goo blog サービス終了のお知らせ 

JEEF「地域チャレンジネットワーク」活動報告

JEEFの「地域チャレンジネットワーク」活動の様子や成果を報告します。

平成20年度事業の成果・課題について

2009-02-24 12:05:12 | 地域チャレンジネットワークとは
平成20年度事業の成果・課題について

 前述したIKR調査(簡易版)の結果、その他の参加者へのアンケート結果、運営スタッフによる評価会から、各地域での今年度事業の成果・課題を抽出した。

■山梨県富士河口湖町地域
 <成果>
 ・大人も子どもも、それぞれに地域でのネットワークが広がった。
 ・参加した子供達だけではなく、地域の大人の方々も、この地域の資源や自然とつながりの深い昔の生活について学ぶことが出来た。
 ・子どもを通して大人たちにも地域資源の利用やサイクルを伝えることができた。
 ・「自分だったらこの炭をどう使う?」の問いに対して いろいろな答えが返ってきて子供達の想像力の豊かさに驚いた。
  湖水浄化だけではなく、他の利用の仕方も子供達と一緒に考えていければ、次へ繋がっていくのではないかと感じた。
 <課題>
 ・チラシの設置や学校への配布などは各関係機関に多大な協力を得られたが、結果として集客が少なかった。
 ・事前研修会を実施する際は、限りなく本番に近い状態で実施する必要を感じた。
  出来て当然と思っていても、参加者の目線・子供の目線になって考えてみると意外なところに問題があることなどがあった。
 ・行政からの参画をもっと積極的に得られるように努力したい。

■長野県野沢温泉地域
 <成果>
 ・ネットワークの構築としては、今回集まった地元の10団体で、「野沢温泉自然体験ネットワーク」を立ち上げ、今後も恒常的な活動をしていく母体となるようにした。
 ・自然観察前と後に絵を描いてもらう活動では、絵に大きな違いが出て、しっかり観察をしようという意識が高まった様子がみられた。
  また、人間の暮らしと環境との関連についても、子ども達の大好きな動物を通すことでよく考える機会となったようだ。
 ・収穫体験では、農家の子が他の子に教える姿が目立ち、家業に誇りを持ったようで、輝いて見えた。
 ・新作郷土料理コンテストでは、子どもらしい柔軟な発想で新しい組み合わせを考えた料理もあり、実に様々な個性的なものが仕上がった。
  地域では、最優秀作品を実際に野沢温泉の旅館・民宿でお客様にお出しする方向で、本事業の成果の1つとして事業運営会議の構成メンバーである旅館・民宿組合で検討している。
 ・2回まったく違うテーマと場所で行い、且つその2回を活動内容を結び付けられたのは、とてもよかった。
 <課題>
 ・野沢温泉村は、今、宿泊業など第3次産業従事者を中心に、自然体験活動を軸とした地域活性化への機運が盛り上がっていると言って良いだろう。
  しかし農業など第1次産業従事者にとっては、それに比べると温度差があったことは否めない。
  そこで今回は、田畑を舞台とした里の自然体験や、食文化の体験を取り入れ、農業従事者にとっても関心を持てる内容にした。
  今後の体験活動プログラムの充実を考える上でも、貴重な契機になったと思う。

■三重県多気郡宮川地域
 <成果>
 ・普段は関わる機会が少ない漁業・林業関係者とコミュニケーションがとれるような場づくりができた。
 ・事前研修会では、漁業・林業従事者(OB含む)の参加が得られ、その経験を活かして子ども達の指導に関わりをもっていただける人材を発掘することができた。
 ・参加者の反応は自然と触れ合う体験への期待が高く、体験を通しての感動が強く印象に残っている。
  また、学校外の友だちとの交流や団体での生活などにも関心が高く、特に宿泊を伴う体験においては新しい友だちを作る良い機会となった。
 ・保護者から、学校でも家庭でも教えることのできない貴重な体験であり、子どもも大変喜んでいたので、ぜひ今後も回数・人数を増やして実施してほしい、との要望が数多く寄せられた。
 <課題>
 ・すぐ近くの地域の子どもの参加率が低くかったことがあがった。
  学校へのチラシ配布や地元ケーブルテレビなどでの広報を行ったが、効果が無かった。
  また、地域外の子どもたちとの交流へ消極的な面もあり、一番興味関心を持ってもらいたい層の集客が今後の課題となった。
  プログラム面での工夫や地域の子どもを育てる親世代へのアプローチを行いながら計画を進めていくことが重要である。



