いせ九条の会

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久間章生衆院議員とジョー・オダネルさんの違い/山崎孝

2008-08-11 | ご投稿
【久間氏、暴言撤回拒む/「原爆投下しょうがない」】(2008年8月10日「しんぶん赤旗」)

 昨年、米国の原爆投下を「しょうがない」と発言して被爆者らの批判を招き、平和式典への出席を自粛した長崎県選出の久間章生衆院議員が、九日に行われた今年の式典に出席しました。

 式典後、久間氏は「決意を新たに一から核廃絶と被爆者援護の問題に取り組みたいとの思いを込めて出席した」などと述べました。

 しかし、被爆者から発言の取り消しを求められていることについては「撤回できない」と拒否しました。

 久間氏に対し、長崎市の被爆者団体などは、今年も出席を控えるよう要請文を送るなどしていました。

 久間氏の暴言は、現職の防衛相だった昨年六月三十日の講演でおこなったもの。「原爆も落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今しょうがないと思っている」と述べました。

 被爆者をはじめ、国民の厳しい批判をうけ、翌月三日、「選挙の足をひっぱることになる」との理由で辞任。反省の言葉は聞かれませんでした。(以上)

【コメント】NHKのテレビ番組「解かれた封印 米カメラマンが見たNAGASAKI」を私は見ました。以下は番組から得た情報を元に書きます。

ジョー・オダネルさんは、米軍から原爆の破壊力を記録するため長崎に派遣されてきました。人物を写すことを禁止されていましたがオダネルさんは人物も撮影しました。その写真は43年間箱の中に封印していましたが、偶然訪問した教会の彫像に細かに張られた原爆写真を見た機に神の啓示と受け取り写真を公開し、米国民に原爆の悲惨さを訴えました。

ジョー・オダネルさんは、日本の真珠湾の先制攻撃に憤激して軍隊に志願して日本軍と戦いました。しかし、終戦後、長崎で撮影している間に日本人への憎しみが消えて言ったと述べています。どうして、人間が人間に対してこんな酷いことをするのかを自分に問いかけています。原爆投下と戦争を国家間という枠組みではなく、一番肝心な視点である人間同士間で捉えるようになりました。これが原爆を頭を整理して国家戦略として捉え、仕方が無いとする久間章生衆院議員との違いだと思います。

ジョー・オダネルさんは語っています。1950年、トルーマン大統領に質問しました。大統領、私は長崎と広島で写真を撮っていました。貴方は日本に原爆を落としたことを後悔したことはありませんか。彼は動揺し顔を真っ赤にしてこう言った。当然それはある。しかし、原爆投下は私のアイディアではない。私は前の大統領から単に引き継いだだけだ。

ジョー・オダネルさんの質問にトルーマン大統領は責任逃れの答えをしています。周知のように米国の公式見解は、原爆投下は米兵の犠牲を少なくするため、戦争を早く終わらせるためで正当な行為という見解です。いまなお多数の米国民を支配している見解です。

ジョー・オダネルさんは、このような米国の状況の中で次のように語っています。

誤解しないで欲しい。私はアメリカ人だ。アメリカを愛しているし、国のために戦った。しかし、母国の誤りをなかったことに出来なかった。

退役軍人は私のことを理解してくれないだろう。私は死の灰の上を歩き、悲惨な状況を見たのだ。

確かに日本軍は中国や韓国に対して酷いことをした。しかし、日本の子どもたちが何かしただろうか。戦争に勝つために本当に彼らの両親を殺す必要があっただろうか。

1945年のあの原爆投下はやはり間違っていた。それは100年経っても間違いであり続ける。絶対に間違っている。歴史は繰り返すと言うが、繰り返していけない歴史もあるはずだ。

ジョー・オダネルさんは、原爆で両親をなくして幼い弟妹を支えて暮らす子どもの写真を撮影していました。ご自身も原爆の二次被害の放射線の影響に苦しんでいました。

ジョー・オダネルさんの意思は息子のタイグ・オダネルさんに引き継がれ、タイグさんは米国で原爆の恐ろしさを説きつづけています。ジョー・オダネルさんの妻エレンさんは、オダネルさんが写真を公開したことから、家族への攻撃や夫との考え方に相違が生まれて離婚しました。今では息子さんの活動が米国の多くの人に影響をいること。その活動を引き継いだことを誇りに思うという手紙を息子さん宛てに出しています。

タイグ・オダネルさんは次のように語っています。

時間が経ちアメリカは10年前と少し変わってきている。写真のような過去を見つめ、違った受け入れ方をする人が増えてきていると思う。

米国の次のような変化は、世界にも影響を与えています。キッシンジャー元国務長官、シュルツ元国務長官、ペリー元国防長官、ナン元上院軍事委員長らによって、核廃絶の方が核抑止より勝っていると考え直されています。

サム・ナン元上院軍事委員長で現在、核脅威イニシアチブ共同議長は次のように述べています。私たちは、核兵器の存在意義を薄め、重要性を減らし、危険な人たちの手に核兵器や核物質が渡るのを防ぎ、最終的には世界に対する脅威としての核兵器を廃絶しなければならないのです。(「世界」8月号「核兵器のない世界」をいかに実現するかの対談記事より)
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