BBC TVドラマシリーズ(全4回) North and South (DVD-2005年発売)
ヴィクトリア期の女性作家 Elizabeth Gaskell原作。
1855年初版。
A Must See!
友達との約束はキャンセル。家事はムシ(私の場合はいつも)。家族や恋人にも邪魔されないようにスケジュール調整して下さい。
というのも、4部作なので、おまけ(特にRichard Armitageのインタビュー!)を見る時間は別で、最低でも4時間は邪魔されない環境を準備しなければいけません!!!
ハンカチの用意も!
1850年代の産業革命の頃の北部の産業都市を舞台にしたお話。階級の違う主人公二人のロマンスでもあります。
産業都市Miltonの汚い環境になじもうと努力する美しくて芯の強いMiss.Margaret Haleと、決して失敗は許さない厳しいMr.John Thorntonが主役。
キャラクターだけでなく、役者さん二人もとても印象的です。
キリスト教会に信義を見出せなくなったRichard Haleは教会を去り、妻と娘Margaretを連れてイギリス北部の産業都市Miltonへ引っ越します。
イギリス南部の緑の多いHelstoneできれいな家に住み、中産階級の豊かな暮らしをしていたHale一家でしたが、Miltonでは自分達より身分の低い商人や、他人に関心など持たない貧しい労働者達との付き合いが始まります。
それでもMargaretは徐々に労働者達数人と友達になり始めます。しかし、彼らの働く工場の厳しい社長Mr.John Thorntonに対してだけは、初めて会った瞬間から、彼の労働者に対する扱い方などから激しい嫌悪感を抱きます。
数日後、父のもとにプラトンを勉強しに来たThorntonに、Margaretははっきりとそんな自分の気持ちを告げます。
ですが、聡明で自分の意見をはっきりと言うことができ、思いやりにあふれた彼女に対するThorntonの気持ちは強くなる一方。
次第にMargaretは、労働者たちの労働条件の悪さはもちろん、Thorntonなど雇用者側の意見も理解し、板ばさみのような状態になりながらもMiltonでの生活を学んでいきますが、そこでの生活にどうしても馴染めない母のつらさに始まり、様々な困難が続きます。
同時に、麻の需要は減るばかりか、市場ではアメリカ産の安い麻が出回り、Miltonでは低賃金での労働が何年も続いていました。
そして労働者達の不満はつのり一触即発の状態になっていきます…。
時代背景とロマンスがうまく絡んだ、忘れ難い作品です。
Johnの母親がこれまた「鉄の女」(でいい感じ)なんですが、息子にはベタベタで、彼もそんな母親を大事にしています。この二人の親子愛には負けます。
Johnのちょっとおバカな妹はこのお話の唯一のユーモラスな部分です。
Hale夫妻も、Hale家の家政婦や、組合をひっぱったMr.Higginsというカリスマ的な労働者も、みーんないいキャラクターで、いい役者さんが演じているし、それぞれの顔が心に残ります。
そして何をおいても無視できないのはThornton役のセクシーなRichard Armitageです!
いつもしかめつらのMr. John Thorntonを演じきったArmitage
Mr.Darcyを超えています。
Armitage自身がロマンチストなのか、かなり役にはまったようです。役作りのためにたくさん勉強もしたそうで、実際に北部にある博物館にも見学に行ったとか。
最も印象に残ったシーンは?と聞かれて、とてもロマンチックなシーンを3つ挙げています。
Margaretにプロポーズするシーン、MargaretがMiltonを去ってしまうときの馬車を見送るシーンと、Margaretとのキス
私もこの3つのシーン、とっても気に入ってます。
中でもThorntonが、Margaretの乗った馬車を見送りながら"Look back at me...!"と懇願するようにつぶやくところです。
Armitageのキスシーンの感想は、
" 'Was a fine way to spend an afternoon..."
って、顔がにやけてました。でもこのニヤケ顔もかっこよいのです・・・
全く別の役柄だけど、しかめっ面でぶっきらぼうで片思いの女性に思いっきり嫌われる…、と、Mr.Darcyとの共通点もあるMr.Thornton。
Mr.Thorntonとして人気を得たけど、Collin FirthのMr.Darcyと比較されることについてはどう思うかという質問に対しては、「Collin Firthのあの大人気のアタリ役と比べてもらえるなんてすごく光栄に思う」と言っていました。
今度、Jane AustenのPersuasionがTVドラマ化されるようですが、UK Historical RomanceではWentworthの役は彼にしてほしかったヮというコメントも見られます。
North and South Website
原作にはかなり忠実だと思うとArmitageが言っていましたが、どんなでしょうね。読んでみたくなりました。
BBCがTV化したGaskellのもう一つの作品"Wives and Daughters"も見ました。これも良かったので、近々レビューしますね。
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Elizabeth Gaskellについてはこちらにコメントしますね。
ギャスケルは、邦訳で全集がでています。
私は、岩波版の「女だけの町」(原題CRANFORD 小池滋訳)がとてもしみじみし、かつユーモアがあって好きだったので、あらすじを見て面白そうだった「北と南」を買って読んでみました。
そしたらびっくり!!