H20事業全体の報告

2009-02-24 11:25:43 | 地域チャレンジネットワークとは
事業全体の報告

 本事業で採択された3地域においては、以下のような流れで事業を実施した。
■事業運営会議
 地域において複数の関係省庁・教育委員会・地方自治体・民間団体・地域住民などで連携し、事業運営会議を構成し、官民一体となって、以下の役割を行った。
  ・都道府県内における地域ネットワーク型の体験活動の推進方策や事業の企画・立案。
  ・事業実施後の評価 等
 ●山梨県富士河口湖町地域:3回(9/30、10/31、1/9)
 ●長野県野沢温泉地域:2回(10/7、11/28)
 ●三重県多気郡宮川地域:4回(6/17、7/15、9/10、10/31) 

■事前研修会
 体験活動を行うための運営スタッフ、地域の方への安全管理をはじめとした事前研修会を実施した。
 ●山梨県富士河口湖町地域:2回(10/4、11/3)
 ●長野県野沢温泉地域:2回(10/24、10/29)
 ●三重県多気郡宮川地域:2回(6/29、9/28) 
 
■体験活動
 地域の自然・文化・人材などの資源を集約し、地域において複数の関係機関・団体等が協働して、多様かつ継続的な体験活動プログラムを開発し、活動場所(種類)を選択肢から複数選んで、実施した。
 ●山梨県富士河口湖町地域:5回(10/13、10/26、11/15、11/16、12/23)
 ●長野県野沢温泉地域:2回(11/1、11/9)
 ●三重県多気郡宮川地域:2回(7/5、10/4~5=1泊2日) 

【参加者に及ぼす効果の検証方法・結果】
 ■IKR調査(簡易版)の結果について
 今年度から文部科学省からの指定により、独立行政法人国立青少年教育振興機構が開発した『IKR調査(簡易版)』を活用して、体験活動の事前事後に、28項目6段階(1:とてもよくあてはまる~6:まったくあてはまらない)についてアンケートを実施した。ここでは、伸び率の大きかった項目を3つに絞り、分析する。
 ●山梨県富士河口湖町地域
  1回~5回まで、全て総合点について、マイナス点となってしまった。
  地域の昔の生活・自然資源の使い方などを学ぶ活動が多かったせいか、ものを大切に使うことや積極的に作業に臨む姿勢がみられたが、その反面、失敗することに対して消極的な傾向がみられた。安全に活動するための注意を気にしてのことかと思われる。
 ・第1回体験活動
   1位 洗濯機がなくても、手で洗濯できる
   2位 からだを動かしても、疲れにくい
   3位 いやがらずに、よく働く
 ・第2回体験活動 
   1位 いやがらずに、よく働く
   2位 季節の変化を感じることができる
   3位 自分かってな、わがままを言わない
 ・第3回体験活動
   1位 先を見通して、自分で計画が立てられる
   2位 いやがらずに、よく働く
   3位 洗濯機がなくても、手で洗濯できる
 ・第4回体験活動
   1位 自分に割り当てられた仕事は、しっかりとやる
   2位 だれにでも、あいさつができる
   3位 お金やモノのむだ使いをしない
 ・第5回体験活動
   1位 その場にふさわしい行動ができる
   2位 とても痛いケガをしても、がまんできる
   3位 お金やモノのむだ使いをしない

 ●長野県野沢温泉地域
  28項目全てにおいてマイナス点となったものがなかった。
  第1回は自然をじっくり観察しそれを表現する体験であったことから、自然への感性が引き出された様子が結果に表れた。
  第2回は自然観察のほか、収穫体験や新作郷土料理コンテストを行ったため、試行錯誤しながら新しい料理メニューを考え、刃物も使えるようになった様子がこの結果から見てとれる。
 ・第1回体験活動
   1位 季節の変化を感じることができる
   2位 花や風景などの美しいものに、感動できる
   3位 からだを動かしても、疲れにくい
 ・第2回体験活動
   1位 ナイフ・包丁などの刃物を、上手に使える
   2位 季節の変化を感じることができる
   3位 小さな失敗をおそれない
   3位 自分で問題点や課題を見つけることができる  

