J’sてんてんてまり

はじまりは黎明期。今は、記憶と記録。

からだは嘘をつかない

2010年07月12日 | ゆめ・夢
先日記述した話しで紹介した本。
著者は、医学博士で精神科医のアレクサンダー・ローエン。
人間というのは、一つのことをやってゆくうちに、そこから自らの存在や命のあり方に到達してゆく生き物らしい。
一方で、そのことのみに没頭もできる。純粋に、研究のための研究、科学のための科学、という取り組み方。
多分、性向的にか、最初から抱えているものの違いなのだろう。

「からだは嘘をつかない」の最終章に到達してこの文に行き着き、そう思った。





現代の生活には、膨大なストレスがあることはみな知っています。
課せられる要求は大きいばかりではなく、過剰なことがよくあります。
これらの要求は大きく分けて、生産、達成、成果で、その目標は成功,権力,名声を得ることです。
これらの目標を達成するには自分のエネルギーをすべて、それに注がなければなりません。

競争社会ではなおさらのことです。
競争文化の中で目標に全力を注げば、感情の入る余地がありません。
成功を追い求めるには、硬直した性格構造を発達させなければならず、セクシュアリティを含むすべての感情が抑制されます。
常に行動し、業績を上げるやり手になるのです。
ほとんどの家庭で、この種のライフスタイルに見合う訓練は、子どもが小さいころから始まるのです。

筋肉の収縮で感情が抑制され、からだが緊張します。
緊張は欲動を生み出す一方で、呼吸を制限するため、からだのエネルギーは低下します。
その結果、がむしゃらにがんばる人は崩壊に向けてまっしぐらに進みます。

このように考えると、病気を避ける方法はただ一つ、この文化のパターンを反転するしかないことが示唆されます。

成功を目指し突っ走る態度を押さえ、感情に代表される体の命を大切にしなければなりません。
成功への欲動は、男あるいは女としての、内面の不全感を代償する行為であるとの認識が必要です。
自分を愛すべき人間だとかんじていない事実があるにもかかわらず、愛に値する人間だと両親、あるいは世間に認めさせようとしているのです。
しかしどんなにがんばり、いかに成功使用とも、愛し愛されるという気持ちには到達できず、
自分が認めることを拒んでいる絶望の犠牲になります。

健康の鍵は、からだの命を十分に生きることです。

つまり行動ではなく感じることが、お金よりも自由が、未来よりも今が大切だということです。
これは現実原則を否定するものではありません。
将来のために今を犠牲にする場合には、将来の利益が空約束の夢ではない、叶えられぬ幻想ではないという点を確認する必要があります。
からだから見れば、成功も失敗もありません。
命とは、生きるものであり、その中で成長し死んでいきます。
成功するまで生きることを先送りすれば、大成功したとても悲劇が待っているだけです。

からだの命を生きるとは、十分に感情に触れ、それを表現することです、。
そのためにはできる限り慢性的な筋肉の緊張を取り、その影響を受けないようにしなければなりません。
自分のからだに起きていることを感じてください。
そのためには、時間をかけてからだに取り組み、脚と大地を感じ、姿勢や呼吸に意識を持っていくことです。






もっとも重要な点は、過度のストレスの状況に対しては、そこから身体的に身を引く勇気を持つことです。
私たちは敗北感を味わいたくないために、身を引くことを恐れます。
負けずに耐え抜くのは、敗北者とみなされたくないからです。
自分の価値を証明するために、恐怖や弱さを意志の力でねじ伏せなければなりません。
避けようと努力すればするほど、それが難しくなる運命と闘っているのです。
実は自分でストレス状況を作り出し、ついには健康を害して倒れてしまうのです。






◎からだは嘘をつかない うつ・不安・失感情、〈からだ〉からのアプローチ  A.ローエン著 春秋社
http://www.shunjusha.co.jp/detail/isbn/978-4-393-36498-7/


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