KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

ぶたのはな サンダーマスク

2011年02月19日 | コミック・アニメーション






ワンフェス2011の限定品として販売されたサンダーマスクシリーズの
デカンダーと、サンダーマスクの原型・素体ともいえるサンダー。

これまでワンフェス限定品として主役のサンダーマスク、
そしてデカンダーの変身体であるクロザルとタイヤの3種類のアイテムがすでに
ぶたのはなさんから製品化されて、何年か経っているのですが、
まさかシリーズ続投になるとは思ってもいなかった。





サンダーとデカンダー。

この2体のケイ素生物は宇宙の存亡を賭けてともに正義と悪の2派に
分かれて各惑星で戦い続ける光と影のような存在だ。
テレビの実写サンダーマスクとは異なる手塚治虫氏によるコミカライズ
(原作ではないのだ~!なんと豪華なコミカライズではないか)
は残念ながら単行本一冊で終了してしまったのだが、
コミックスオリジナルの宇宙で繰り広げられる炭素生物と無機生物との邂逅、
そして進化の興亡史を描く巨編として構想していたのかもしれない、
そんな片鱗をもうかがわせる。









デカンダーが地球で変異した姿の一つ、タイヤ(の怪物)。
テレビ版サンダーにデカンダの魔獣「タイヤーマ」が出てくるのはきっと
企画初期段階から手塚氏も聞かされていたのだろうし、
デカンダーが無機物にも憑依する
という設定で、コミック独自設定で
手塚氏なりのタイヤーマを描こうとしたのではないか。



漫画に出てくるタイヤはシャープでトゲトゲしている
井口昭彦氏デザインによるAの超獣みたいなんだが、
ぶたのはな版タイヤは困ったような表情がなかなかプリティで
タコもぶたのはなさんのソフビ中でもかなり好きな一体。
ちょっと「どろろ」に出てくる妖怪とかにいそうな感じ。
あ、あと鉄腕アトムのガデムに近いか。

この時点でサンダーはすでに手塚先生にキャラクターデザインして
もらったサンダーマスクのスーツを身につけて戦う。
サンダーマスクの初陣を飾る敵だ。











第1の敵・クロザル(の怪物)。動物園のクロザルにデカンダーが憑依した姿。
素体状態のサンダーと戦うが、目撃した手塚先生は2体の宇宙生物の
正邪の見分けがつかなかった。

しかし自分以外のヒトも指摘するんだけど
クロザルってパッキーに似てるな。
ぶたのはなさん本人に確認していないが、
このキャラクターのソフビ化を選んだのは
たぶん「サルである」という確固たる
造形的嗜好によるものではないかと思う。

しかしさかのぼって手塚先生がこのクロザルのビジュアルを
このような姿にしたことについては自分なりにぼんやりとした
仮説がある。

もしかして自分のマンガの掲載誌に
マイティジャックの紹介グラビアか何かが載っていて、
そこにパッキーの写真が
載ってるのを手塚氏が見ていなかったか?という仮説だ。
漫画の神様はありとあらゆる世間のリアルタイムで展開されている
おもしろいモノを観察しつつ漫画を描いていたのは周知の事実。

「サンダーマスク」がTV番組として放映された
昭和当時は漫画も怪獣もごっちゃだった。
(アニメ、や特撮という言葉は一般に浸透してはいなかった)

巨匠漫画家でも水木先生でも永井豪先生など、漫画の世界の周辺
で「ジャリもの」として商材的には
いっしょくたにされている実写怪獣モノやTVドラマ関係のいろんな
ビジュアルに刺激されつつ、時には既存のキャラクターにインスパイア
されてキャラクター造形していたことも多い。

この当時はマーケット内ではモチーフの共有感があった。

現在のネットで作家同士のパクリ疑惑がささやかれ
オリジナリティの欠如を糾弾するような時代では
とうてい考えられない、非常におおらかな時代ではあったので、
クロザルのイメージング過程でもしかしたらどこかで
手塚先生が意識するしないはともかく、
パッキーの図版をどこかで見てそれが
頭に残っていた可能性だってもしかしたら
あったんじゃないか、とふと思うのだった。
あの怪獣怪人大百科にもすでにこのころパッキーは掲載されていましたしね。

真実はなんにせよ、今、くしくもぶたのはなさんから
パッキーもクロザルも同じサイズで並べられるよう製品化
されたのが興味深いところ。パッキーとクロザルは
猿怪獣のアイコンのミッシングリンクから今、同一の
メーカーさんによりソフビ化されることにより
邂逅の場を得たのだ!それは何か長らく途切れていた進化系統樹が
ちょっとしたきっかけで輪を結んだようなものだろうか。

