-VERI-情報0612
新年も間近になりました。
この一年はいかがでしたでしょうか。
さて、今年最後のテーマです。
凡庸な企業を偉大な企業へと変えるにはどうしたらいいのでしょうか?
この質問に答えるべく、J.C.コリンズは、偉大な企業への飛躍を遂げた企業群を研究して「ビジョナリーカンパニー2、飛躍の法則」を著しています。
この研究では、当初、すべてをリーダーの功績か、リーダーの責任で割り切ろうとする一般的な見方や、すべてをリーダーシップによるものとする考え方を、極力、避けることを心がけていました。
しかし、研究の成果は、偉大な企業に変える時期に共通して存在する最高水準のリーダシップの型の発見でした。J.C.コリンズは、これを「第5水準のリーダーシップ」と呼び、新しいリーダーシップの行動を学ぶことを提言しています。
偉大な企業への飛躍は、第5水準のリーダーからすべてが始まり、その成功要因は、弾み車のような会社の一貫性、組織全体に自社の考え方を浸透させる能力、それを可能にする官僚主義がない組織です。
飛躍するにおいて、適切な人材とは、自ら規律を守る人です。規律ある人材が、規律ある考えによって、規律ある行動を継続することで生まれる一貫性が、部分の合計よりもはるかに強力で、統合された勢いを生みだしています。
飛躍の法則は、普通または良好から、偉大への法則です。
ですから、最悪から普通への変化のように、急を要する場合にはもう少し異なるようにも思えます。しかし、良好から最悪にならないためにも、参考になる法則です。
それでは、良い組織を、偉大な業績を持続できる組織に変える、第5水準のリーダーシップを見てみることに致しましょう。
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<事実調査に基づく、「第5水準のリーダーシップ」とは?>
1)リーダシップの第5水準までの段階
・第1水準(有能な個人)
才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をします。
・第2水準(組織に寄与する個人)
組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力します。
・第3水準(有能な管理者)
人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に、効果的に追求します。
・第4水準(有能な経営者)
明確で説得力のあるビジョンへの支持とビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでよりも高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与えます。
・第5水準(第5水準の経営者)
第1から第4水準を満たし、個人としての謙虚さと職業人としての強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げます。
2)第5水準のリーダーの二面性
①個人としての謙虚さ
・おどろくほど謙虚で、世間の追従を避けようとし、決して自慢しません。
・野心は自分個人にではなく企業に向け、次の世代に一層の成功を収められるように後継者を選びます。
・鏡ではなく窓をみて、他の人たち、外部要因、幸運が会社の成功をもたらした要因だと考えます。
・静かな決意を秘めて行動し、魅力的なカリスマ性によってではなく、高い基準によって組織を活気づかせます。
②職業人としての意志の強さ
・素晴らしい実績を生み出し、偉大な企業への飛躍をもたらします。
・どれほど困難であっても、長期にわたって最高の実績を生み出すために必要なことはすべて行う固い意志を示します。
・偉大さが永続する企業を築くために基準を設定し、基準を満たせなければ決して満足しません。
・結果が悪かったとき、窓の外ではなく、鏡をみて責任は自分にあると考え、他人や外部要因や運の悪さのためだとは考えません。
<第5水準のリーダーシップは習得できるでしょうか?>
1)第5水準の芽を持っていない人
常に何よりも仕事で得られる名声や財産や追従や権力など私利私欲に関心があり、仕事によって築き上げ、創造し、貢献できるものに関心をもっていない人は、第5水準の芽を持っていません。
