EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

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<中東の内戦と飢饉>終わり見えないイエメン内戦の惨状 世界は無視していると国連

2016-12-15 14:58:46 | 戦争・内戦・紛争・クーデター・軍事介入・衝突・暴動・デモ

イエメンの内戦

中東のアラビア半島にある共和制国家イエメンでは激しい内戦が続いている。暫定大統領のアブド・ラッボ・マンスール・ハーディーと、イスラム武装組織フーシと連携する前大統領のアリー・アブドッラー・サーレハの対立は国内に甚大な被害をもたらしています。


 事態に収拾がつかず混迷を極めるのは、この内戦がイエメンの政治、宗教、文化と密接に関わっているからです。

中東情勢は、宗教と政治が内戦を後押しするという構図で、諸外国がイエメンに介入している。、代理戦争の様相を呈しているのは、シリアに限ったことではありません。


 イスラム教シーア派であるイランと、スンニ派のサウジアラビア諸国がさらなる混沌を招き寄せています。前大統領サーレハと暫定統領ハーディの対立の裏では、各国がイエメンを奪い合っている構図がある
 
 イエメンが部族社会であることも、イエメン内戦の原因のひとつとなっている。現在の内戦により、各部族が自分たちの利益になるよう動いている。軍隊としてハーディ政権につく部族もあれば、フーシ側に回ったり、独立自治を掲げるたりする部族もいる。さらに、アルカイダやISIS(イスラム国)のイスラム勢力が加わり三つ巴になっています。
 
 現在、イエメンを実効支配しているのはイラン側の前大統領サーレハとフーシだ。対立するサウジアラビア諸国連合はイエメンに空爆を実行。数千人の犠牲者を出し、無数の建物を破壊した。サウジアラビア諸国連合に属するのは、エジプト、ヨルダン、スーダン、バーレーン等のスンニ派国。さらに、サウジアラビアに友好的なアメリカの援助がある。

 イエメンは中東でも最貧国のひとつです。その上空爆の影響でイエメンのインフラは壊滅状態にあり、イエメン国民に必要な物資や安全が確保されていません。空爆と飢餓により多数の一般市民が犠牲となっており、こうした流れを受け、国際連合はイエメンの人道危機を、最も深刻な「レベル3」と宣言。


 レベル3は混乱が続くイラクやシリアと同じ水準だ。国連は両陣営に即時停戦を求めているが、一向に収まる様子がない。

  イランとサウジアラビアの対立、アメリカの介入、イエメン国内の部族関係や不安定な政情が複雑に絡み合った混乱は、2016年末現在、平定される気配はありません。このまま事態がエスカレートすれば、周辺諸国を巻き込み戦火が拡大する危険性は大いにあります。


 日本は、湾岸協力理事会(GCC)加盟国との協力関係を築き、多額の支援プレッジを行うなどイエメン新政権の安定に向けた努力を積極的に支援する姿勢を示しています。
また、イエメンの民主化、テロ対策、貧困削減等において欧米ドナー諸国との関係強化を目指しています。(外務省「イエメン基礎データ」)


終わり見えないイエメン内戦の惨状 世界は無視していると国連

2016年12月7日 BBC

イエメン北部ハッジャ

医師の手の中で、イブラヒムちゃんの頭はありえないほど小さく見える。医師は赤ちゃんのもろい体に気を使いながら、そっと抱きかかえる。周りにあるものは何もかも、ありえないほど大きく見える。


イブラヒムちゃんのおむつは、手に入る中でも一番小さいサイズのものだが、それでもまだ大きすぎる。げっそりとした顔の中で瞳は大きく、肋骨は肌のすぐ下にあるのが分かる。この子はまるで内へ内へと、どんどん縮んでいっているかのようだ。


このような状態にある子供を「幸運」と呼ぶのは、歪んでいるように思える。しかしイブラヒムちゃんは21日、生き続けてきた。医師たちは、このまま育つだろう期待しているのだ。双子の兄弟は、生まれて間もなく死亡した。


