いせ九条の会

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太田誠一農水相の「やかましい」発言を考える/山崎孝

2008-08-20 | ご投稿
太田誠一農水相は8月10日、NHK番組で、「食の安全」について、「消費者としての国民がやかましくいろいろいうと、それに応えざるをえない」と、国民が横着を言っているかのように受け取れる発言をして問題になりました。

この太田誠一農水相の発言を弁護する発言を麻生太郎自民党幹事長が8月19日の記者会見で行ないました。朝日新聞の記事によりますと、大田農水相と同じ福岡県出身の麻生幹事長は、「関西以西の人は『やかましい』とみんな言う。『あの人はワインにやかましい』というのは普通の表現だろう」と解説。さらに「『選挙にやかましい』と言ったら、うるさい、詳しい、プロ。そういったものをみんなやかましいと言う」と協調しました。

私の生まれた地域は関西弁が混じっています。麻生幹事長が言うように「うるさい」には、うるさいとか詳しいという意味を持って使われるときがあります。その時によってうるさいとか詳しいのどちらかにニュアンスを置いて使います。しかし、太田農水相は関西以西の「やかましい」意味合いとは違った仕方の釈明をしています。

太田農水相は、「社会主義国と違って自由主義国は消費者が正当にものを言える。『やかましい』というのは健全に、正当に自らの権利を主張している、という意味だ」と記者団に釈明しています。

日本語として普遍的に使われる「やかましい」は、煩わしいとか面倒である、小言が多くて、理屈っぽいである。これらの意味は、自分の考えている基準より、相手の考える基準がオーバーしていて納得できない時に発する言葉で、相手が「正当に自らの権利を主張」していると思う時には使わない言葉です。

2007年2月に安倍内閣の伊吹文部科学相は、食べ過ぎれば日本社会は「人権メタボリック症候群となる」と発言しています。「やかましい」発言と共通で、権利の主張を抑えようとする考え方の発言です。

現在の日本国民の権利が肥大化していると捉えているから、自民党の改憲草案 第12条 (前略)国民はこれを(註、権利)濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う、となってしまうのです。「権利を行使する義務」とは変な表現です。普通は「権利を行使することが出来る」です。国家が権利を保障しなければならないことであって義務づけられるものではありません。

自由とは他者の自由を尊重する意味が本来的に含まれています。公の秩序とは個人と個人の水平的な関係で、決して国家と国民と言う関係で公があるのではないことを自民党の政治家は認識して欲しいと思います。

現在の日本は権利が肥大化しているのではありません。痩せてきています。思想信条の自由が処罰の対象となり、集合住宅へのビラの配布も住居不法侵入のケースがあるとして処罰を受ける場合があります。以前には起こらなかったことです。健康で文化的な生活する権利は自民公明の政策によって脅かされています。