*** june typhoon tokyo ***

名古屋 vs FC東京【J1リーグ】


 失点止まらず、ユンカーに3発喰らい惨敗。

 中3日でミッドウィークに迎えたアウェイ名古屋戦は、守備の脆さが露呈し、今季初ゴールとなったキャスパー・ユンカーに3発を撃ち込まれての惨敗。前節・柏戦に続いて、2戦連続3失点と守備の修正も整わず、不安が残る一戦となった。

 敗戦にはさまざまな要因があると思うが、単に森重、木本のヴェテランのCBコンビが拙かった、ということで終わるという話ではないだろう。これはCBに限らずだったが、まずは雨の中で思ったほどボールが走らない、安定してパスが届かないというピッチ状況を判断し、把握出来ていなかったことが大きい。名古屋、FC東京ともに前から素早くプレスを仕掛けていくなかで、一瞬のミスパス、球離れの遅さ、トラップの精度の悪さによって、ボールが相手に渡ってしまう。そういったリスクがあることを頭に入れるなかで、どのように対応すべきかをチームとして共有すべきだった。詰められて後ろ向きになるのであれば、結果的に相手にボールを与えてもいいから、セーフティに前へ送るとか、相手を詰められてしまう前に少ないタッチ数でボールを動かすなど、ピッチ上の状況によって臨機応変にボール運びの術を変えていく必要があった。ボールを持ちながらも外に振られて、サイドの狭いスペースで細かいパスをするようにさせられ、ボールを奪われる展開が繰り返されるのであれば、相手が近づく前にボールを動かし、なるべく自陣でボールを失うリスクを減らす対応をしてもらいたかった。

 前半のペナルティエリア内で森重が内田を倒してPKとなった場面は、ややタイミングがズレて内田の脚にかかったとはいえ、森重もボールに触れており、完全にPKというよりは、判定によってはPKという見立ても出来なくはない。ただ、バングーナガンデが森重に出すのではなくクリアしていれば、森重もボールを持つのではなく、即座にクリアしていれば、PKを与えることにはならなかった。ペナルティエリア内では一瞬の隙が命取りになるし、そもそも名古屋は前からアグレッシヴにプレスをかけてくるチームだということが頭に入っていれば、まずはセーフティにボールをクリアすることだろう。前半から30分も経たないうちに名古屋に3枚、FC東京に1枚の計4枚のイエローカードが出ている戦況であれば、なるべく相手との接触を避けてプレイするべきだ。そして、ややアンラッキーなPKとはいえ、森重は前節・柏戦でGK波多野の退場に繋がるミスをしていることもありで、2戦連続で痛いミスをしており、心証は良くない。

 それは木本も同様で、森重の不安定さに引きずられたのか、思い切ったプレイが出来ず、どこか迷いがあるような、浮ついた感じでのポジショニングが目立っていた。その迷いが半歩の球離れの遅れに繋がり、相手にボールを奪われ、後ろから引っ掛けるというような形も。森重、木本ともにさらにスピードを上げろというのは無理な注文だが、相手選手にぶっちぎられたならともかく、素早い判断をしていれば防ぐことが出来た場面で交わしきれなかったことが散見されたため、状況判断とサポートを素早くすることで対処してもらいたかった。
 71分のユンカーの2点目も、名古屋の自陣から前線への浮き球を胸で収めて前進したユンカーが左の和泉へパスしたところで、ユンカーには後ろから小泉が追っていったが、左の和泉には白井がプレスバック、ユンカーには小泉と森重、ファーサイドに森島にはバングーナガンデがマークしており、守備の枚数的には揃っていた。和泉からのパスを受けたユンカーが巧みなトラップでペナルティエリアへ弾ませてシュートを放つのだが、追いかけた小泉は前を取られて難しい体勢となったが、森重と木本でユンカーの前を塞ぐことは出来たはずだ。特に木本は出し手の和泉に向かって白井のフォローをする訳でもなく、ユンカーと競っていた小泉のフォローをする訳でもなく、その中間のスペースに立っていただけで、パスの出し手、受けて双方へのカヴァーも間に合わない位置で失点を見つめることになってしまった。

