i saw a film today, oh boy

心の1本を探す~私的・映画鑑賞記録

スタンドアップ (North Country)

2006年01月27日 | 2006年の映画鑑賞
★★★★☆(A’)

「最初に立ち上がる人」になれるだろうか。

鉱夫の間で、自分たちの仕事が「男のもの」だとする
既得権益の意識が根強かったのは仕方ないと思う。
男にだからできる仕事だという矜持さえあったのだろう。
良い悪いは別にして。
ひとえに、その主張の仕方が悪いのだ。胸くそ悪い。

そんな中、またしてもシャーリーズ・セロンが輝きを放っている。
美しくも、その美しさが、けして見る者を邪魔しない。
美人だなあ、などと作品世界から「注意が逸れる」ことがない。

生活感ある表情の合間に時折滲み出る美貌だけで、
男どもから好奇や性的な衝動の対象に、
同性からは嫉妬の標的にされてしまった不条理さを
十分な説得力で物語っている。

あくまで「立ち上がる」勇気の尊さを描いた作品だが、
その蔭で、立ち上がれずに泣き寝入りせざるを得ない
弱者の存在がどれだけ多いかも、克明に描かれている。

テーマが身近なだけに、
単なる「感動作」「勇気をくれる映画」に留まらず、
普段の自分自身の社会的なあり方、
―セクハラ含め、立場の強い・弱い相手への対し方一般―
について、鑑賞後も問題提起しつづける作品だ。

                (TOHOシネタウン秋田)