Good News Report

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「なにゆえ」30分de一巻 Vol.25

2017年05月07日 | Good News


このメッセージがされた前の週に、北朝鮮がミサイルを発射させ、朝鮮半島有事に関するる緊張のニュースが日本中を駆け巡りました。ただ、核実験をしたと言う事実だけを見れば、アメリカも北朝鮮も同じ。それぞれの国、それぞれの人の立場によって、見解が異なることは、前章のエレミヤとイザヤについて学んだ通り。とにかく、「諸悪の根源」が「聖書の理解不足と曲解」にある事は、歴史の事実を見れば明らか。そのような間違いを繰り返さないためにも、聖書を「神の霊」によって理解することは必要不可欠です。

さて今日は、「哀歌」です。この「哀歌」は、預言者エレミヤによって書かれた、「エルサレム崩壊とユダヤ人離散」の実に痛ましい詩です。この短い、しかし、凄惨な詩が「なぜ、聖書66巻に入っているのか?」前回学んだエレミヤ書には、こんな言葉があります。

女たちよ(これは、神様から見た「ユダヤの民」を表しています)、互いに哀歌を学べ。(9:19)

今日のメッセージは、「哀歌」の内容を詳しく見ていくと同時に、神様が「哀歌」に託した、私たちへのメッセージを聴いていきたいと思います。



「哀歌」の原題はヘブル語で「エイカー」。「エイカー」は日本語で、「なんで(何故)?!」と言う意味です。「哀歌(あいか)」と「エイカー」とは読みは似ていますね。「神様に選ばれ、愛されていた民が、異国の民に滅ぼされる」と言う、
神様に見放された状態に「なにゆえ?!」と言う悲痛な叫びの問いかけです。(続く・・)



世の中に様々な価値観数あれど、世界共通の正典が一つだけ。それが聖書である。聖書は時代、民族哲学、宗教を超えた超スタンダードなので、その内容を理解する事は、私たちの人生にとって非常に有益。「諸悪の根源」は、聖書を知らないこと、あるいは曲解することにあるのだ。が、聖書は日本人の価値観からすると、非常に理解し難い書巻が少なからずあり、それを正しく理解するためには、 先ず自分たちの常識や固定観念を捨てなければならない。取り敢えず5章を目を通してみたものの、その内容の凄惨さに圧倒され、“これは神の裁きと将来への希望である”等と、何気に教わりはするのだが、内容があまりに自分達の生活とかけ離れるため、とりあえず横に置いておこう・・的な感覚になっている書巻の代表が哀歌である。しかし、エレミア9章の19節に「女達よ、主の言葉を聞け。耳を傾けて、主の口の言葉を受け入れよ。あなた達の仲間に、嘆きの歌を教え、互いに哀歌を学べ」とある様に、よく分からないからと言って放っておいていい訳はない。そこで「女たちよ聞け!」とあるのだが、これはどういう意味なのか?先ず、このエレミアの言葉から入って行かねばならない。

 聖書ではしばしば町などが擬人化されて語られるように、この「女たち」は「神の民」を指している。その神の民に対し、神の言葉である預言を無視した結果、イスラエルがどれほど悲惨な目に遭ったかという記録が本書である。冒頭から「嗚呼!なにゆえ?」という悲痛な叫びが幾度も叫ばれている。ヘブル語では「エイカ!(מגילת איכה )」であり、これがタイトルになっている。エレミヤから遡ること約1000年前、モーセがイスラエルの民に語った預言が申命記18章(47-53)にある。イスラエルの民を導き出したモーセは、「人生は祝福か呪いか、二つに一つ。だから祝福を選べ」と何度も繰り返し伝え、従わない時のの悲惨さもはっきりとここでも語った。しかし、イスラエルは過ちを再三繰り返し、遂に究極の悲惨を現実のものとしてしまった。

1章1節には、「なにゆえ、独りで座っているのか。」と始まる。この「独り」は神様から切り離された人間の状態のことだ。神様から離れ、慰めるものが誰もいない、その嘆きの声が哀歌。哀歌は、第二歴代誌35章25節にあるように、エレミヤがヨシヤ王を哀悼するために謳った歌であり、その中心は、エレミヤ9章6節にある。そして、その御言葉に対する民の応答の結果が、「哀歌」の事実だ。構成としては、

一章:「私」を主観にしたエルサレム崩壊の意味
二章:「主」を主観にしたエルサレム崩壊の事実
三章:「エレミア」を主観にしたエルサレム崩壊の要因
四章:「主」を主観にしたエルサレム崩壊の教訓
五章:「私達」を主観にしたエルサレム崩壊から将来への希望

となる。これらの内容が、原語でないと分からないが、章の頭が全てヘブライ語のABCで始まるアルファベートの歌の形式となっている。ヘブライ語のアルファべートは22文字あり、すべての節がABCの音を踏んだ緻密な構成で作られている。その理由は覚え易く、代々謳い継がれるため。「エイカ!」の嘆きを忘れてはならないために。

