*** june typhoon tokyo ***

BENNIE K@ZEPP TOKYO

Benniek_worldtourinjapanBENNIE K“WORLD TOUR!? in JAPAN”@ZEPP TOKYO、東京2Daysのラストに参戦してきた。ツアーも残すところ7/7の大阪だけという、ツアーラス前のライヴ。今回は、ニュー・アルバム『The World』のコンセプトを基にしたということで、BENNIE Kが音楽と言う船で世界中を案内するという構成だ。

 ステージは右上奥に大きな地球儀、左上部にスクリーンが設置され、そのスクリーンから地球儀のある右方向にアッパー・デッキ・ステージ、そこから緩やかにカーヴする階段がメインステージ右側へと続いている。バンド・メンバーは4人で、左からギター、キーボード、中央にターンテーブル、右にドラムという配置。ターンテーブルのDJ HI-KICKの台は、舵輪(船長が「おも舵いっぱぁ~い!」と叫んだら操縦士が回すでかいハンドルみたいなヤツね)の上半分を施してある。さながら、BENNIE K流『パイレーツ・オブ・カリビアン』といったところ。

 ライヴは18:07に暗転し、『The World』のオープナーでもある「ある朝~Opening」でスタート。BENNIE K流世界航海へようこそ、観客のみんな、旅と心の準備をして、さぁ世界航海の旅へ……といった具合か。先行シングルである「Joy Trip」から「SATISFACTION」までの序盤は、アルバム『The World』の構成とほぼ同じ。アッパーな楽曲が連なっているので、場内の興奮も最初からトップ・ギアだ。

 個人的にアルバム『The World』のリリース前に考えていたことがあったのだが、それは先行シングルのカップリングでCMタイアップ曲(au by KDDIのCM)でもあったローリング・ストーンズのカヴァー「SATISFACTION」をアルバムに収録するのかということだった。アルバム『The World』は、青い鳥はどこにあるんだろうと世界を求め彷徨っていくが、実は一番身近なところに青い鳥はあったんだという、まぁ極めてベタな展開(その後ハワイへヴァカンスに…というオチがあるにせよ)で、それ自体は特によくある話だ。だが実際聴いてみると、世界各地域の独自の音楽要素を採り込んでBENNIE K流に料理していくというそのコンセプトは、深みがあるという訳ではないが、しっかりと打ち出されていた。世界遺産や世界の大自然を探求する…というような重厚なメッセージではなく、サイコロ転がして紙上旅行ゲーム風といったノリではあるが、それはそれで、エンタテインメントを追求した彼女らの音楽性としては、高い評価が出来る作品だ。特に前作『Japana-rhythm』が、コカ・コーラCMのタイアップで大ブレイクするきっかけとなった「Dreamland」にかなり頼った感のあるアルバムとなってしまったように思えたから、ということもあるが。
 前作『Japana-rhythm』で日本の四季をコンセプトにした次は、青い鳥を探しに世界を旅するというアルバム・コンセプトをしっかりと確立して、さて、そこで「SATISFACTION」である。どのような経緯でローリング・ストーンズのカヴァーを歌ったかは解からないが、単純にタイアップとして人気が出たからといってアルバムに収録するのはどうなのか、と思っていたのだ。楽曲を聴いてみると、バグパイプ風のサウンドをアレンジしてローリング・ストーンズの出身でもあるイギリスの楽曲として旅路に含まれていた。このあたりはかなり苦心もあったのかなと思えるが、一応はコンセプトに見合う形で収録されていてよかった。