 前節で一発退場して出場停止となった波多野に代わって先発したU-23代表帰りのGK野澤大志ブランドンも、帰国後のコンディションが上がってないのか、ユンカーの2点目もボールが目の前で弾んだとはいえ、弾ける範囲に飛んできたシュートに対して触ることが出来ずに左脇を抜かれてしまったのはいただけない。波多野が今季2度目の一発退場を喰らい、今節をもって正GK争いもほぼ終わるかと思っていたが、この調子だとまだ分からない。1、3失点目はPKと技ありのヘディングゆえ、不運なこともあるが、1試合でシュートに触れることが出来ずに3失点では、期待度が高かっただけに印象が良くない。

 攻撃面では左サイドの俵積田がしっかりと対策されてしまい、有効な突破がなかなか見せられなかった。今後も各チームが対策を重ねてくるゆえ、そこをいかにして打開するかが攻撃の鍵となってくる。これまでは試合の各データ値が低くとも、チャンスクリエイト回数が低くとも、チャンスを一発で決め切るゴール決定率、得点数の高さで優位を保ってきたが、攻め手を対策され、打開出来ないとなると、失点数が多いゆえ、一気にチーム状況が悪化する危険性を孕んでいる。ただ、荒木、松木が途中で投入されてからは少ない時間ではあったが攻撃が活性化し、荒木のゴールも生まれた。この1点で勝ち点を獲る呼び水には至らなかったが、ある程度連続攻撃も生まれ、アディショナルタイムには右サイドの白井のクロスを頭で合わせたバングーナガンデのシュートがゴール寸前で阻まれるなど絶好機も作れてはいたし、白井はこの試合ダントツのスプリント数で上下に走り、チャンスの創出に貢献するなど、ポジティヴな面もあった。ジャジャ・シルバはラストパスのところで周囲と合わないところもあるが、長い時間使えば、光明も見出せそう。俵積田が打開不発ならば、ジャジャ・シルバを早い段階で投入、あるいは先発起用も一考の価値はありそうだ。

 また、前節同様、仲川を下げた後に複数失点をしている。仲川を下げるのであれば、ディエゴ・オリヴェイラと仲川の連動性をどのように他の形で補うのか、あるいは別の戦術を遂行するのかをいま一度再確認、共有し、交代によって勢いを削ぐ形は失くしていきたい。

 次節は中3日で横浜FM戦。ホーム味スタではまだ1勝、14節を終えてクリーンシートは僅か1試合だが、混戦に拍車がかかっているリーグゆえ、まだかろうじて5位と上位をキープしている。相手は近年なかなか勝てない横浜FMだが、ACL決勝の真っ只中、先発を6名変更して挑んだ今節・新潟戦は1-3で敗れるなど、タフな日程での疲労もあってか、なかなか勝ち点を伸ばせず、リーグでは近6戦クリーンシートがない。次節を終えると、すぐにその週末のアウェイUAEの地でのACL決勝へと向かうため、ACL決勝を考慮したメンバーにもなりそうだ。

 ただ、FC東京にとっては有利に働きそうではあっても、まだFC東京としてのサッカーを確立出来ずにいる状況では、安易な皮算用は捨てるべきだ。まずは、タフに動き回れる選手を起用し、守備の意識を高めることだ。中途半端な判断を失くすこととチャレンジを仕掛けていくことを肝に銘じて、上位争いに喰らいつくための勝ち点3を奪いたい。

◇◇◇

明治安田J1リーグ 第14節
2024年5月15日(水)19:03KO
豊田スタジアム
入場者数:14,553人
天候:雨 / 気温:18.8℃ / 湿度:90%
主審:飯田淳平
副審:堀越雅弘、坊薗真琴
第4の審判員:清水修平
VAR:今村義朗
AVAR:日比野真

名古屋 3(1-0 / 2-1)1 FC東京 

【得点】
(名):キャスパー・ユンカー(33分、PK)、キャスパー・ユンカー(66分)、キャスパー・ユンカー(71分)
(東):荒木遼太郎(78分)

〈試合経過〉
14分  警告 名古 内田宅哉
17分  警告 名古 吉田温紀
23分  警告 東京 バングーナガンデ佳史扶
28分  警告 名古 永井謙佑
33分  得点 名古 キャスパー・ユンカー
58分  交代 名古 永井謙佑 → 和泉竜司
61分  交代 東京 仲川輝人 → 荒木遼太郎 / ディエゴ・オリヴェイラ → 松木玖生
66分  得点 名古 キャスパー・ユンカー
68分  交代 名古 内田宅哉 → 中山克広 / 小野雅史 → 倍井 謙
71分  得点 名古 キャスパー・ユンカー
72分  交代 東京 安斎颯馬 → 長友佑都 / 俵積田晃太 → ジャジャ・シルバ
78分  得点 東京 荒木遼太郎
81分  警告 東京 木本恭生
82分  交代 名古 森島 司 → 米本拓司 / キャスパー・ユンカー → パトリック
85分  交代 東京 高 宇洋 → 原川 力