2)第5水準の芽を持っている人
自分を見つめる機会、意識的な努力、指導者、偉大な教師、愛情豊かな両親、世界観が変わるような体験、第5水準の上司などの条件があれば、その能力が開花する人は、第5水準の芽を持っており、そういう人たちは多いのではないでしょうか。
3)第5水準のリーダーの行動を学ぶことで本物に近づくことが出来る
①まず、自ら規律を守る人たちを集め、
②この人たちが徹底的に考えて、「針鼠(はりねずみ)の概念」に基づいて
③設計された一貫したシステムを創りだし、
④その枠組みの中で規律ある行動をとり、
⑤枠組みの中の自由と規律という文化を築くことで、
⑥飛躍した企業を作り上げます。
<針鼠の概念とは?>
1)飛躍した企業の戦略策定の基礎となる三つの円
①自社が世界一になれる部分はどこか。 (同様に、世界一になれない部分はどこか)
②経済的原動力になるものは何か。 (財務実績に最大の影響を与える分母はどこか)
③情熱をもって取り組めるものは何か。 (如何に情熱を刺激できるかではなく、どのような事業に情熱をもっているか、という問題)
2)針鼠の概念という単純明快な戦略
①戦略策定の基礎となる三つの円の重なる部分に関する理解を深め、最高になれる部分はどこかについての理解から針鼠の概念が得られます。
②三つの円の重なる部分の基準に外れるものを組織的に取り除く規律を持ちます。
③どこにも負けない事業になりうる部分だけに注力することが、偉大なる企業への唯一の道です。
3)ビジョナリカンパニーの概念と針鼠の概念
①時を告げるのではなく、時計をつくる /
規律を守る人たちを集め、正しい決定を積み重ねていく評議会の仕組みを作ります。
②ANDの才能 /
自由と責任。個人としての謙虚さと、職業人としての意志の強さ。深い理解と、信じがたいほどの単純さ。段階的過程と革命的結果。維持と変化。
③基本理念 /
三つの円の一つ「情熱をもって取り組めるもの」は、基本的価値観と目的(単なる金儲けを超えた企業の存在理由)に重なります。
④基本理念を維持し、進歩を促す /
社運をかけた大胆な目標は、虚勢からは悪いものが、理解からは良いものが設定されます。偉大な目標は三つの円の重なる部分に収まり、この部分に直接関連する技術の先駆的な応用が進歩を促します。
<企業が正しい選択・決定を積み重ねていくには?>
①第5水準の指導者がいて、
②適切な人をバスに乗せ、
③厳しい現実を直視する規律を持ち、
④真実に耳を傾ける社風を作り、
⑤評議会を作って三つの円が重なる部分で活動し、
⑥すべての決定を単純明快な針鼠の概念にしたがってくだし、
⑦虚勢ではなく現実の理解に基づいて行動します。
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<一般的なリーダーシップ論>
リーダーは、そのビジョンと人柄によって尊敬を集められる人物が理想です。
予算や組織図、費用や法律遵守、その他のこまごまとした事柄に大半の時間を費やしているとしたら、管理者といえますが、リーダーとはいえません。
1.ビジネス・リーダーの仕事
・ 意味を創造すること (意味とは使命、価値、やり甲斐、喜び)
・ 見えないものを観ること (見えないものとは夢、ビジョン、機会)
・ 人に希望を与えること (夢へのアプローチを示し人に仕える)
・ 自己信頼と自己規律に厳しいこと (尋常ならざる苦悩体験を乗り切る)
2.GE(ゼネラル・エレクトリック社)が求めるリーダーの条件
・ リーダーとして明確なビジョンを持つ
・ 情熱を持ち、結果を出す
・ 部下をリーダーとして成育する
・ 常に変革する
・ スピードを持って業務に取り組む
・ チームワークを大切にする
・ 企業倫理を遵守する
・ 高い品質を追求する
3.J.コッターの「変革するリーダーシップ」
経営陣やマネジャーには、変革のために求められる共通の手順と2つの機能があります。
1)共通のステップ
・ 目的・目標を決める
・ 目的を達成するための人的組織を築く
・ 組織が目的を達成できるように手を打つ
2)変革を推し進める機能 ・・・ リーダーシップ能力
・ (長期的な)ビジョンを提示する