 今回は映像がかなり凝っていて、CGアニメ風のものであったり、実際のステージ映像を取り込んでみたりと、かなり金をかけたのではと思える仕上がりだ。「SATISFACTION」では、ユニオン・ジャックがサブリミナル風に映し出され、その基調となる色、青、白、赤が、画面を縦横無尽に駆け回るといった風。先ほど、「SATISFACTION」を巧くテーマにそって英国として組み込んだということを書いたが、細かいことをいうと、バグパイプで著名なのはスコットランドだから、厳密にはイングランドではないのだけど。まぁ、そんなことをいったら、バラライカを用いたロシアン風の「ララライLIE!?」ではカジノの支配人のような男がコサック・ダンスをしたりするコミカルな映像も出てくるが、コサック・ダンスもロシアじゃなくて厳密にいえば、ウクライナだから。楽曲もロシアン風なアレンジではあるが、CICOのラップはきっぷのいい江戸っ子風だし。(笑)

 「SATISFACTION」を終え、前作『Japana-rhythm』の実質的なオープニング・チューン「ユートピア」へ。だが、一旦クール・ダウンすることもなく、ロシアで賭けをして、ドイツでフーリガンとバカ騒ぎするというアッパー攻めに、ヴォルテージもうなる一方だ。

 この段階では最新シングルとなる「1001Nights」の次は、“1001の夜を越えた後にスイスにたどり着いた時、澄んだ湖や山々の景色を見て、みんなに気持ちを届けたいと手紙を書いたという思いから作った曲”という「echo」を。YUKIの瑞々しい歌声が響く楽曲だ。ライヴでは声の調子なのか音響系の問題なのか(ハウリングもしていたし)、CDほどの瑞々しさとまではいかなかったが、YUKIが歌に込める想いの強さはステージ上から観客へしっかりと届いたのではないか。
この曲を最初聴いた時は北欧をイメージした楽曲なのかと思ったのだが、スイスということだ。今回それを聞きステージを見たのだが、そういわれると北欧ほどのキーンとした張り詰めた空気感というよりは、清々しさとどこか牧歌的な要素を感じ取ることが出来た。その場でそう感じさせるのは、やはりヴォーカルの想いの強さなのだと思う。

 中盤では、CICOの「ここらでもう一匹(船に)乗せちゃう?」のフリから「Doggy Love」へ。左袖からGIPPERが出てきてのフィーチャリング・アクトとなった。「もう離婚だッ!…なぁ~んてネ」のフレーズもバッチリ決まり、GIPPERとの相性の良さを感じさせる。続いてCICOが「アロハ~」と観客に呼びかけて「ワイハ」へ。フラダンサー×3が出てきて、CICOとYUKIを挟むように5人が並んでフラダンス・ショーといった趣。YUKIの腰の使い方がちょっと照れなのか動きが少なかったように思えたが、それはヴォーカルに専念しすぎたということと解釈しておこう。(笑)
 
 今回ダンサーとしては、フラメンコ・ダンサーでシンガーの石岡美紀やベリー・ダンサーとしてマナカらが参加。上述のフラダンスの場面はもちろんのこと、情熱的な「Matador Love」でのフラメンコなどでもステージを盛り上げた。HIPHOPアーティストのダンサーというと、ストリートやレゲエ系などのダンサーを起用することが多いと思うが、このような妖艶で成熟したまるみと鋭さを持ったダンサーの登場は、今回のコンセプトにかなりいい効果を与えたのではないだろうか。

 終盤に入ると、「みんなは、騒ぎにきたんだよねぇ~!」というCICOのフリから「Happy Drive」へ。そして、彼女らの大ブレイクを呼んだ「Dreamland」で本編でのヴォルテージは最高潮に。やはり認知度が高くノリやすい楽曲だけに、かなりの一体感を呼び起こしていた。
 そして、世界中を旅して知り得たことを表現したような2曲、アフリカの原始的な、母胎回帰ともいえるサウンドから触発され、癒しと自身の大切なものとは何かということを歌う「SAFARI」、家族や友達、愛する人…自分を大切にしてくれる人こそが求めていた答えだと悟る「青い鳥」でフィナーレ。アルバムのコンセプト同様に、ステージでも体現。2人がステージ・アウトしバンドがアウトロまでを演奏しきって一旦幕。