 ●三重県多気郡宮川地域
  1回目は日帰り、2回目は1泊2日に体験活動であった。
  1回目は体験活動の内容からは推測しにくい結果となった。漁師さん(早寝早起)や環境担当の方からのゴミの話(してはいけないことの判断)の影響であろうか。
  2回目は宿泊を伴うことで活動に慣れたのか、人に対しても物事に対しても自ら積極的になれる姿勢が向上している。クラフト体験により、刃物の使用にも自信がついたようである。
 ・第1回体験活動
   1位 いやなことは、いやとはっきり言える
   2位 早寝早起きである
   3位 洗濯機がなくても、手で洗濯できる
 ・第2回体験活動
   1位 先を見通して、自分で計画が立てられる
   2位 ナイフ・包丁などの刃物を、上手に使える
   3位 だれにでも話しかけることができる
   3位 人の話しをきちんと聞くことができる
   3位 自分からすすんで何でもやる
   3位 前むきに、物事を考えられる

 ■主なアンケート結果 ※三重県多気郡宮川地域は保護者からのアンケート
 ●山梨県富士河口湖町地域
  ・樹海の中の木は、あまり土がないのによく立っている。とても不思議。
  ・腐った木のところから新しい木が育とうとしている光景が面白かった。
  ・洞窟の中でヘッドライトを消した時の真っ暗がとても怖かったけど楽しかった。
  ・富士風穴内の氷は、江戸時代の人達も見ていた氷、何だかタイムスリップしたみたい。
  ・木を大切にしなきゃいけないと思っていたけど、木を切ることも大切なんだと思った。
  ・木が育っていく順番があること、すごく長い時間がかかることを知ってびっくりした。
  ・森を歩き比べてみて、生えている木の違いで全然違うのでびっくりした。手入れのされていない森は、歩くのが大変だったし、暗くてちょっと寒かった。
  ・手入れされた森が増えれば、山で遊ぶのももっと楽しくなると思う。
  ・間伐する木はいらない木だったけど、炭にすると役に立つことが分かった。
  ・富士吉田市で使っていた話を聞いて、隣の町とも繋がっているんだなあと思った。
  ・ガスも電気も無い頃の生活は、こんなに大変なことをしていたのだなあと思った。
  ・炭焼きを教えてくれた人は、僕の年の頃には、お父さんと炭焼きをしていたと聞いてびっくりした。
  ・まわりにあった木が無くなって、森がきれいになった気がする。
  ・疲れたけど、みんなと協力できて楽しかった。(多数意見)
  ・火を燃やすのは大変そうだけど、やってみたい。
  ・炭を焼く人の大変さも分かった。
  ・自分達で作った炭で、みんなと協力してつくったバーベキューが美味しく、とても良かった。
  ・炭にもすぐ火が付くものと付きにくいものがあることが分かった。
  ・炭の出来具合によって、いろいろな用途に分けて使えることを知った。
  ・捨てたくなるような炭でも、湖の浄化や畑、それから、部屋の床下にも使えることを知った。
  ・森を育てていくには、とても時間がかかることが分かった。

 ●長野県野沢温泉地域
  ・森にこんなにたくさん動物がすんでいるなんて、今まで考えたこともなかった。
  ・今度は夜の森もやって、動物に会ってみたい。
  ・人間がごみを捨てたりすると、動物たちに悪い影響があることを知った。人も動物もすみやすいようにしたい。
  ・森の中のいろんなものが、動物の残したあとに見えてきた。
  ・郷土料理作り、失敗したけどおもしろかった。
  ・今度はもっとうまく作る!
  ・今まで、水が流れているのは当たり前だと思ったけど、森の水が野沢の野菜を育てていることを知った。
  ・家でも試してみようと思う。
  ・今度から、もっと家の手伝いをしたい。

