなど、不安材料はある。そして
それらが起きれば、最悪の場合、仕事を続けられない状況になる。いつもそれを頭の片隅に置きながら
驕ることなく、僻むことなく、楽しく仕事をしている。

「仕事」と書いたが、前に勤務していた会社の仕事が「仕事」であるのならば、タクシーの仕事は
「仕事」ではない。「仕事」が「苦しくキツイもの」ならば、タクシーの仕事は「仕事」ではない。

空車の時はラジオを聴いている。ラジオを聴きながら、クラウンセダンを運転している。
ボディはペコペコの、LPガス2000CCのパワーがないエンジンの、「これでクラウンか?」
と思うほどのそれは「タクシークラウン」だが、それでもクラウンのエンブレムはついていて
トヨタが製造している、まぎれもないクラウンなのである。

ラジオを聴きながら、大都会を流している。どこかにお客さんがいないかと、探している。
私はラジオが好きだ。ラジオから流れる最新のヒット曲、ニュースや情報、ずっと聴いていたい。
ラジオを聴きながら流している状態は、「仕事」ではない。それは単なる「ドライブ」だ。

お客様と出会うことは、誤解を恐れずにいえば、「釣りをしていて魚がヒットした」状態に似ている。

私は東京という大海原にタクシータイプクラウンセダンという「小船」を操縦して「釣り」をしている
釣り人である。ヒットする魚はワンメーターの「小魚」もあれば、ロングの「大物」もいる。
しかし時には「小船」を沈没させるような、(映画「JAWS」のような)「危険な当たり」があるかも
しれない。

お客様に出会ってからが、「仕事」だ。自分としては映画「トランスポーター」のジェイソンステイサムの
ように、クールに華麗に、最短距離、最短時間で美しく乗降を完結させたいといつも思っている。

お客様ひとりひとりに「生き方」があり、ストーリーがある。乗ってから降りるまでの短い時間の中で、
そのお客様の人生を知ることもあれば、なにもわからないまま終了することもある。
しかし、この「出会い」を私は大切にしたいと思っているし、お客様にとっても「よい出会いだった」
「いい運転手だった」と思っていただくことを望んでいる。

お客様を乗せて、目的地に到着することは「仕事」だが、「出会い」と思うと、それは「仕事」でななく
「何かのご縁で同じ車に乗っている」ようなことに思える。

お客様の指定される到着地もこの大東京では様々だ。私は、どちらかといえば好奇心は旺盛で、知らない
場所や新しいスポットに興味がある。タクシーでいろいろな場所に行けて、いろいろな場所を知ることが
できる。タクシー仕事をしてなかったら一生行けないような場所もある。それらを見知ることはとても楽しい。
宮内庁職員をお乗せして宮内庁に入ったこともある。宮内庁はそれなりの訪問事由がなければ、
一般人は入る事はできない。皇居の中はとても静かだった。

私にとってタクシーの仕事は「仕事」ではない。それはレジャーに近い。レジャーだから、やっていて
楽しいし、もっと上手になりたいと思う。それは運転技術の向上であり、地理の強化であり、自身の知識や
教養の習得だ。

私は「タクシーというレジャー」を力一杯楽しんで、翌日は休んで、またレジャーをして、という風に
この仕事を始めた3年前から 実はずーっと遊んでいるようなものなのである。





086

2017-01-29 12:30:53 | 日記
「接客」について、補足。

到着して支払いを受け、お客が降車するまで、というのもとても重要だ。

まず停車する場所。停車する直前でメーターが上がるのは避けたい。
矢崎のタクシーメーターは料金が上がる前に、3本のバーがでてひとつづつ
消えていき、3本消えたところでメーターが上がる。なので、上がるタイミング
はわかるが、これが停まる直前の信号待ちで出てくると、(時間距離併用メーター
なので、)信号待ちの間にメーターが上がってしまったりする。

その場合は初めに支払いボタンを押す。「賃走」→「支払い」になると時間メーター
が止まり、距離だけになる。バー1本の距離は10mなので、支払いに切り替えても
そこから3本分の30m以上走ってしまうとメーターは上がるということになる。

最後の1本で停めたいところだが、その場所がお客の希望場所ではない時は
メーターが上がってしまうこともある。その場合は前の料金にして自腹を切る。
その方が平穏に対応できると思うからだ。

停める場所も「もうちょっと前」などと言われることも多く、そのご希望には
できるだけ応えるようにしている。よく「横断歩道の前」とか「そこの角で」
とか「バス停で」でなどと言われるが、これすべて駐停車禁止場所である。

下手をすれば、交通違反だが、明らかに警察がいる場合を除いてできるだけ
お客の要望には応える。

おつりと領収書をを渡すことも、早く正確に行いたい。お客はできるだけ
早く降りたいと思うはずだ。もたもたしていたら、クレームの原因になる。
おつりの硬貨は釣銭ボックスからできるだけ早く取り出せるように分けている。
札についても9千円単位で分けておき、ワンメーターで一万円札が出されても、
すばやく出せるようにしてある。

領収書については、矢崎のメーターとクラウンのエコドライブシステムが相性
悪く、なかなか出ないことがあったため、エコドライブを切った状態でいつも
運転している。

なるべく早く釣銭と領収書を渡して、「ドアを開けていいですか」と聞いて、
前後左右を確認してドアオープン。ドアを開ける前に聞くのは、降りる前に
準備をする人もいるし、前後左右を確認する時間も必要だからだ。あわてて
ドアを開けてはいけない。ここは速度よりも安全が優先する。複数客の場合は
支払いをする人より先に他の人たちを降ろした方がスムーズと思う。
(支払いをする人が後部座席の左ドア側に座っている場合は単独客の場合と
同じ)
だが、ドア開けを聞いても、なにも返事がなかったり、何を聞いているのだ、
と不快な顔をされたり「早く開けろ」と怒られる場合もある。
何事も「絶対」はない。

お客が降りる前には「お忘れ物がございませんよう、ご注意ください」と言い、
「ありがとうございました」とお礼を述べて、終了。