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佐藤秀の『THE GREY 凍える太陽』評

2012年08月19日 | 映画

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『THE GREY 凍える太陽』(アメリカ映画・2012年)

 

評者:佐藤秀

掲載サイト:『佐藤秀の徒然幻視録』

概要:リーアム・ニーソン主演。飛行機事故の生存者たちがアラスカで狼と闘うスリラー映画

[本家ブログの記事はこちら

 

 

星2つか。

どう批判するのだろう。

 

オオカミの生態を良く知るオットウェイがリーダー格になるのだが、

実は彼は生き残るために率いているのか疑いたくなる行為をしている。

そもそも墜落機体の胴体を風よけに籠ってじっと凌げればやがて救援隊が来るのは間違いない。

 

噴飯モノの記述。

「間違いなく救援が来る」とわかっていたら、オットウェイに追随する者などいない。

命令する権限がないのだから。

まして感情移入する観客もいない。

 

しかし、彼は墜落現場を離れて森に移動させる。

森の中に入ったからといってオオカミ達の包囲網から逃れられる保障などある筈もないのに。

 

こちらも同様。

墜落現場に留まったとしても、助かる保証はない。(ちなみに「保障」は誤用)

評者以外のすべての観客が、そんなことは承知だ。

 

実はオットウェイ自身がある観念に取りつかれていた。

一番強い相手を倒せたらその日に死んでも悔いない、という父親から教わった詩だ。

一番強い相手が呼んでいる。彼が自殺を思いとどまったのはその声だった。

 

この解釈は、そう間違っていない。

オットウェイは、「生」と「死」の両方へ傾斜している。

佐藤は後者をやたら気にしてるだけ。

 

やがてオオカミに食い殺される者、力尽きて生還を諦める者もいるが、

オットウェイには自分の責任で死なせたという自覚がない。

 

「ボクの判断で皆を危険にさらしました、ゴメンナサイ」と謝ればよかったの?

日本人のコミュニケーション手法を、アメリカ映画に押しつけるな。

 

最後の生き残りがオットウェイの本性に気付くが時既に遅し。

オットウェイは身勝手なほど独り善がりに最後の戦いに挑むのだが。

 

「本性」も意味不明。

文脈から判断するに、「自殺願望があること」か?

ヘンリックは、飛行機に乗る前から気づいていたし、

くわえてオットウェイの会話のなかで何か確証を得たわけでもない。

「やはりそうらしいな」というだけ。

そもそもこの場面の直前、ディアスが自ら死を選んでおり、いまさらの話だ。

評者は鑑賞中に居眠りしたか、もしくは嘘をついている。

 

 

「オットウェイは死神」と書きたくて、それに合わせ映画の内容を捻じ曲げたのだろう。

解釈は自由だ。

しかし嘘は許容できない。

 

 

【評価】

文体:★★☆☆☆ 未見なら、うまく騙されそうな文章だ

情報:★☆☆☆☆ あきらかな誤謬は、未来の観客の不利益となる

熱意:★☆☆☆☆ そして「ミスリード」は映画への冒涜だ

平均点:1.3 白黒曖昧な描写を勝手に決めつけ、墓穴を掘った。訂正・削除すべし


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