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Lasyst ラシスト 技術特集【第二回】

2011-08-29 00:42:38 | Lasyst

 本記事では、現在当社で推し進めている全画面FlashのWEB型業務アプリケーションをWEB上で開発し,後の保守・運用もフォローするサーバソフト「Lasyst」ラシストで採用している技術について説明していきます。 まず、Lasystの概要・特徴について、当社のWEBサイトにて掲載しておりますので、ご一読いただければ幸いです。


 前回である第一回は、Lasystで利用している技術、ミドルウェアなどを紹介させていただきました。


 二回目の今回は、内部の構造を少し掘り下げて紹介したいと思います。


 


1.アプリケーションと環境の構造


 以下の図は、Lasystで開発したアプリケーションや環境の位置づけと、アクセス経路を表現しています。



 Lasystをインストールしたサーバを「Lasystサーバ」としています。


 Lasystでは、異なるアプリケーションをいくつも構築することができ、図では仮に「アプリケーション1」「アプリケーション2」と表現しています。


 


 アプリケーションごとにデータベースが生成されるようになっています。


 (SQLでいうところの、create databese 文の発行です)


 


 また、1つのアプリケーション内で、複数の環境を定義できるようになっています。


 Lasystでは、この「環境」が、開発・利用するアプリケーションの最小単位であり、環境ごとにURL(コンテキストルート)が割り当てられ、アクセスできるようになっています。


 


 例えば、1つのアプリケーションを、開発環境・疑似本番環境・本番環境といった3つの環境にわけて運用したい場合があります。


 一般的な業務アプリケーションの開発から本番化までの間、最初に開発環境で作って単体~結合試験を行い、それらが完了したら疑似本番環境に移して総合試験を行い、最後に本番環境に移す、といった流れになることが多いと思います。


 Lasystでは、それをすべてコンソール上で容易に実現できるようにしてます。


 (環境のエクスポート・インポート機能)


 


 また、1環境ごとにデータベースのスキーマが2つ生成されるようになっています。


 この2つとは、ここでは詳しく触れませんが、アプリケーションの構成情報を格納しておく構成用スキーマと、実際に業務アプリケーションを通じて業務データを保存するデータ用スキーマになっています。


 


 データベースとスキーマは図のように分離されるため、DBMSによる管理スコープがアプリケーションごと・環境ごとに明確になると同時に、各インスタンスが独立状態になり、セキュリティが確保される仕組みになっています。


 環境も、いくつでも作成可能です。


 


 


 業務アプリケーションを開発する場合は、WEBブラウザよりコンソール経由で各環境へアクセスし、作業を行います。


 試験を行う場合、そして開発したアプリケーションを実際に利用する場合は、直接そのURLへWEBブラウザでアクセスして作業を行います。


 


 


2.アプリケーション利用時の処理の流れ


 以下の図は、Lasystで開発したアプリケーションにアクセスするフローを表現しています。



 Lasystサーバのアプリケーション1にある環境AをWEB上へ公開し、利用者が環境Aのアプリケーションにアクセスして利用するシナリオです。


 まずは、図の中の単語だけ説明致します。


 


(1) 構成用スキーマ


 構成用スキーマには、Lasystコンソールを使って環境Aを開発する際に定義する、アプリケーションの設定情報が格納されています。


 項目の属性情報(型、桁数など)や、テーブル構成、実行する処理の動作、SQL文、セキュリティ設定など、Lasystフレームワークを操作するためのパラメータのことです。


 ※Lasystの開発は、処理のためのソースを自動生成するのが主ではなく、Lasyst用の部品を組み合わせ、パラメータを与えて開発していきます。


 


(2) データ用スキーマ


 データ用スキーマには、環境Aへ利用者としてアクセスする際に、データを保存するためのスキーマになります。


 環境Aを開発する際に、Lasystコンソールで表(テーブル)として構築しておきます。


 


(3) 制御Java


 サーバー側のLasystフレームワークで、サーバー側で必要なすべての処理をつかさどっています。


 Javaでプログラムされています。


 セッションやセキュリティの管理も行っています。


 サーバー側では、この制御Java以外のプログラムは存在しません。


 


(4) 制御AS


 クライアント側のLasystフレームワークで、クライアント側で必要なすべての共通処理をつかさどっています。


 Lasystのコンソール(開発画面)で作った画面モジュールと一緒に、WEBサーバ上に配備されています。


 Action Script でプログラムされています。


 


 それではフローについて説明します。


 


(5) WEBアプリケーションの公開時


 Lasystで作ったアプリケーションは、WEBに公開しないとアクセスできません。


 WEBへの公開・非公開は、Lasystの管理者などが、コンソール上で行います。


 