とりもなおさず
ぶたのはなさんの猿(や原人・原始人系)キャラクターは版権モノも
オリジナルもハズレがないですね。
ひとつの得意ジャンルなんでしょう。





サンダーマスクの素体であるケイ素成分の知的宇宙生物、サンダー。
とさかに背中には羽根が生え、どことなく火の鳥的な
鳥人モチーフを取り込んでいます。
手塚先生の作品化ではよく永遠の命、的な目線で宇宙の進化を見つめ
人間の過ごす命の時間などはしょせん短い、
星がまたたくような時間の話にすぎないと
いうような描き方をする時があるのですが、ケイ素生物であるサンダーも
火の鳥のような容姿にしたのはそんな人間とは異なる長大な
ライフサイクルで生きる生物のイメージを付加したかったのでは。

しかしサンダーマスクのスーツの中に別の鳥のような宇宙生物がいるなんて、
漫画版デビルマンのアモンが尻尾の生えた獣のような
下半身をしている、くらい大胆なビジュアルの改変です。

今回ぶたのはなさんはサンダーの下半身をグリーン成形にしているんですが
これはサンダーマスクと色を同じくして、スーツ着用前のイメージを
想起させようという色指定ではないカナ?
コミカライズファンのココロをくすぐる
仕様ですネ。


 






そしてこちらがサンダーの宿敵、デカンダー。
テレビのデカンダはトカゲ状の幹部キャラですが
こちらは音引きつきの名のみ似て異なる存在。今回ソフビ化されたのは
地球でようやく人間の姿を得て暴れている時の状態ですね。
なんか80年代のLAメタルの
バンドメンバーに居そうな感じのドハデはくまどり?メイクのキャラ。
(読み返してみたらメイクでなく、マスクのようだ)
しかしぶたのはなさんのソフビ化はサンダーもデカンダーも
どこか昭和のパチヒーローソフビにありそうなソリッド&ラフな
作りですね。

でも、ひとつ思ったのは、昭和頃のアニメや怪獣番組が
スタートしたころにパチ業者があわてて作ったパチヒーローソフビは
TVに出てくるキグルミやアニメの設定資料がなかったので
当時の怪獣モノメディアミックス誌でしのぎを削っていた
名誌・冒険王やテレビマガジン、または少年漫画雑誌に載っている
コミカライズ作品のビジュアルを見て「だいたいこんなんだろ」的な
スタンスでそそくさと番組の開始にあわせてソフビにして発売している
ケースも少なくなかったりします。

なにしろ勝手に製品化してるので版元の資料なんか
入手できないです。「ゴジラ対ヘドラ」製作前のポスターの
イメージをむりくりふくらませて
結局3匹作っちゃったIKBのヘドロシリーズなんかまさにそれですね。

で、TVに出てるのも雑誌で始まった漫画版も
パチ業者にとっては同じようなもの。
それより彼らの頭にあるのは、番組開始直後のおもちゃや
の軒先にある吊るしストッカーにいかに早くこのパチソフビを
作って並べるかのみ。
版権アイテムの登場前にさっさと売り抜けるんじゃ!!

そんな昭和のパチソフビの製作ルーチンを頭にうかべつつ
今回のサンダーとデカンダーを手にすると、パチソフビっぽい
楽しさもあったりして、実写サンダーマスクのソフビ化が困難であるという
事実を超え、あえて手塚コミカライズ版のほうをソフビ化した
ことでぶたのはなさんがはからずも、
当時のパチソフビの作られた空気に肉迫するというか、
自らの作風とあいまって製品の味を生かす
うまい落とし所を見出したのではないか、と思う次第。

当時コミック版サンダーのソフビが
もしかしたらあったかもしれない感。
このソフビにはそんな空気が横溢しているように思います。

3チャン経営のおもちゃ家内制手工業が
サンダーマスクのTV放映に目をつけて、これに一口のるんじゃ、と
少年チャンピオンで先行してスタートした
手塚コミカライズを唯一の資料に
必死でせっせと夜なべしてパチソフビを作り
怪獣ブームにすこしでもあやかろうという
もしかしたらあったかもしれない話。。。
これもきっとTVに出てくるんじゃ、と
勢い余って漫画オリジナルのタイヤやクロザルまでつい製品化、みたいな。

当時いても不思議でない。
このぶたのはなサンダーマスクシリーズで遊びつつ
そんな昭和のパチソフビ開発妄想ストーリーを
脳内で組み立てつつ楽しむというのも
また興趣あるところかもしれませんね。



TV版のシンナーマンの回に肉迫するコミカライズ版の
トラウマシーン。
自分の命が余命いくばくもないと知って
街をプラカードを持って歩き、残り少ない命を1000万で
売ろうとする主人公、命光一!