・ ビジョンを伝達し、メンバーを統合する
・ メンバーの動機付けを行う
3)効率的に組織を運営する機能 ・・・ マネジメント能力
・ (短期的な)計画や予算を立案する
・ 組織構造の設計、人員の配置、詳細なコミュニケーションを行う
・ 予算と実績の管理を行い、問題解決を図る
リーダーシップは、もともとは集団のリーダー個人が有する資質や能力と考えられていましたが、今では集団の持つ機能として研究されています。
4.三隅二不二の「PM理論」
集団は、目標達成の機能(P:Performance function)と集団維持の機能(M:Maintenance function)によって成り立っています。PM理論ではこの2つの機能の強弱によって、リーダーシップを4つの行動類型に分類しています。
1)PMタイプ
・ 生産性を求めつつ、集団の維持にも気を配る。リーダーの理想像。
2)Pタイプ(Pmタイプ)
・ 仕事に対しては厳しいが、グループをまとめるのは苦手。
3)Mタイプ(pMタイプ)
・ 仕事では甘い面もあるが、部下の面倒見はいい。
4)pmタイプ
・ 仕事に甘く、部下の面倒見も悪い。
業績向上の効果の高い順序は、長期的にはPM>M>P>pmとなり、短期的にはPM>P>M>pmとなります。また、職場のコミュニケーションや事故の低発生率を基準とした場合には、PM>M>P>pmの順序です。
5.ハーシー&ブランチャードの「SL理論」(Situational Leadership Model 「状況適応理論」)
リーダーは、部下の成熟度の状況に応じて、4つのリーダーシップ・スタイルを使い分けます。
1)部下の成熟度が低い(リーダーへの依存度が高い)とき
・ 指示的リーダーシップ(Telling)
「~しましょう。」 「~して下さい。」(指示命令)
2)成熟度が上昇したとき
・ 説得的リーダーシップ(Selling)
「~してはどうですか。」 「~するのもいいですよ。」(助言教導)
3)成熟度がより高まったとき
・ 相談的リーダーシップ(Perticipating)
「~どうするつもりですか。」 「じゃあ、そうしましょう。」(参画支援)
4)部下の自立が完了するとき
・ 委任的リーダーシップ(Delegating) (口出しせずに任せる)
6.W.W.バークの「チーム・シェア論」
1)「チーム」とは、
①小集団(10名以下で構成されスモール・グループ)であり、
②各メンバーが協働(コラボレート)して、
③何らかの課題(タスク)を課せられて、これを解くことを任務とし、
④その解決には必ず「いついつまで」という締め切り(デッドライン)がある。
2)成果を上げるための「チームワーク」の条件とは、
①目的(ゴール)、目標(ターゲット)を共有(シェア)し、
②段取り、役割分担、意志決定の課題解決へのプロセスを共有し、
③情報とコミュニケーションを共有し、
④やる気(インボルブメント)、全力投入(コミットメント)、情熱(パッション)を共有し、
⑤相互に支援(ミューチャル・サポート)し合うこと。
これらの論調と第5水準のリーダーシップとは、手順や組織に勢いを持たせるという点において、大きな違いがあります。
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いかがでしたか。
光陰矢のごとし、ビジョナリーカンパニーに刺激されて、偉大なる企業と、革新的な企業の経営理念を探求し始めてから2年が過ぎました。
セールスマンから社長になったトーマス・ワトソン・シニアによって、IBMという名前が付けられた企業が、個人を尊重し、世界で一番のサービスを提供し、最高のやり方を目指したことで、セールスマンが栄光の職業になっていく時代をつくり出しました。
2年前のテーマが昨日のように思い出されます。希望をもつというのは、不思議な心の作用です。個人を動かし、企業を動かし、時代を動かします。
第5水準のリーダシップの行動を学ぶことから、新年は良い年となって行くことでしょう。
すこし楽観的ですが。
皆様にとって良い年となりますように。
新年も間近になりました。
この一年はいかがでしたでしょうか。
さて、今年最後のテーマです。
凡庸な企業を偉大な企業へと変えるにはどうしたらいいのでしょうか?