 まず公開すると、アプリケーション構成用の全情報がメモリ(Javaアプリケーションサーバーのヒープ領域)へ展開されます。


 これは、後で制御Javaを通じて処理を行わせる際に参照されます。


 同時に、構成用のテーブル構成を参照し、データ用スキーマのテーブルを実体化させます。


 既存の項目の桁数を変更した場合も、きちんと反映されます。


※桁数を減らした場合は、その減った分だけデータが削られてしまうため、注意する必要があります。


 そして、個別の画面モジュールも、外部からアクセスされるディレクトリにコピーされ、公開が完了となります。


 


 ちなみに、非公開にした場合は、画面モジュールが外部からアクセスされるディレクトリから削除され、ヒープ領域の情報もクリアされます。


 


(6) WEBアプリケーションへのアクセス時


 最終利用者がWEBアプリケーションへアクセスするときのフローです。


 まず、最終利用者は、環境ごとに割り当てられた、環境構築時に設定したドキュメントルートのURLへ、ブラウザ経由でアクセスします。


 すると、制御AS経由でサーバ上の制御Javaに対し、実行すべき処理のチェックにいきます。


 どのような処理を実行すればよいか、そしてどのように処理を行うかを、ヒープ領域に展開された情報を参照して判断します。


 それがデータベースへアクセスするような処理であれば、やはり制御Java経由で、データ用スキーマにアクセスし、SQLを発行して、データの追加・変更・削除・検索などを行います。


 制御Javaをもってサーバで実行された結果は、クライアントの制御ASへ返されます。


 画面の遷移(画面モジュールへのURL)が返された場合は、制御ASがそのURLへアクセスします。


 サーバから取得した処理を、画面に反映させ、一連のフローが完了します。


 


3.総括


 Lasyst内部の処理フローは以上になります。


 プログラムレベルではさらに複雑なことになっていますが、そこまで知らなくてもLasystでWEBアプリケーションを作れます。


 


株式会社ジェイエスピーシステム部酒井良介


 




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Lasyst ラシスト 技術特集【第一回】

2011-08-17 08:26:16 | Lasyst

 本記事では、現在当社で推し進めている全画面FlashのWEB型業務アプリケーションをWEB上で開発し,後の保守・運用もフォローするサーバソフト「Lasyst」ラシストで採用している技術について説明していきます。 まず、Lasystの概要・特徴について、当社のWEBサイトにて掲載しておりますので、ご一読いただければ幸いです。 第一回では、Lasystで利用している技術を説明致します。


1.Lasystのシステム構成


 当社WEBサイトでもご紹介しているとおり、LasystはWEBサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバの3層構造で構成されており、業務アプリケーションを開発・運用するための「Lasystコンソール」環境、そして開発した業務アプリケーションを利用する環境、ともに同じ環境で動作します。


<図:Lasystシステム構成図>


 


 図にあるとおり、業務アプリケーションの開発者・運用者はブラウザを利用し、アプリケーションサーバで常駐しているLasystコンソールを経由して、Lasystのフレームワークや専用のデータベースへアクセスしながら、業務アプリケーションを開発・運用します。 業務アプリケーションは、アプリケーションサーバ内で常駐します。 業務アプリケーション用のデータベースも、コンソールから指示して構築します。 一方、エンドユーザが業務アプリケーションを利用する際も同様にブラウザを利用し、アプリケーションサーバ内で常駐している業務アプリケーションへアクセスし、必要に応じてデータベースへアクセスします。 図では、アプリケーションサーバ内に1つの業務アプリケーション、データベースサーバ内に1つの業務アプリケーション用データベースが生成されていますが、実際にはリソースが許す限り、いくつでもアプリケーションを配置することができます。 勿論、WEBサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバは、ハードウェア自体分散させることもできますし、1つの筐体の中で運用させることも可能です。 利用シーンに応じた構成を検討するとよいでしょう。2.基本的なミドルウェア(サーバサイド)