じつは手塚治虫先生がデザインしたスーツを着た宇宙生物だった
コミカライズ版サンダーマスク。
劇中でライダーの立花藤兵衛みたいにサンダーの活躍をサポートする
手塚治虫先生が楽しい。
でもこの登場は「原作が手塚治虫ではないけどコミカライズを
手がけることでそう見える効果」みたいな当時すでにあった
巨匠のお墨付きで作品を大きく見せる怪獣やマンガ業界での
マーチャンダイジングの不文律を見事に劇中で風刺
しているようでもあり、また興味深いトコロ。

この「サンダーマスク」は手塚プロのスタッフのヒトが
立ちあげたプロダクションの映像作品なので、
いわば漫画版にでずっぱりで宇宙から来たヒーローを
サポートしている手塚氏は
映像のセカイに躍り出た部下への親ごころで
作品を支えていたのかもしれない。



前にも載せたけど、このページがやはり
ツボだな。サンダーのヤラレっぷりがオシシ仮面の
次回への引きみたいで見事。

手塚先生、このサンダーの頃はアニメの制作会社の
やりくりに苦しんでいた頃で、
経済的にも厳しく、いわば背水の陣を敷く時期に
さしかかっていたけど、作品を見ているとそんな感じは全然しない。
むしろ入ってきた仕事をフットワークも軽く、自分の作品として
楽しみながら仕上げている感じ。

サンダーマスクの秋田書店・サンデーコミックス版には
手塚先生のコメントとして、こう書かれている。
「この作品はもっと長くなるはずだったのですが
出版社の都合で途中で終わったものです」。

厳しい環境にあっても一人でも自分の漫画を手にとった
お客さんを楽しませようとしてたんだろう。
思うに、もっと手塚治虫作による独自の味付けによる
特撮・怪獣モノのコミカライズ作品を見たかったですね。






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30 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ソフビ好き)
2011-02-20 02:41:01
これでぶたのプレミアがまた上がるな
タコペ釣り上げ乙
ぶたは全部再販しまつw
バイヤー乙
返信する
Unknown (タコペッティ)
2011-02-20 08:59:49
おはようございます。
サンダーマスクのワンフェス限定品に関しては
午後に会場に来ても買えてましたよ。
実際会場にくる友人にぶたのはな
アイテムの買い物をたのんでた
人もいましたしね。
数もブログを見る感じではかなり作ってたし。

今回のパッキーなど
通販品も数はある程度つくっていた
と思うのですが、それを上廻ったということで。
やはり新規のお客が増えたんだと思います。
10個とか20個とか数を絞っていた
とは到底思えません。それにしても
早かったなとは自分も思います。
当方としては希少性を煽るアイテムの
紹介は何か製品自体の評価がそれを上廻らない
限りあまりしませんので
釣り上げ意図はないですよ。
見る人が入手できなくて
不愉快になってもそれはブログの本意でない
ですから、やりません。

それと今回の通販の反響から、
きっと再販かなんらかの再購入の機会は
グリホンの時のようにあると思いますよ。
これだけ需要があるとお客さんサイドが
表明しているんですからね。
返信する
Unknown (ソフビ好き)
2011-02-20 17:27:38
ゆたり行列に並ばなブロガー
ブログに乗かてるのは裏取引w
キマらとかwww
返信する
Unknown (タコペッティ)
2011-02-20 17:34:24
ソフビ好きさんは
ゆたりさんの行列に並んだんですか?
返信する
Unknown (ソフビ好き)
2011-02-20 17:40:23
並んだお(*^^)v
キマらはいなかったおw
ブロガー特別席はマジだお
(´・ω・`)
返信する
Unknown (タコペッティ)
2011-02-20 20:58:49
>ソフビ好きさん

それだけじゃ断定にならんですYO。
だれかその場に居るヒトにお願いしたかも
しれないしね・皆お互いに
買い物お願いしあったりするのは
こういうイベントでは普通にありますしね。

まあそこを現状の観察で
断定してもどうも言えない話ですが。
ただゆたりさんとキメラさんが特別親しければ
当然手にとって見てもらいたいという気持ちも
メーカーさんサイドにきっとあるでしょうからね。
ワンフェス限定品であるゆたりソフビをとりまく
現状を見たら、そこまでは詮索しえないでしょう。