なんと(自分)史上最悪の翻訳だったのです。
とにかく読んでいるとめまいがしてくるというか、
迷宮に入り込んでしまうというか…。
それでもなんとか最後まで読めたのは、もちろん
原作の面白さゆえでしょうが。
しかも値段が高かった。(PB十冊買えるぐらい)
なんでも原書でサクサク読めたらなぁって思いました。(小池さんによると”原文の英語もそれほど難解ではない”そうです。だったら「北と南」の訳って一体…)
BBCのドラマもとても良さそうですね。
日本で出るのが待ち遠しいです。ていうか出るんでしょうね。いや出してください、お願い…。
翻訳がだめだとお話の魅力が損なわれてしまいますよね。訳すのは小池氏が言うように「簡単」かもしれませんが、文芸翻訳ではセンスが問われるんですよねー。
にしても、私はこのお話はDVDから見て正解だったということでしょうか 翻訳本は避けますね。
>日本で出るのが待ち遠しいです。ていうか出るんでしょうね。
そうなんです。まだ日本では出てないようですが、絶対日本のヒストリカル・ロマンスファンにも見て欲しい!って思いました。よく出来てます。
Gaskellはあと、Wives and Daughtersのドラマ化DVDもありますが、他は無いようです。
全部ドラマ化して欲しいっ
(それにしても、BBCは名作のドラマ化がうまいですよね)
ギャスケル、ブロンテ、オースティンへの興味からBBCを見始めてここに参りましたが、N&SのThornton氏にはまってから思い切り脱線してしまい、今はRobin Hoodを見てます
数日前まではMatthewとColinどちらのMr. Darcyがかっこいいだろうとか、BBCのもみあげの長い人々の中でColinとRichardどちらがかっこいいだろうとか考えていたのに、今はThorntonとGisbourneどちらのRichardがかっこいいだろうと考えています。結局その輪の中から抜けてない、オースティン女史にバカにされそうな私です。でももし少しでも興味がおありでしたら、Hoodも面白いと思います。
でも、私はこのドラマはちょっと幼稚だと感じたので、チャンネルを変えてしまい、それっきりなんです。
applefieldさんの好みにケチをつける気は全くありませんよ!
Richardって日本ではほとんど知られてないから、あの番組のRichardを見た方がここにもいて、Richardの魅力について語れる方と出会えたのはすごく嬉しいです。
なんか、ブログで一人で盛り上がってただけだったので…
それと、RHでは印象が違うRichardを見れて良かったんですけど、私はやっぱり断然Mr.Thornton!です。
DarcyとThorntonなら、私はThornton。
顔で
MatthewとColinのDarcyなら、私はColinです。
Matthewには、ColinがやったDarcyのように高飛車な感じが足りなくて、がっかり。物足りませんでした。
あんたの身分や下品な家族や親戚をがまんしてやるから結婚してくれ、って言う人ですよ。
Lizzyみたいな身分の女性にしたら自分は花婿として(身分が高いから)できすぎだ、って思ってるようなところがMatthewではうまく表れていなかったように思います。
あの映画自体も、Austenが描く当時の女性の様々な結婚観や、Lizzyの目を通してみる身分の違いやそれに対するユーモアなど、原作の良さが前面に出てなかったと思います。
Keira Knightleyの、特に怒ったりするシーンでは、唇とアゴを突き出して早口でセリフを言うというだけの演技?にもうんざりしました。
と、私自身が脱線しまくりブログです。
オースティンが生きていたらこういった様々な配役にはなんて言ったでしょうねー
Darcy<Thorntonってとこは同意見! Kさんと意見が違うのは「断然」Mr.Thorntonってとこかな
Mr.Thorntonの孤高で硬質な感じはもちろん魅力で、そのためにRAに興味を持った訳ですが、上司や宿敵や女性にいじめられる悪役Gisborneもキュートですよ? だから私の意見は「決めかねる」です。
実はMatthewとColinのDarcy、これも迷います。
物語の前半にはColinのプライドがぴったり。でも後半はその態度を愛する女性に拒絶されて反省した訳ですから、オロオロした感じのMatthewも合っている気もします。
>高飛車な感じが足りなくて、がっかり。物足りませんでした。
Kさんは理想が高そうですね。私だったら「2人まとめてOKよ!」ってとこです。
映画自体についてとKeiraについては同感。Keiraはパイレーツの時も同様の演技(地?)でしたね。目はきれいなんだけど。でも本当はBBC版のエリザベスのおちょぼ口というか含み笑いみたいな表情も気になりました。
ところで、ギャスケルの「メアリー・バートン」翻訳を読み始めました。マンチェスターの労働者ってとこでN&Sに共通してます。面白いです。
前に送ってくださったメッセージ、applefieldさんのおっしゃりたいことはちゃんと伝わりましたよ☆
全然語弊なんてありませんでしたから、ご心配なく!
