プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

平戸島~五島列島の海旅 6日目

2016-11-04 12:51:04 | 平戸島~五島列島への海旅

前回「5日目」記事からの続き

 平戸島~五島列島の海旅 6日目。小値賀島~中通島・青方/船越海水浴場

 朝10時過ぎ、小値賀島を出艇。
 ちょうど満潮時。潮止まりに近かったが、それでもところどころに潮目ができていた。

 結局、今日を含めて小値賀島周辺には5日ほどいたことになる。 しかしまだまだ足りない。あと残りの日数、この周辺をカヤックフィッシング&キャンプしながら巡るのもいいかもしれない、という気もした。20キロ四方くらいのエリアに小さい有人島、無人島が無数にあって、コンパクトにまとまりつつ、バラエティに富んでいる。一週間ほどのんびりゆったり、海を漕ぎ、上陸して土地の人々と会話し、自然と文化の全体像をつかむにはこのくらいのスケール感が最高なのだ。またいつか小値賀諸島のカヤック旅をしてみたい。

 ちなみに五島列島最北部の小値賀島や宇久島は、昔も今も他の五島列島の島々とは異なる文化圏のようだ。
 実際、宇久島は佐世保市、小値賀島は平戸市になっている。
 また、島同士でライバル意識が結構強いようで 、お互いをどこか上から目線で論評しあっている。そもそも宇久島や小値賀島の住人は「五島の人間」という意識がないようで、ぼくが小値賀島で「ここら五島の人達は冬は何してるんですか?」とか聞くと怒られた。
 五島とは、中通島より以南のことをいうようだ。
 また宇久島と小値賀島も互いに異なる島として張り合っている。
 
 ぼくはてっきり、 宇久島や小値賀島のことを「上五島」というと思っていたけれど、
 上五島とは、これから漕ぎ下る「中通島」のことをいうらしい。

 ということは、出艇して6日目にして今日、いよいよ五島への海旅に入っていくということになる。

 野崎島を左手に、津和崎瀬戸の沖、中通島先端部の最も高い山「番岳」443mを目指して進む。
 ひとつの海域を過ぎ、また新たなる海域に入るときの、去りゆく寂しさと新たなる世界への興味とが交錯する、なんとも言えない旅情。サウダージ。

 中通島先端部に来ると、高い山の崖っぷちに道路が続き、山の中腹に仲地、江袋といった集落が点在していた。僻地感がたっぷりで、いかにも隠れキリシタンの里という雰囲気だ。キリスト教禁制、弾圧下のもと、300年以上もの間、信仰の火をともし伝え続けてきた人達の隠れ里にふさわしい、峻厳さと美しさとが同居する景色だ。これからさらに秋も深まり、北西風の強い冬場になるとよりいっそう、厳しさと重厚さが増すのだろう。また、だからこそ一層、穏やかな春を迎えた日の優雅さも、息を飲むほどのものとなるだろう。
 
 江袋の港に入って昼食。 
 坂道を上がり集落や教会を巡ってみようかとも考えたが、 かなりの急坂で、上り下りして散策するとなると半日ほどはかかるだろう。ということで昼食後出艇。北の風が入り、だんだん波が上がってくる。深い内湾を有する奈摩湾の入り口を越えて矢堅目の岬を過ぎると、かなりの風波が出始めた。断崖や岩礁にぶち当たって複雑になった返し波だ。おそらくここから先、福江島までは岬の先端と瀬戸の出入り口が要注意となるだろう。海図を見ると同じような要注意ポイントが無数に出てくる。先が思いやられるなと思った。
 岬を越えて青方の北側の船崎の海水浴場に上陸。
 今イチ雰囲気がいいと思えない浜だったので、対岸にある祝言島の浜でキャンプしようと移動。ところがそこもまた浜の傾斜が急で、かつゴロタ浜で一個一個の石が大きすぎるのでキャンプ不適地だった。結局もう一度漕いで戻った。
 6キロを無駄に漕いだ計算になる。 
 何やってんだ、オレ。 

 次記事「7日目」へと続く

 一日のカヤッキングが終わり、上陸した船崎の浜。このとき干潮時で、夜の満潮時には砂浜のほとんどがなくなるほど潮位があがってきた。対岸左手が祝言島。その名前がいいなと思って渡ってみたが、キャンプできそうな浜が見つからなかった。

 中通島の最北部周辺は、切り立った断崖絶壁がそびえ、所々洞窟も点在していた。

 

 仲地の港。オレンジの建物はキリスト教会。

 

 中通島沖北西部沖に浮かぶ小島。

 江袋の港で昼休憩。まったく誰もいなかった。

 山の斜面のかなり上の方に道路が通っている。ぽつっと白い物が家や集落だ。
 いにしえの隠れキリシタンの地。

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