地雷の海を泳いで
早実の斉藤が進学すると発表してから、すこしずつ落ち着いてきたと思ったら、今度は国体に出るというので、また女子どもが騒がしくなった。
ハンカチ検査も相変わらず続いている。
初めは面白がっていた奴も、たまに忘れてきて厳しくチェックされている。
俺は2枚のハンカチをポケットに入れ、交代で見せているからずっとセーフだ。
我ながら頭いいと思っていたが、今日 朝練が少し早めに終わって教室に戻ろうとしたら、階段の途中で保健委員の相良に会った。嫌なことは早く済ませようと、
「ハンカチ持ってるしね」と、ポケットから出して見せた。
「伊東君、待って」追い抜いて先へ行こうとする俺を、相良が呼び止める。
「えっと、伊東君はいつも同じハンカチだよね」
やばっ、気づかれたかな?
「うーん、俺あんまし持ってないから・・・」苦しい言い訳をする。
「あの、あのね・・・」相良は下を向いて困った様子だ。こいつは、クラスでもそれほどうるさい方じゃない。他の女子から何か言われたのかな?もう1枚ハンカチを用意しようかと思っていたら、
「あの、私今度、斉藤君にハンカチをプレゼントしようか?」急に顔を上げて言うじゃないか!なんか顔が赤いような気もする・・・・
えっつ!!えーっ?これって、これって もしかして・・?
相良はおれを見たまま動かない。気のせいか、こっちまで顔が赤くなったような
熱くなったような・・・・
「い、いや、・・・俺、ハンカチにはこだわりがあって・・・・、とにかくハンカチは今いらないから・・・・」
泣きそうな顔になったように見えるのは、気のせいか?とにかく、俺はもつれる足で階段を上りトイレへ。
恥ずかしくて逃げ出した訳ではないぞ、言っとくが。同じバスケの矢坂が、前から相良が2組じゃ一番かわいいとかなんとか、事あるごとに言ってるんだ。おまけに夏休みが終わった頃から、「矢坂は相良にマジ」と、バスケ仲間にからかわれても反論しないし、「伊東は2組でいいよな」などとため息交じりで俺に言うこともあるわけ。だから、この事態はまずいというか、ヤバイでしょ?
「ゆうき?お前トイレで何やってんの?朝ぱらから?」
俺が青春の悩みに浸ってると、呑気なマサヤの声。トイレの入り口に立ってこっちをニヤニヤしながら見てる。
「ゆうき、大丈夫か?朝練始まってから、お前ボーっとしてるしさ。今までも変といえば変な奴ダケドサ」
「あ?なんだと?」と、いつものようにじゃれあおうと思ったが、俺の手にはカバンが二つ。ま、トイレでただ突っ立ってる格好じゃないよな。これ以上変な注目を集めないよう俺はマサヤと並んで教室に向かった。
今朝のことは、誰にも知られないようにしないとな。俺が相良のことが好きならともかく・・。アレ?そのほうが余計まずいのか?まあ確かにかわいい方ではある・・・・・様な気がした。
楽しく平和に暮すには、ボーっとしてちゃダメなんだから。歴史や政経の時間にもっと身近な現実的なことを扱ってくれたら、勉強もやる気がでるんだけど・・・
俺は席替えでいい席をゲットしたつもりだったが、今までは確かにいい席のはずだったんだが、俺がその席になってから、先生がやけに頻繁に俺の席の辺りを歩くようになって落ち着かない。集中できないというか・・・
これ以上成績が下がったら大変なので、俺は真面目に授業を受けることにした。
全教科真面目に受けていたら、身体がもたないので教科を選んでるけどね。
だから、先生がやたら俺の席の周りを歩くと、緊張の波のリズムが狂うんだよね黒板の前にドンと落ち着いていてくれないとホント困るよ。
早実の斉藤が進学すると発表してから、すこしずつ落ち着いてきたと思ったら、今度は国体に出るというので、また女子どもが騒がしくなった。
ハンカチ検査も相変わらず続いている。
初めは面白がっていた奴も、たまに忘れてきて厳しくチェックされている。
俺は2枚のハンカチをポケットに入れ、交代で見せているからずっとセーフだ。
我ながら頭いいと思っていたが、今日 朝練が少し早めに終わって教室に戻ろうとしたら、階段の途中で保健委員の相良に会った。嫌なことは早く済ませようと、
「ハンカチ持ってるしね」と、ポケットから出して見せた。
「伊東君、待って」追い抜いて先へ行こうとする俺を、相良が呼び止める。
「えっと、伊東君はいつも同じハンカチだよね」
やばっ、気づかれたかな?
「うーん、俺あんまし持ってないから・・・」苦しい言い訳をする。
「あの、あのね・・・」相良は下を向いて困った様子だ。こいつは、クラスでもそれほどうるさい方じゃない。他の女子から何か言われたのかな?もう1枚ハンカチを用意しようかと思っていたら、
「あの、私今度、斉藤君にハンカチをプレゼントしようか?」急に顔を上げて言うじゃないか!なんか顔が赤いような気もする・・・・
えっつ!!えーっ?これって、これって もしかして・・?
相良はおれを見たまま動かない。気のせいか、こっちまで顔が赤くなったような
熱くなったような・・・・
「い、いや、・・・俺、ハンカチにはこだわりがあって・・・・、とにかくハンカチは今いらないから・・・・」
泣きそうな顔になったように見えるのは、気のせいか?とにかく、俺はもつれる足で階段を上りトイレへ。
恥ずかしくて逃げ出した訳ではないぞ、言っとくが。同じバスケの矢坂が、前から相良が2組じゃ一番かわいいとかなんとか、事あるごとに言ってるんだ。おまけに夏休みが終わった頃から、「矢坂は相良にマジ」と、バスケ仲間にからかわれても反論しないし、「伊東は2組でいいよな」などとため息交じりで俺に言うこともあるわけ。だから、この事態はまずいというか、ヤバイでしょ?
「ゆうき?お前トイレで何やってんの?朝ぱらから?」
俺が青春の悩みに浸ってると、呑気なマサヤの声。トイレの入り口に立ってこっちをニヤニヤしながら見てる。
「ゆうき、大丈夫か?朝練始まってから、お前ボーっとしてるしさ。今までも変といえば変な奴ダケドサ」
「あ?なんだと?」と、いつものようにじゃれあおうと思ったが、俺の手にはカバンが二つ。ま、トイレでただ突っ立ってる格好じゃないよな。これ以上変な注目を集めないよう俺はマサヤと並んで教室に向かった。
今朝のことは、誰にも知られないようにしないとな。俺が相良のことが好きならともかく・・。アレ?そのほうが余計まずいのか?まあ確かにかわいい方ではある・・・・・様な気がした。
楽しく平和に暮すには、ボーっとしてちゃダメなんだから。歴史や政経の時間にもっと身近な現実的なことを扱ってくれたら、勉強もやる気がでるんだけど・・・
俺は席替えでいい席をゲットしたつもりだったが、今までは確かにいい席のはずだったんだが、俺がその席になってから、先生がやけに頻繁に俺の席の辺りを歩くようになって落ち着かない。集中できないというか・・・
これ以上成績が下がったら大変なので、俺は真面目に授業を受けることにした。
全教科真面目に受けていたら、身体がもたないので教科を選んでるけどね。
だから、先生がやたら俺の席の周りを歩くと、緊張の波のリズムが狂うんだよね黒板の前にドンと落ち着いていてくれないとホント困るよ。