母親のワファア・ハテムさんは息子の寝床に座り、泣き声を上げると指をそっとなでている。

ジュダ・ジャバちゃん

エメンでは内戦のせいで300万人が住む場所を追われた。この家族も同じだ。いかにして食べ物を見つけるか。家族の日々の生活の中で、それが何よりの課題だ。

イブラヒムちゃんの父親はタクシーの運転手だが、経済が破綻しつつある状況で乗客はなかなか見つからない。

「夫は、仕事があることも時々ありますが、何もないこともあります。私たちは、食事ができることもたまにはありますが、何もないこともあります」とワファアさんは話す。


崩壊する体制

彼女は内戦の実態を語る証人のひとりだ。この内戦によって、子供の栄養失調率は2年間で2倍に増えた。

医療施設の半数はもはや機能しない。サウジアラビアが率いる連合軍に爆撃されたところもあれば、資金が枯渇して機能できなくなったところもある。

主要な道路や橋は、頻繁に攻撃される。おかげで、国内各地に援助物資を届けるのはますます難しくなっている。

  内戦で国内の相当部分が破壊された。写真は、市街戦で破壊されたタイズの町

物資の配給を牛耳りたい反政府勢力が、援助物資の流れをしばしばせき止める。医療部門の従事者を含めて公務員の多くは、少なくとも4カ月前から給料を支払われていない。

「国境なき医師団(MSF)」のような人道支援団体が、少しでも状況を改善しようと努力しているが、手段も物資もあまりに限られている状況では途方もなく大変な作業だ。

国連人道問題調整事務所の資料によると(下表)、イエメンの人口2700万人に対して、国内で非難を余儀なくされた人は330万人。食べ物を安定的に得られない人は1410万人。安全な飲み水が得られず、衛生施設が身近にない人は1940万人に上る。

内戦で特に被害の大きいハッジャ地区には、患者の人数にパンクしそうなアル・ジュムフリ病院がある。そこで私は、MSFの現地代表、コレット・ガデンヌさんに話を聞いた。

「体制はあります。食事を支給する場所や、栄養管理プログラムなど。けれども実施状況に目を配らせるのは困難で、実際にはそういう場所に行くことさえ困難だという家族がたくさんいるのだろうと、心配しています。施設にたどりついて、スクリーニングを受けて管理プログラムで栄養指導を受けることが、そもそも無理なのではないかと」

「体制全体が崩壊しつつあります。病院はどんどん閉鎖していく。なので、ただでさえ貧困にさいなまれ、まともな行政統治が機能していなかったこの国で、事態が毎日のように悪化していくのを見るのは、とても恐ろしい」

 イエメンのハッジャ(Hajjah)地区の位置

病院の廊下を歩けば、戦争の様子はおのずと明らかになる。

サウジによる空爆の爆弾と破片でずたずたに引き裂かれているのは、市場に向かう農家の人たちだったという。子供たちは栄養失調と病気で、やせ細っている。


「見て見ぬふり」

病院を出て農村に向かうと、病院への交通費がない人たちがいる。外国人と見ると、援助物資を持っていないか期待して近づいてくる人たちもいる。

病気の妹を連れた男の子がやってきて、私たちの前でしゃがみこんだ。高齢の男性が、物乞いをするわけではないが期待をこめて私たちを見つめ、おなかをすかせた4人の孫を連れてきた。

 生後わずか9カ月のアスマ・アフメドちゃんは栄養失調で、黄疸にかかっている

アイシャ・アリさんは5カ月前に、子供を1人、栄養失調で失った。病気が慢性的に続く4カ月の娘、アスマちゃんを連れてきた。栄養失調が原因の肝臓障害で、アスマちゃんの白目は黄色くなっている。

「手当てをしないとならないんですが、何かありますか? 何があります? 何か手当か、薬か。なんでも必要なんです。薬がいるんです。もし分けていただけるなら、ありがとうございます」とアイシャさんは懇願した。