ここでafさんと言い争う気は全くないんですけど、さらに私がC.FirthのDarcyが断然良い!という理由を書かせてもらいますね☆
私が思ったのは、あの映画版のDarcyはかなり小説に忠実で、Lizzyの気持ちの変化・成長が主なので、Darcyの気持ちがあまり伝わってこない、というのが私の印象でした。
その反面、ドラマ版ではプロデューサー側の意向でDarcyの気持ちがもっと豊富に語られています。
自分がものすごく高慢でヤな男だったんだとLizzyにガツンと知らされてからの態度の変化は、映画よりも様々なシーンに現われています。
フェンシングで"I shall conquer!"と何度もつぶやくシーンや、PemberleyでのLizzyとバッタリ再開し、"Cheapsideに住む"と一蹴した彼女の叔父と叔母に対する丁寧で改まった態度、宿に現われて妹を紹介した時のドギマギした態度や、ジョージアーナの楽譜をめくるLizzyに切ない視線を(しつこく)送る、などなど、Darcyが変化した部分は小説よりもやっぱりドラマ版のほうが豊富に語られていると思いました。
しかもLizzyが一番嫌悪したDarcyの"Ungentlemanly manner"がやっぱりDarcy本人にとっても自分の欠点としてかなりショックな部分だったので、彼女のためだけじゃなくて、紳士として自分を改善するためにも頑張った様子は、小説の本筋からそう離れてもないとも思いました。
でもapplefieldさんのコメントを拝見して、映画も見る人によって色々印象が違うんだぁ、と改めて実感。他の方の意見を聞くのは楽しいです。
ドラマ版のLizzy、afさんがおっしゃるとおり、おちょぼ口ですね(爆
実は、私の彼女に対する最初の印象は「おかめ」…^^;
あんまり美人だとは思いませんでした。あの髪型が悪いんだと思ったりもしました。役者さん本人はモダンな格好をするととってもラブリーなので…。
ではでは、メアリー・バートン、楽しんでください♡
コメントが随分遅れて申し訳なかったです。
これに懲りず、また遊びに来て下さいね!!!
Robin Hoodのことを「幼稚」とバッサリ斬ってしまったんですけど、applefieldさんの好みにケチをつけるようなものすごく失礼な表現だったと反省してます。
私はあのドラマは全部見なかったし…。
幼稚だと表現してしまったのは、私の中ではあの番組はハリポタや最近多い児童小説から出てきたファンタジー系の映画を思わせたというのと、欧米で昔放送してた(今でもケーブルTVで見れる)SlidersやStar GateというSF系の連続ドラマを思わせたんです。
おもしろいと思う部分はあっても、ただ私にとってはあまりこういうのは好みではないというだけのことだったんですけど、こういうのを全てまとめて「幼稚」と表現してしまいました。でもそれはただの偏見ですよね。
せっかくコメントいただいたのに、失礼な返事ですごく申し訳なかったです。
applefieldさんの大人な対処で救われました。
ではでは、返事が遅かったり失礼なコメントを書いちゃうKですが、これからも気長に付き合って下さいね!
RHは文芸ものより、ファミリー向けエンタメって感じが強いですものね。NHK大河ドラマと遠山の金さんの違い、かな?? でもGisborneはかっこよくなかったですかぁ!?
それからColinのDarcyかMatthewのDarcyかの「大問題」ですが。優柔不断(二股とも言う)でごめんなさい!! 私の逃げはこうです。Darcyをよく表現しているのはColin版、情に流れるならMatthew版もよし。Jane EyreのTimothy版とToby版も同様です。
GisbourneのR.Armitage、もちろん、かっこいいって思いましたよ!
>「大問題」
あはは。
そんな、優柔不断じゃありませんよ~!
お互い好みとか感じ方が違うんですよね。
このドラマを見られた方の違った意見が聞けて楽しいです。
Timothy版とToby版に関しては全く同意です☆
ではでは。
ところでオセアニアに住んでいらっしゃるKさんにちょっとお尋ねしたいことが。
Robin Hoodの中でRAが答えに窮したり、「しまった」「くそー」みたいな気持ちを表現するとき天を見上げるポーズをよくするんですが。きまってこれをされると、何か私には少しわざとらしいというか、ほかの表し方はないのだろうかと思ってしまうのですが、これはもしかしたら日本人だからそう思うのかなとも疑問に思って。例えば日本のドラマだったら、時には歯がみをするとか、悪態をつぶやくとか、こぶしを握るとか、上でなくて下を向くとか、色々あると思うんですが、英国人のRAには、OMGって感じで空を仰ぐのが一番自然なのだろうか、と…。どう思われますか。