ひとつ言えるのは
この期に及んでブロガーに得とか特別席優遇なんて
基本ないっすよ。なんたってこのニッチな
ソフビ界のブロガーですよ(笑)。しかし
最近数の少ない系のとかまったく応募してないけど
(店頭のじゃんけんのヤツとかだけだなあ)
抽選モノで応募時に一声添えて
ブロガーですから当ててくださいなんて
言ってたらアホっぽくておもしろいな。
今度試しにこんな文章を添えたとか
公開で当たるか、やってみましょうか。
返信する
Unknown (メガたぬき)
2011-02-20 21:37:14
どうも、こんばんわ。
サンダーマスクは、
まだ読んでないのですが、
たしか、手塚先生がSF大会の
帰りにクロザルに襲われる
っていうくだりでしたね。

少年マガジンの表紙グラビアを
飾った「万博怪獣エキスポラ」も
特撮・アニメの区分が明確でなかった
ジャリ番、テレビマンガと呼ばれていた
頃の時代の空気感を見事に体現している
ように思います。
この手塚先生の描いたエキスポラも
立体物として、実にソフビ向きの
題材だと思います。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2011-02-20 22:33:55
>メガたぬきさん

こんばんわ!
そうそう、SF大会が出てきますね。あと
永井豪のヒトとか温泉の場面に
出てくるし。楽屋落ちみたいだけど、この当時
SFなんてあまり社会的認知度の低い
時期に一般漫画誌にマニアイベントの
「SF大会」を出せる
漫画家なんてやはり手塚先生くらいでないと
って感じがしますね。
マスコミにクロザルがモンキーセンターから
いなくなった件でコメントを求められて
SFをイロモノあつかいされたと
手塚先生が怒るんですよね。
あれは本人のSF愛を感じました。
手塚先生の漫画が面白いのはいい意味で
いろんなことにマニアだったことも
力場として大いに関与しているのでは、と
思いますね。

一種のメタフィクションみたいで
現実と地続きの不思議な冒頭です。

>エキスポラ
最近も当時のグラビア特集を集めた本で
見たな、エキスポラ。あれかっこいいですね。
やはり怪獣という見立てで正しかったんだな、
太陽の塔は。
ほんとは本日のリンデンさんの記事で
最後に太陽の塔が怪獣化して暴れるみたいな
場面を載せようとソフビの太陽の塔を持って
ビル街のミニチュアをバックに
いろいろやってたんですが、飛躍にすぎるので
やめました(笑)。
返信する
Unknown (タマロ)
2011-02-21 00:06:39
どうも!
今回のパッキーも買えなかったのですがどの位で売り切れたのですか?
ミニパッキー欲しかったです(涙)
再販まで待てばよいのですが待てないのでヤフオク、コスモナイトさんあたりをチェックして10000円ぐらいだったら買いたいなと思っています。
返信する
Unknown (タコぺッティ)
2011-02-21 00:28:40
>タマロさん

こんばんわ。
いつもご高覧ありがとうございます。

スタート午後2時で、自分も4種類とも
カートに入れて情報を入れて
送信したらちょうど2時5分でした
か。ちょっと一か所とまどってしまったので
遅いかなとは思ったんですが。

その時点で気になって戻ってみたら
まだ通常のパッキーとゴローはありましたね。
でもそれも数分でなくなった感じでした。
2時間くらいして4時にはスダールも終わってた
と思います。

まあもともとぶたろぐにも掲載されていたけど
製作中のパッキーも60個以上あったので
ふつうに考えるとまあ買えそうに思うのですが
それを上廻るオーダーが来たっていうこと
ですね。どっちにしろ転売に回っているとして
皆が大量に出品してもそう
値がつくとは思えないのですが。
まあぶたのはなさんに値がつくというのは
実は奇妙な感じもするし、今回の状況は
何か市場にあまりおもしろいモノが
なくてむやみに人が殺到した感じもします。
でももう少し自分のソフビ嗜好に主体性をもって
買うことが大事なのでしょうし、
ぶたのはなさんもこういう形で完売しても
ほしい人にいきわたっているかというと
必ずしもそうではなく
見方は複雑なんじゃないかなとは思います。
ずいぶん思ったよりも買えなかった人が
出たようなので、
グリホンの時のように再販があるといいですね。

まあ、手にしたモノはおなじなので、
あまり買う時点で気が急くことは
ないと思うのですが。
今後はタマロさんの判断次第ですが
ふつうに再販するならそれを待ったほうが
無用に出費を抑えられますよ、と一応。
返信する

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