そんな僕が好き

アディクションとかその他日常の事

アルコール依存症の治療、その4:具体的な手順

2006-08-25 12:57:47 | アルコール依存症
さて、長い道のりでしたが(笑)ようやく具体的な治療法の説明にたどり着きました。

ここまで説明したことをまとめると、
○アルコール依存症の治療のためにはお酒に対する嫌悪感、飲酒にたいする罪悪感を払拭する必要がある。
○そしてそれはアル症本人と心理的一体化ができている(あるいはこれから一体化が強化できる可能性のある)母、妻によってしか払拭できない。
○しかし二重拘束があるために、「お酒は悪いものじゃないのよ、飲むことも悪くないのよ」という事をまっすぐに伝えることができない。
○そこで利用するのが神(祖先)である。

では、誤解を恐れず(笑)具体的な方法を書きます。

1:飲む理由を説明する
なぜ酒が欲しくなるのかという理由として、
「あなたの先祖で飲み足りなかった人がいる。死んだ人は肉体がないので、あなたの体を借りてお酒を飲みたがっている」
という説明をします。

2:飲み方を教える
したがってお酒を飲むときには、仏壇にお酒をお供えして、それを下げて飲むように条件をつける。そして飲むときには感謝して大事に飲むようにすることも同時にレクチャーする。

3:祖先に対し「報告」をする
母・妻の立場の人間が子・夫の一日の行動で良い面を祖先に対して報告する(以下「報告」と呼ぶ)。

以上の3つを「正しく」行うと約9ヶ月以内に33%の確率で、アル症の飲酒行動が改善します。

といっても、これだけでは何がなんだかわからないと思いますので、今後のエントリーで詳しく説明していきたいと思います。


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アルコール依存症の治療、その3:どうして他人が変えられるか?

2006-08-21 15:28:05 | アルコール依存症
「変えられるのは自分だけであり、他人を変える事は出来ない」
きっと依存症関係に少しでも関わった人であれば、耳にタコが出来るほど聞いた言葉でしょう。

しかし私が書いている又吉氏のアル症治療法はこの常識に反しています。実際の治療方法に関して論じる前に、まずは他者をどうして変える事が出来るのかの原理を説明します。

ちょっと汚い話になりますが、ご勘弁を。
ふと居眠りをした時に、涎(よだれ)をたらす事がありますよね。涎は唾液ですが、普段口の中には唾液があります。自分の口の中にある唾液は自分にとっては気持ち悪くありません。
涎を垂らして、「あ、いけない」とばかりに、まだ垂れかけている涎をすすり上げる事があります。これも(見たり聞いたり読んだりしているほうは気持ち悪いですが)本人にとっては気持ち悪くありません。
しかし、きれいなお皿の上に涎を垂らして、それを舐めようとしても、気持ち悪くて出来ないでしょう。

以上の点から、人間には自己から分離された瞬間に、物理的には何の違いもない(口中の唾液だろうが、皿の上だろうが唾液は唾液)ものでもそれを自己の一部ではなく、他者と認識するという心理的な働きがあると考えられます。

しかし恋人同士はどうでしょうか。チューやその他性行為の事を考えれば、他者としてはあり得ないような事を行うわけです(笑)。

実はこの「あり得ないこと」が行われるときには程度の差はあれ、自他区別の境界線が取っ払われています。つまり親密な人間関係においては他者と自己が一体になるような心理的な状態が発生するわけです。

自分のことは変えられるわけですから、自分と一体となっている他者も変えることができる、これが他者を変える原理の基本です。アルコール依存症を治す方法の基礎にはこの原理を利用しています。
したがって治療がうまくいくかどうかは、この一体化がどのくらい濃密に行われているかが鍵になります。
残念ながらアル症のような物質依存ではこの一体化が弱いため、成功率が低くなっています(3人に1人)。
逆にDVのような人間関係依存の場合は成功率が高くなります(約99%)。


ところで、アディクションの世界でも「人を変えることはできない」と言いながら、実は変えている(と私が思う)事例があります。
例 えば奥さんが夫のアル症について相談に来たら、その回答は「人は変えられない、あなたがあなた自身の回復の道を歩くしかない」というのが普通です。そして 妻がアラノンに通いはじめ自分自身の回復を目指すようになると、なぜか夫がAAに通うようになるという事があります。この事例は特殊なものではなく、かな り一般的に見られる事例です。
この事例はおそらく「人を変えられない」のではなく、「今のやり方では人は変えられない、しかし他の方法でなら変えられる」という事を指し示しているのではないでしょうか。

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いんちきなアルコール医療の専門家?

2006-08-08 13:01:56 | アルコール依存症

8/16追記
「返答がなかったのは出したメールがわかりにくかったのでは?」というご意見をいただき、メールを読み返したのですが、たしかに「回答を強要しない」という点を前面に出すあまり、返事がほしいのかほしくないのか、わかりにくくなっているものがあるの気がつきました。
したがって、返事がないのは私のメールの文面が拙いせいかもしれません。

先日夏風邪(らしい)で嘔吐と下痢が酷く、医者に行きました。
診察を受けた後、点滴され、薬を出されました。

その際私は、点滴された薬や処方された薬に関して、何の疑問もなく受け入れます。それは医者がきちんとした根拠に基づいた治療をしていると信じているからです。
普通の医療ではこれは当たり前のことでしょう。 しかしどうも、アルコール医療では違っているようです。

前のエントリーのAAには効果があるのかで書いたのですが、AAに効果が無いという批判が本当かどうか、あのエントリー以降も医療関係者にメールしてみました。問い合わせた数は10人以上。もちろん回答を強要しませんでしたが、とうとう一人も返事がありませんでした。

この状況からすると、日本のアルコール医療の専門家はAAに関し客観的に効果があるという資料を持っていないと考えざるを得ません。

しかしながら、同時に、ぜひともAAを治療の手段の一環として利用されている、アルコール医療関係者にAAの効果に関する根拠をお聞きしたく思います。
コメントでも結構ですし、メールでも結構です。
アドレスは
jiro_yu@
の後に
mail.goo.ne.jp
です。

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追記:8/9にちょっと文章の棘を丸く(笑)しました。