この質問に答えるべく、J.C.コリンズは、偉大な企業への飛躍を遂げた企業群を研究して「ビジョナリーカンパニー2、飛躍の法則」を著しています。
この研究では、当初、すべてをリーダーの功績か、リーダーの責任で割り切ろうとする一般的な見方や、すべてをリーダーシップによるものとする考え方を、極力、避けることを心がけていました。
しかし、研究の成果は、偉大な企業に変える時期に共通して存在する最高水準のリーダシップの型の発見でした。J.C.コリンズは、これを「第5水準のリーダーシップ」と呼び、新しいリーダーシップの行動を学ぶことを提言しています。
偉大な企業への飛躍は、第5水準のリーダーからすべてが始まり、その成功要因は、弾み車のような会社の一貫性、組織全体に自社の考え方を浸透させる能力、それを可能にする官僚主義がない組織です。
飛躍するにおいて、適切な人材とは、自ら規律を守る人です。規律ある人材が、規律ある考えによって、規律ある行動を継続することで生まれる一貫性が、部分の合計よりもはるかに強力で、統合された勢いを生みだしています。
飛躍の法則は、普通または良好から、偉大への法則です。
ですから、最悪から普通への変化のように、急を要する場合にはもう少し異なるようにも思えます。しかし、良好から最悪にならないためにも、参考になる法則です。
それでは、良い組織を、偉大な業績を持続できる組織に変える、第5水準のリーダーシップを見てみることに致しましょう。
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<事実調査に基づく、「第5水準のリーダーシップ」とは?>
1)リーダシップの第5水準までの段階
・第1水準(有能な個人)
才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をします。
・第2水準(組織に寄与する個人)
組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力します。
・第3水準(有能な管理者)
人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に、効果的に追求します。
・第4水準(有能な経営者)
明確で説得力のあるビジョンへの支持とビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでよりも高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与えます。
・第5水準(第5水準の経営者)
第1から第4水準を満たし、個人としての謙虚さと職業人としての強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げます。
2)第5水準のリーダーの二面性
①個人としての謙虚さ
・おどろくほど謙虚で、世間の追従を避けようとし、決して自慢しません。
・野心は自分個人にではなく企業に向け、次の世代に一層の成功を収められるように後継者を選びます。
・鏡ではなく窓をみて、他の人たち、外部要因、幸運が会社の成功をもたらした要因だと考えます。
・静かな決意を秘めて行動し、魅力的なカリスマ性によってではなく、高い基準によって組織を活気づかせます。
②職業人としての意志の強さ
・素晴らしい実績を生み出し、偉大な企業への飛躍をもたらします。
・どれほど困難であっても、長期にわたって最高の実績を生み出すために必要なことはすべて行う固い意志を示します。
・偉大さが永続する企業を築くために基準を設定し、基準を満たせなければ決して満足しません。
・結果が悪かったとき、窓の外ではなく、鏡をみて責任は自分にあると考え、他人や外部要因や運の悪さのためだとは考えません。
<第5水準のリーダーシップは習得できるでしょうか?>
1)第5水準の芽を持っていない人
常に何よりも仕事で得られる名声や財産や追従や権力など私利私欲に関心があり、仕事によって築き上げ、創造し、貢献できるものに関心をもっていない人は、第5水準の芽を持っていません。
2)第5水準の芽を持っている人
自分を見つめる機会、意識的な努力、指導者、偉大な教師、愛情豊かな両親、世界観が変わるような体験、第5水準の上司などの条件があれば、その能力が開花する人は、第5水準の芽を持っており、そういう人たちは多いのではないでしょうか。
3)第5水準のリーダーの行動を学ぶことで本物に近づくことが出来る
①まず、自ら規律を守る人たちを集め、
②この人たちが徹底的に考えて、「針鼠(はりねずみ)の概念」に基づいて
③設計された一貫したシステムを創りだし、
④その枠組みの中で規律ある行動をとり、
⑤枠組みの中の自由と規律という文化を築くことで、
⑥飛躍した企業を作り上げます。
<針鼠の概念とは?>
1)飛躍した企業の戦略策定の基礎となる三つの円
①自社が世界一になれる部分はどこか。 (同様に、世界一になれない部分はどこか)