「哀歌」は、ユダヤ古典においては諸書のメギロースの一つであり、ユダヤのお祭りで朗読する5つの巻物(ルツ、エステル、コヘレト、雅歌、哀歌)に属する。ユダヤの歴史とお祭りは密接に関係しており、この理解が聖書理解に非常に役立つので、お祭りについて、復習しておこう。

旧約聖書に律法として、守るように規定されているもの。
「年に3度、男子はすべて、 主なる神の御前に出ねばならない」(出エジプト記23:17)と定められている3大祭りが、春の過越し祭(ペサハ)、夏の七週祭(シャブオット)、 秋の仮庵の祭り(スコット)。

律法としての規定はないが、旧約聖書にある歴史上の出来事を、ユダヤ民族の伝統の中で引き継がれているもの。ユダヤ社会では「小さな祝祭日」と呼ばれ、ハヌカやプリムがこれに当たる。

イスラエル独立記念日、ホロコースト記念日など、近代イスラエル史の出来事に由来する記念日。

「哀歌」はの内にある、「神殿崩壊記念日」に謳われる。「神殿崩壊記念日」には、イスラエル中が喪に服し、断食し、哀歌を朗読し、この日、「嘆きの壁」は満員となる。この日をユダヤの人たちは「ティシャ・ベ・アブ・Tisha' b'Av 」、アブの月の9日と呼ぶ。記念日の元となる、BC586年のバビロンによるエルサレム崩壊も、またAD70年のローマによるエルサレム崩壊も、このアブの月の9日だったからだ。「ティシャ・ベ・アブ・Tisha' b'Av 」は、出エジプトと同様、ユダヤ民族アイデンティティの根幹を為すことなのだ。

BC586年とAD70年の両方のエルサレム崩壊がこの日であるばかりか、更に驚くべき事実を歴史に見ることができる。AD136年の第二次ユダヤ戦争のバル・コクバの乱、十字軍が始まった日、ヨーロッパで最初のユダヤ人迫害がなされた日、続きスペインのユダヤ人退去命令布告日、第一次世界大戦勃発した日、1942年のホロコースト開始とされる日、すべて「ティシャ・ベ・アブ・Tisha' b'Av 」だった。

日本も戦争で非戦闘員300万人以上の犠牲者を出し、哀歌の出来事は他人事ではない。しかし、同じような経験をしてもメンタルの面で、かなり違っている。ユダヤ人にとって国の滅亡は、子供が親から見捨てられる以上の体験だ。神国日本が戦争に負けても、神社仏閣に石投げるようなことは決してしない日本人とは違う。人間の都合で考える「カミ」と、人間社会に直接介在されている「神」、創造主の違いだ。この点、日本人とユダヤ人とは全く異なる神観を持つ。神様は今も生きて働いておられるのだ。

神様は今も生きておられ、人間と生きた関係を望んでおられる。「哀歌」には、絶望的な究極の嘆きがあるが、これは人間の一方的な嘆きではないことを知っておかなければならない。新約聖書には、イエス様が泣かれたシーンが2回だけ書かれている。ラザロの死の時に一度。もう一回は、ルカの19章で、エルサレム崩壊が起きる預言の時だ。イエス様ご自身もひどく嘆かれた。イエス様はこの時、「哀歌」のシーンをご覧になっていただろう。また、哀歌1:12には、十字架上のイエス様の痛みとオーバーラップする痛みがある。哀歌に記された悲劇は人間側の悲劇だけではなく、愛する子を裁かねばならなかった神様の哀しみがあるのだ。

しかし、イエス様の哀しみを直接耳で聞き、その涙を直接見たであろう弟子たちですら、イスラエルは神様が選ばれた民だから、滅びるはずないというまちがった確信を持っていた。これは、黙示録に警告されているように現代の教会でも起こり得ることだ。イエス様を内に入れず、戸を叩き続けるままにしているラオデキアの教会は、天国に行くはずがない。悔い改めなければならない。でなければ、いのちを失う、と語られている。これが、終末に起きることだ。

哀歌は、絶望の淵から絞り出すように出た悔い改めによる希望で終わっているが、、最後の22節が「見捨てられました」で終わっている故に、ガクッと来て「哀歌」を悲しみで終わらせる人が多い。違う。「哀歌」は絶望で終わらない。これを間違えてず、文脈を読ま取らなければならない。これは、反語だ。「そんなはずはない主!あなたを待ち望みます。」ユダヤ人は、過去の悲劇を嘆くのではなく、絶望のどん底からも立ち上がってイスラエル再建に至る希望を見て、歌い続けている。何よりもメシア到来を望み続けているのは、ユダヤ人だ。その彼らの願い通り、再臨の時、メシアに出会う。最終的な形で終末にそれが起きる。その時まで、私たちには神に選ばれた民としての責任がある。ティシャ・ベ・アブは、今も私たちに直結しているのだ。(Repot by Mimita & Mu)



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コメント (6)
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