ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

久しぶりの立山(2013.07.16)

2013-07-19 08:41:24 | 山日記

1991年以来の立山に登ります。リタイア後、登山の魅力に憑りつかれた丸さんを案内するのにふさわしい夏山をと…考えた挙句、「歴史・高嶺の花・展望…」と私たち山好きが望む条件のすべてを満たし、しかも古来、富士山・白山とともに「日本三霊山」に挙げられる立山を選びました。しかし心配されるのは、あのアプローチのケーブル、高原バスの混雑です。やっと天候も安定しそうな三連休明けを狙って16日5時家を出ました。

立山駅前の駐車場に丸さん車を置いて駅に行くと驚くほど閑散としています。待つほどなくケーブルに乗車。美女平駅で高原バスに…何と一番で乗り込みました。一番前の特等席に座った丸さんは車窓からの撮影に余念がありません。

ブナ坂近くの立山杉の中で最大の仙洞杉。幹回り940cm、高さ21m。運転手さんはこのような見どころがあればバスを徐行させ、時には停車して説明してくれます。(Photo by Marusan)


日本最大の落差を誇る称名ノ滝。滝の音が念仏を唱えるように聞こえることから名が付きました。5月に「雪の大谷」ツァーで来たときは、ここはあっという間に通過しました。出発地の奈良のバスでバスガイドは乗車せず、添乗員さんは無口?で殆ど説明なし。今回はさすが地元のドライバーだけに堂に入った説明で、しかも多くの乗客が見えるように少しづつバスを動かしてくれました。(Photo by Marusan)


右手車窓に薬師岳の大きな山容を仰ぎながらバスは進みます。左には大日、奥大日岳そして正面に立山三山。眼下には富山平野の眺め。天狗平が近くなりました。称名川の上流に架かるソーメン滝がよく見えます。「雨が多いとウドン滝になります」とユーモアも加えた説明。


天狗平からは美しくも険しい剣岳の威容が…。「こんなに周囲の山が見渡せたのは、今月に入って初めて…」とドライバーさん。


弥陀ヶ原では久しぶりの晴天に、ヘリコプターが物資運搬に大活躍していました。


終点、室堂が近づきました。雪の大谷の壁もずいぶん低くなりました。(Photo by Marusan)

 

予定よりずっと早く11時45分に室堂バスターミナルに着きました。「玉殿の湧水」をボトルに入れて出発の準備をします。
玉殿湧水 立山開山伝説によると、大宝元年、越中国の国司の子、有頼が逃げた白鷹を追いかけて山に入り熊に出合います。有頼の矢を受けた熊は血を流しながら窟に逃げ込み、それを追って岩屋に入った有頼が見たのは矢が刺さった黄金色に輝く阿弥陀如来の姿でした。阿弥陀如来より諭しを受けた有頼は仏門に入り、修業ののち立山を開山します。熊が逃げ込んだ洞窟が「玉殿窟」でそこに湧く地下水は室堂一帯の貴重な水源でしたが、立山黒部アルペンルートの立山トンネル開通の際、毎分約15Lという豊富な水量で噴出しました。それをこのターミナル横まで引いています。

正面に(右から)主峰・雄山から最高峰・大汝山、富士折立…と続く立山が美しく望めます。大きな鞍部が一ノ越、その右が浄土山です。最初の計画では一ノ越山荘で一泊して雄山から大汝山、真砂岳、別山を経て雷鳥沢を下って室堂へ下る計画でした。


正午、観光客で賑わう室堂ターミナルを出発します。


立派な石畳の道が続きます。しかし、まずは腹ごしらえです。ここを過ぎるとイワカガミ、ミヤマキンバイ、チングルマなどの花の咲く草原の道になり、右手に大きな広場がある十字路に出ます。左はミドリガ池、右は浄土山への登路です。


広場では宝塚の中学生の団体がお弁当を食べていました。昔、立山登拝の道には様々な石塔や石仏が並んでいました。これは第三十二番石仏と呼ばれ、西国三十三ヶ所観音霊場の三二番札所、繖山・観音正寺の千手千眼観音の分霊で文化八年の銘があります。


室堂 重要文化財。現存する日本最古(1726 年・享保11年再建)の山小屋です。「室」は山小屋、「堂」には宗教施設の意味があり、両方の役割を併せ持っていました。


12時40分、室堂発。すぐに長い残雪の中を登ります。念のためアイゼンを用意してきましたが、登下山とも結局、使わずに済ませました。


何ヶ所も途切れ途切れに残雪を渡ります。勾配が強い斜面では一歩一歩、滑らないように慎重に進みます。


祓 堂 (祓戸社) 古くはここが俗界と神域の境界となっていました。登拝者は祓川で潔斎して白装束に着換えてから登山を続けたと伝えられています。(背後は浄土山


柏手を打ち、振り向くと間近に雄山が…。社務所の建物が大きく見えます。


最後の急坂を登りきって山荘に着きました。ちょうど14時。小屋に入るにも早いし、小屋主も「今日は久しぶりにいい天気で、午前中は富士山も見えた。しかし明日はどうなるか分からない。」というので、今日中に雄山に登ることにしました。