 アンコール中では、前方左側の方から「Better Days」を歌いながらアンコールを呼びかける。それに合わせてホール全体に拍手が鳴り響くと、それほど待たせることなく、DJ HI-KICKが登場。続いてBENNIE Kの2人も「アンコール、ありがとー」とステージ・イン。
 
 アンコール1発目は、彼女らにとってはネーミングの由来にもなった“弁慶”を歌った「弁慶&牛若丸」でスタート。「UNITY」でさらにアゲると、ラストは彼女らのブレイクのきっかけとなった「サンライズ」で暴れて締め。ホール全体で手を挙げ、一心にステージにいるメンバーに視線と思いを届かせる観客の姿は、彼女らにとってはライヴを通して新たな“青い鳥”を発見、体感した瞬間であろう。
 それは、「世界中を青い鳥を探して旅してきて…」と言った後で観客から「見つかったー?」との問いかけに、「(青い鳥を)見つかったよ……で、ZEPP TOKYOに帰ってきました」というMCでのコメントに集約されていた。
 その後、ふと右上の地球儀を見ると、最初地図であった球体には羽ばたく青い鳥が描かれていたのだった。

 メンバーが挨拶を終え、ステージ・アウトすると、スクリーンに映画のエンディングのように、メイキング・ヴィデオ風の映像とともにエンドロールが流れる。バックには「Around THE WORLD~Reprise 」のオーケストラ・サウンド。映像が終わると、会場から自然と拍手の波だ。照明が灯ると時間は20時7分。BENNIE Kツーリストで行く2時間の世界旅行ツアーは、多くのエンジョイとハッピーな時間をオーディエンスに与えて帰路に着いた。それは、ライヴ終了後に多くの人が見せた、和やかな笑顔からも知ることが出来た。
 
 アルバム・コンセプトをコンパクトに、そしてエンジョイするということを第一に考えた構成は、彼女ららしいエンタテインメント性が表現出来たステージだったといえる。ただ、惜しむらくは、YUKIのMCか。話している内容などが悪いということではなく、彼女のひたむきな性格がそうさせるのかもしれないが、MCの声のトーンがややシリアスというかCICOと比べるとやや暗い感じがしてしまう。バラードへ入る時やしっかりとコンシャスなメッセージをするのであればそれでもいいのだが、ノリのいい楽曲から続いてまた同様の楽曲へ続くという時に、そのMCの声調を聴いてしまうと、若干クールダウンしてしまう印象があるのだ。
 まぁ、抑揚の激しい揺らぎを持った、ある意味変態的なCICOのラップと、時に一点を見つめてひたむきに歌い、時に伸びやかなハイトーンを駆使したりする清々しさを持ったYUKIのヴォーカルとのギャップが、彼女らの長所でもあるから、MCでもそのトーンのギャップがあってもいいのかもしれないが。

 日本の四季、そして世界旅行ときた訳だが、さて次はどうなるのか。
今はアルバムを聴き直して、BENNIE K流世界旅行をまたじっくりと楽しんでみたいところだ。
Benniek_worldtourinjapan01










◇◇◇

あとは、「DISCO先輩」が聴きたかったなー。
with 小林克也も期待したんだけど。
「Happy Drive」でVERBALが来るよりも期待できると思ったんだけど……、まぁ、それは仕方がないな。

◇◇◇

<SET LIST>

01 ある朝 ~Opening~
02 Joy Trip
03 Passista de Samba
04 SATISFACTION
05 ユートピア
06 風利眼 in the house
07 ララライ LIE!?
08 Matador Love
09 旅人
10 1001Nights
11 echo
12 Better Days
13 Doggy Love(with GIPPER)
14 ワイハ
15 Happy Drive~Taste Your Stuff~
16 オアシス
17 Dreamland
18 SAFARI
19 青い鳥
≪ENCORE≫
20 弁慶&牛若丸 (DJ SET ONLY)
21 UNITY (DJ SET ONLY)
22 サンライズ (FULL SET)

Benniek_hawaii

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ライヴ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事