慈善団体「セイブ・ザ・チルドレン」の現地スタッフは、この地区で移動式の医療クリニックを運営している。しかし、診療を必要とする人の数があまりに多すぎて、まったく対応しきれていない。

清潔な飲料水が不足している状況で、コレラが発生し、世界保健機関によると11月下旬までに約5000人が感染。事態はさらに悪化した。幼い子供には致命的にもなり得る肺炎や急性下痢の発生は、数えきれないほど相次いでいる。

  3歳のヘメディア・ハムディちゃんは重度の栄養失調状態にある

  「セイブ・ザ・チルドレン」は昨年、イエメンでは子供の3人に1人が栄養失調状態にあると発表した

シリアやイラクの紛争が国際社会の注目を集める一方で、イエメンの危機は陰に隠れてしまっている。国際社会が約束した資金援助のうち、実際に供与された額は半分に満たない。

国連のイエメン担当官ジェイミー・マクゴールドリック氏は、国際社会の反応に明らかに辟易(へきえき)としている。

「政治的側面が人道の側面を凌駕(りょうが)してしまった。人道はもう機能しない。世界はイエメンの状況に対して、見て見ぬふりをしている。この危機に対応するにもあまりに何もかもが不足していて、ありえない状態だ」

ハッジャ県のアル・マンジュラでは、水もなく、焼け付く平地が広がる。そこに1万7000人もの人が、防水シートとわらと泥で作ったシェルターで暮らしている。

マフディ・アリ・アブドラさんは、妻と9人の子供と一緒に、ここにいる。

「空爆が怖い。次々と場所を移動している」と私に話す。しかし、その声はなかなか聞き取れない。

アブドラさんは、きちんと意味の通る言葉を話している。きちんとした文章になっている。しかし体力がもうほとんど残っていないのだ。

この国でいまだに力を持ち続けるのは、戦争だけだ。戦争だけが勢いをもって、国と国民の命を踏みつぶしている。

(英語記事 Yemen conflict: UN official accuses world of ignoring crisis

 

Video 内戦で飢えるイエメンの子供たち 2016年12月7日

 

Video イエメン内戦で飢える子供たち 熱と下痢で死に至る子も 2016年09月22日


Video 飢えしか知らない子供たち ボコ・ハラムは去ったが  2016年08月30日


米軍、イエメン反政府勢力の拠点を攻撃 2016年10月13日

 

イエメンの結婚式空爆、死者130人に  2015年09月30日

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イエメンで連続自爆テロ、「イスラム国」関連組織が犯行声明

2015 年 3 月 21 日 03:41 JST  THE WALL STREET JOURNAL

 イエメンの首都サヌアにある2カ所のモスク(イスラム教礼拝施設)が20日、自爆テロによって攻撃され、多数の死傷者が発生した。過激派組織「イスラム国」の関連組織が犯行を認める声明を出している。

 標的となったモスクは正午の礼拝中で、医療関係者などによると、これによりイスラム教フーシ部族の有力指導者を含め少なくとも120人が死亡した。死者数はさらに増える見込みだという。

 さらにフーシ部族を率いるアブドルマリク・フーシ氏が拠点とするサーダ州の政府施設でも爆発が発生、2人が死亡し1人が重体となっているもようだ。

 イエメンのイスラム国組織「サヌア州」はツイッターを通じて犯行声明を出した。米民間情報機関のSITEインテリジェンス・グループの翻訳によれば、声明では同組織に属する4人が自爆テロを実行したと言明、フーシ部族を「多神教者」と批判した上で、今回の行動は「氷山の一角にすぎない」とさらなる攻撃も示唆した。

 犯行声明の通りであれば、「サヌア州」やイスラム国関連組織が関与を認めたイエメンでの初めての攻撃となる。イスラム国は昨夏からイラク、シリアの広範囲を支配しており、現在はその拡大を阻止しようと米国を中心とする同盟国が空爆を進めている。