 ●三重県多気郡宮川地域
  ・値段も高くないこのような活動、どんどん行ってほしいです
  ・帰ってからずっと頂いた下敷き(海の生き物シート)を大切そうにずっと持っていました。
   先生になりきって弟に説明をしていました。
  ・最近の子供達はゲーム等でインドアになり、自然との触れあう場が大切だと思ったそうです。
  ・海にはあまり行く機会がなく、行っても親があまり海のことを知らないので生き物のことなど教えることができません。
   子どもはまた、このような体験事業があったらぜひ参加したいとのことでした。
  ・子どもが夕食時、今日あった1日を振り返り、大変興奮して話してくれました。
   よっぽど楽しく思い出に残る1日だった様に思います。
  ・帰ってきて、「ただいま」よりも「すっごい楽しかった」と第一声に。
   参加でき、良かったと思いました。
  ・印象に残った体験は大半が磯での観察と答えており、海の自然や生き物と触れ合いが特に心に残っていた。
  ・今後もっとこんな経験をさせたいので、少しでも定員を増やすか、回数を増やしてもらえたらと思います。
  ・ふだん火おこしをしたり、釘打ちをして物を作ったりする機会がないので、色々な欲求が満たされ、大変満足だったようです。
   自分なりに考えてきたようです。
  ・自分では体験させてあげられない事をさせていただき、本当にありがとうございました。
  ・間伐しないと他の木が育たないという事がよく分かった。とても良かった。

 

事業の概要(H20年度)

2008-06-23 11:03:23 | 地域チャレンジネットワークとは
平成20年度 地域チャレンジネットワーク

 文部科学省「平成20年度青少年体験活動総合プラン 多様な場を活用した生活体験推進事業 省庁連携地域ネットワーク型体験活動」で採択された、事業名:「地域チャレンジネットワーク」は、子どもたちの豊かな人間性を育むため、関係省庁(文部科学省・環境省・国土交通省・農林水産省など)と連携し、地域において複数の関係機関・団体等が協働して、地域ネットワーク型の体験活動を推進し、多様な体験活動プログラムを開発、実施することにより、その成果や課題等を全国に普及するものである。
 教育委員会、関係部局、青少年教育団体、地域住民など複数のフィールドに係る関係機関・団体による地域ネットワーク型の体験活動推進組織が、地域の自然・文化・人材などの資源を集約し、青少年に多様な体験活動の機会と場を提供する。
 社団法人日本環境教育フォーラムでは、山梨県富士河口湖町・長野県野沢温泉地域・三重県多気郡宮川地域の3ヶ所の地域が採択され、事業の実施を行う。
 企画した3ヶ所の地域は、それぞれ豊かな自然環境に恵まれながらも、自然と密着した第一次産業の衰退、後継者不足、それによる自然環境の悪化、地域の自然・文化への無関心、大人たちのコミュニケーション不足など、さまざまな問題を抱えている。また、地域を体験活動の場としているのは、主に外部からの来訪者であることが多く、地域の大人も子どもも地元の自然・文化の素晴らしさを知らない、実体験が少ない、という現状もある。
 平成19年度は、各地域の民間団体の協力により、地域内で官民一体となったネットワークを構築し、研修会や見学実習などによって地域での体験活動の担い手となる人材を育成し、誰もが体験活動を通して地域の子どもたちに関わっていけるように場と機会をつくり、学校や家庭だけでなく、地域社会の力で子どもたちの健全な心と地域への愛着を育んでいけるよう、3地域で本事業を実施した。
しかしながら、構築したネットワークはまだ緩いものであり、今後も事業を継続してネットワークの結束力を強め、少しずつ拡大していく必要がある。研修や体験活動もさらに回数を重ねて、事業の具体的な成果を普及していくことで、地域内に浸透させてより多くの人の参画を促し、今後、地域力を高め、継続的な活動が定着するよう、平成19年度と同じ3地域で事業の企画をした。

  ●山梨県富士河口湖町地域(森林と国立公園等での体験活動)
    地域事務局:(有)カントリーレイクシステムズ
    活動テーマ:「間伐材の追跡と河口湖湖水浄化
             ~私たちの周りの自然を見直そう~」

  ●長野県野沢温泉地域(森林と国立公園等での体験活動)
    地域事務局:木風舎
    活動テーマ:「野沢の自然を知って、本当の“野沢っ子”になろう!」

  ●三重県多気郡宮川地域(森林と国立公園等での体験活動)
    地域事務局:NPO法人大杉谷自然学校
    活動テーマ:「第一次産業を支える豊かな自然体験活動」