 前述した3層で利用しているベンダーのミドルウェアを紹介致します。---------------------◆WEBサーバ Apache 2.2◆アプリケーションサーバ Oracle GlassFish 3.1.1 (Java Runtime Environment 1.6 update 26)◆データベースサーバ Postgres 9.0.4--------------------- サーバ側の言語はJavaで統一しております。 各ミドルウェアがバージョンアップされる都度、Lasystでも動作確認を繰り返しており、各々執筆時点での最新版で動作することを確認しております。 昨今、ミドルウェアのバージョンアップを怠ったためにセキュリティホールが放置されている状況が問題視されておりますが、私どもでは原則、常に安定した最新版のミドルウェアを採用して開発することを遵守しております。 さて、Lasystサーバでは上記ミドルウェアの他、いくつかの外部APIも組み込んで利用しておりますので、こちらも紹介させていただきます。---------------------◆AMF通信の実現 BlazeDS 4.0.1.21287◆帳票生成 JasperReports 4.0.2◆CSV操作 OrangeSignal CSV 1.3.1--------------------- AMF(Action Message Format)とは、サーバとFlashベースのクライアントとが通信する際、バイナリ形式でデータをやり取りすることにより、XMLやHTTPなどのテキスト形式の通信よりもパケット量が小さく、データを解析するための不要なボトルネックを軽減する仕組みのことです。 また、開発時において、送受信するデータをFlexやJava上でテキストに変換する必要がなく、数値型や配列型など、文字型以外の型でプログラミングが可能であり、開発の生産性も高いのが特徴です。  Adobeよりオープンソースで無償で提供されています。 サーバ側の技術は、LasystのようなJavaの他、PHP、.NET、Rubyなどを使用することも可能です。 LasystではAMF通信を標準としており、開発した業務アプリケーションはもちろん、コンソールもAMFで通信しています。 さて、LasystではPDFなどの帳票を生成する機能も標準で組み込んでいます。 業務アプリケーションを開発する際、一般的には有料の帳票生成ツールを利用しますが、この商用無償のJasperReportを標準で組み込むことで、帳票生成機能を利用する敷居を下げています。 帳票の生成は、まず帳票のイメージを専用のツールで作成し、そのイメージをサーバ側において、Javaや.NETなどのクラスから呼び出し、データをイメージに当てはめて出力するようするのが一般的な手法です。 このJasperReportも同様で、帳票イメージをiReportという、こちらも無償のツールで作成します。 iReportで作られる帳票イメージはXML形式のテキストファイルであり、それをJasperReportがコンパイルしてデータを当てはめて出力する仕組みです。 Lasystでは、iReportで作った帳票イメージXMLをコンソール経由で登録し、データの適用方法などを定義することで、帳票の出力を実現しています。 また、JasperReportの特徴として、PDF以外にもExcelやWord、HTMLやPowerPointなどといった形式でも帳票を生成することができますが、Lasystでもその機能をフル活用し、全く同様の形式で帳票を生成することができるようになっています。 (ちなみに、様々な形式に対応するため、JasperReport内でも他のJava APIを利用しているようです) 最後にCSV操作ですが、こちらはOrangeSignal CSVという商用無償のAPIを採用しています。 LasystではCSVファイルの取り込みや出力が標準的に可能ですが、その機能を安定的に実現するために利用しています。


3.基本的なミドルウェア(クライアントサイド)


 Lasystのクライアント側で利用する技術は、Adobe の Flash のみです。---------------------◆Flash コンパイラ:FlexSDK 4 Flash Player:Flash 10.2--------------------- Flashの画面はAdobe独自のフォーマット「mxml」(HTMLのような言語)や「ActionScript」(JavaScriptのような言語)を駆使して開発しますが、Lasystではコンソール上からそれらを入力し、開発することができます。 なお、FlashはHTMLやJavaScriptのようなスクリプト言語とは異なり、コンパイルが必要ですが、Lasystで開発する際にはコンパイルやデプロイのための環境を検討する必要はなく、Lasystがサーバで自動的に環境を整え、コンパイルし、適切にデプロイします。 また、Lasystのコンソールや開発した業務アプリケーションにアクセスするには、上記のFlashのプラグインがブラウザに組み込まれている必要があります。 なお、FlexSDKの最新バージョンは、今年2011年6月20日に発表された 4.5.1.21328 ですが、こちらはテキストボックスなどに全角文字を入力してEnterキーを押した際、ActionScript側で入力文字を正しく取得できない問題があり、今のところ最新版のLasystでの採用はまだ見合わせています。※細かい話ですが、昨年よりAdobe社で開発されてきた4.5バージョンについて、2010年10月頃に公開されたNightly Build版「4.5.0.17077」まではその問題は発生しませんでしたが、その次のバージョン以降、ずっと上記の全角文字問題が続いています。 もうしばらくバージョンアップの様子を見て、それでも対応されないようなら、Lasyst独自で対応するしかないと考えています。4.総括


 採用したミドルウェアについては以上です。 すべて商用無償で利用可能であるため、Lasystの導入コストも最小限に抑えることができます。 それにも拘わらず、いずれも非常に高度な機能を安定して提供しており、Lasystではその機能を十分に引き出し、活用しています。 Lasystで利用している技術はこれですべてですので、逆にこれ以外の他の技術は全く利用していません。 意外とシンプルと感じられるのではないでしょうか。 例えば、JavaでしたらStrutsやSeaserなど、様々なフレームワークがありますが、Lasystでは全く利用しておらず、Java1.6の標準機能のみで開発しております。 なぜなら、Lasystサーバ自体がフレームワークである必要があり、他のフレームワーク等を利用することで余計なオーバーヘッドを生まないようにするためです。 開発生産性もさることながら、まずはレスポンスに重きをおいています。 これらのミドルウェアやAPIを利用することは、Lasystに限らず、安価にWEBアプリケーションを開発したい方々にとって、よい選択肢になるかもしれません。 Lasyst開発の中で、今後もよりよいAPIを見つければどんどん取り込み、Lasystを通じて容易に利用できるようにしたいと考えています。株式会社ジェイエスピーシステム部酒井良介


 



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