【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 99 白井康介
DF 03 森重真人
DF 04 木本恭生
DF 49 バングーナガンデ佳史扶
MF 08 高 宇洋
MF 37 小泉 慶
MF 39 仲川輝人
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 33 俵積田晃太
FW 38 安斎颯馬

〈控えメンバー〉
GK 01 児玉 剛
DF 44 エンリケ・トレヴィザン
DF 05 長友佑都
MF 40 原川 力
MF 07 松木玖生
MF 71 荒木遼太郎
FW 70 ジャジャ・シルバ

〈監督〉
ピーター・クラモフスキー



◇◇◇

【明治安田J1リーグ 2024シーズン FC東京試合日程】
第01節 02月24日(土)15:00△FC東京 2-2 C大阪(A・ヨドコウ
第02節 03月02日(土)15:00△FC東京 1-1 広 島(H・味スタ
第03節 03月09日(土)16:00✕FC東京 1-2 神 戸(H・味スタ
第04節 03月16日(土)13:00〇FC東京 3-1 福 岡(A・ベススタ
第05節 03月30日(土)15:00✕FC東京 0-3 川 崎(A・U等々力
第06節 04月03日(水)19:30〇FC東京 2-1 浦 和(H・国 立
第07節 04月07日(日)17:00〇FC東京 2-0 鹿 島(H・国 立
第08節 04月13日(土)16:00△FC東京 2-2 東京V(A・味スタ
第09節 04月21日(日)15:00✕FC東京 1-2 町 田(H・味スタ
第10節 04月27日(土)14:00〇FC東京 3-1 新 潟(A・デンカS
第11節 05月03日(金)15:00〇FC東京 2-1 京 都(H・味スタ) 
第12節 05月06日(月)14:00〇FC東京 2-1 札 幌(A・札幌ド) 
第13節 05月11日(土)17:00△FC東京 3-3  柏 (H・味スタ
第14節 05月15日(水)19:00✕FC東京 1-3 名古屋(A・豊田ス

第15節 05月19日(日)15:00 FC東京 ✕ 横浜FM(H・味スタ
第16節 05月26日(日)15:00 FC東京 ✕ G大阪(H・味スタ) 
第17節 05月31日(金)19:00 FC東京 ✕ 鳥 栖(A・駅スタ
第18節 06月16日(日)18:00 FC東京 ✕ 磐 田(H・味スタ
第19節 06月22日(土)19:00 FC東京 ✕ 湘 南(A・レモンS
第20節 06月26日(水)19:00 FC東京 ✕ 札 幌(H・味スタ
第21節 06月30日(日)18:30 FC東京 ✕ 福 岡(H・味スタ
第22節 07月06日(土)19:00 FC東京 ✕  柏 (A・三協F柏
第23節 07月13日(土)19:00 FC東京 ✕ 新 潟(H・国 立
第24節 07月20日(土)18:00 FC東京 ✕ 鹿 島(A・カシマ) 
第25節 08月07日(水)19:00 FC東京 ✕ G大阪(A・パナスタ) 
第26節 08月11日(日)19:00 FC東京 ✕ 川 崎(H・味スタ
第27節 08月17日(土)19:00 FC東京 ✕ 東京V(H・味スタ
第28節 08月24日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都(A・サンガS) 
第29節 08月31日(土)18:30 FC東京 ✕ 広 島(A・Eピース
第30節 09月14日(土)or15日(日) FC東京 ✕ 名古屋(H・国 立
第31節 09月21日(土)or22日(日) FC東京 ✕ 浦 和(A・埼 玉
第32節 09月28日(土)or29日(日) FC東京 ✕ 横浜FM(A・日産ス
第33節 10月05日(土)or06日(日) FC東京 ✕ 鳥 栖(H・味スタ
第34節 10月19日(土)or20日(日) FC東京 ✕ 神 戸(A・ノエスタ
第35節 11月03日(日)   FC東京 ✕ 湘 南(H・味スタ
第36節 11月09日(土)   FC東京 ✕ 町 田(A・国 立
第37節 11月30日(土)   FC東京 ✕ 磐 田(A・ヤマハ
第38節 12月08日(日)   FC東京 ✕ C大阪(H・味スタ

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