ふみふみこ『女の穴』(徳間書店)
評者:緑の旅人
掲載サイト:『Amazon.co.jp』
概要:『ぼくらのへんたい』の作者が2011年に出した処女短篇集
思春期の残酷さが胸に突き刺さる『ぼくらのへんたい』が良かったので、
前著を手に取ったが、以下のレヴューの通りの凡作だった。
そこまで悪いわけではないのですが、特別良くも無い。
読み終わった後「ふーん。それで?」という感想しか残らず、記憶に残らない話が多い。
絵も良くある「おしゃれサブカル風」の域を未だ出ておらず、
かといって「おしゃれサブカル風」にも成りきれていない。
そうそう、「おしゃれサブカル風」(笑)。
『コミックナタリー』系というか、文化人ウケを狙ってるというか……。
作者は「ひらめき☆マンガ学校」で西島大介に師事したが、そこで得たのは悪影響だけかも。
しかし、である。
こういう未完成というか未成熟なもの(しかも未成熟故の勢いとか良い意味での荒さも無い)を
そのまま出版させるのはどうかと思います。
『ぼくらのへんたい』が連載中の2012年8月において、この意見は的外れとなった。
『COMICリュウ』編集部は、未来につながる仕事をしたから。
新人を評するのは難しい。
作品に対する評価は正鵠を射ている。
しかし、すぐ後に開花する才能まで見抜けなかった。
【評価】
文体:★★★☆☆ 批判として、よくまとまっている
情報:★★★☆☆ 作品そのものについての指摘は、過不足ない
熱意:★★☆☆☆ 新人が持て囃されたりすると、嫉妬を感じることはボクにもある
平均点:2.7 だれが未来の傑作を描くかは予測できない。新人には寛容に