②経済的原動力になるものは何か。 (財務実績に最大の影響を与える分母はどこか)
③情熱をもって取り組めるものは何か。 (如何に情熱を刺激できるかではなく、どのような事業に情熱をもっているか、という問題)
2)針鼠の概念という単純明快な戦略
①戦略策定の基礎となる三つの円の重なる部分に関する理解を深め、最高になれる部分はどこかについての理解から針鼠の概念が得られます。
②三つの円の重なる部分の基準に外れるものを組織的に取り除く規律を持ちます。
③どこにも負けない事業になりうる部分だけに注力することが、偉大なる企業への唯一の道です。
3)ビジョナリカンパニーの概念と針鼠の概念
①時を告げるのではなく、時計をつくる /
規律を守る人たちを集め、正しい決定を積み重ねていく評議会の仕組みを作ります。
②ANDの才能 /
自由と責任。個人としての謙虚さと、職業人としての意志の強さ。深い理解と、信じがたいほどの単純さ。段階的過程と革命的結果。維持と変化。
③基本理念 /
三つの円の一つ「情熱をもって取り組めるもの」は、基本的価値観と目的(単なる金儲けを超えた企業の存在理由)に重なります。
④基本理念を維持し、進歩を促す /
社運をかけた大胆な目標は、虚勢からは悪いものが、理解からは良いものが設定されます。偉大な目標は三つの円の重なる部分に収まり、この部分に直接関連する技術の先駆的な応用が進歩を促します。
<企業が正しい選択・決定を積み重ねていくには?>
①第5水準の指導者がいて、
②適切な人をバスに乗せ、
③厳しい現実を直視する規律を持ち、
④真実に耳を傾ける社風を作り、
⑤評議会を作って三つの円が重なる部分で活動し、
⑥すべての決定を単純明快な針鼠の概念にしたがってくだし、
⑦虚勢ではなく現実の理解に基づいて行動します。
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<一般的なリーダーシップ論>
リーダーは、そのビジョンと人柄によって尊敬を集められる人物が理想です。
予算や組織図、費用や法律遵守、その他のこまごまとした事柄に大半の時間を費やしているとしたら、管理者といえますが、リーダーとはいえません。
1.ビジネス・リーダーの仕事
・ 意味を創造すること (意味とは使命、価値、やり甲斐、喜び)
・ 見えないものを観ること (見えないものとは夢、ビジョン、機会)
・ 人に希望を与えること (夢へのアプローチを示し人に仕える)
・ 自己信頼と自己規律に厳しいこと (尋常ならざる苦悩体験を乗り切る)
2.GE(ゼネラル・エレクトリック社)が求めるリーダーの条件
・ リーダーとして明確なビジョンを持つ
・ 情熱を持ち、結果を出す
・ 部下をリーダーとして成育する
・ 常に変革する
・ スピードを持って業務に取り組む
・ チームワークを大切にする
・ 企業倫理を遵守する
・ 高い品質を追求する
3.J.コッターの「変革するリーダーシップ」
経営陣やマネジャーには、変革のために求められる共通の手順と2つの機能があります。
1)共通のステップ
・ 目的・目標を決める
・ 目的を達成するための人的組織を築く
・ 組織が目的を達成できるように手を打つ
2)変革を推し進める機能 ・・・ リーダーシップ能力
・ (長期的な)ビジョンを提示する
・ ビジョンを伝達し、メンバーを統合する
・ メンバーの動機付けを行う
3)効率的に組織を運営する機能 ・・・ マネジメント能力
・ (短期的な)計画や予算を立案する
・ 組織構造の設計、人員の配置、詳細なコミュニケーションを行う
・ 予算と実績の管理を行い、問題解決を図る
リーダーシップは、もともとは集団のリーダー個人が有する資質や能力と考えられていましたが、今では集団の持つ機能として研究されています。
4.三隅二不二の「PM理論」
集団は、目標達成の機能(P:Performance function)と集団維持の機能(M:Maintenance function)によって成り立っています。PM理論ではこの2つの機能の強弱によって、リーダーシップを4つの行動類型に分類しています。
1)PMタイプ
・ 生産性を求めつつ、集団の維持にも気を配る。リーダーの理想像。
2)Pタイプ(Pmタイプ)
・ 仕事に対しては厳しいが、グループをまとめるのは苦手。
3)Mタイプ(pMタイプ)
・ 仕事では甘い面もあるが、部下の面倒見はいい。
4)pmタイプ
・ 仕事に甘く、部下の面倒見も悪い。
業績向上の効果の高い順序は、長期的にはPM>M>P>pmとなり、短期的にはPM>P>M>pmとなります。また、職場のコミュニケーションや事故の低発生率を基準とした場合には、PM>M>P>pmの順序です。
5.ハーシー&ブランチャードの「SL理論」(Situational Leadership Model 「状況適応理論」)
リーダーは、部下の成熟度の状況に応じて、4つのリーダーシップ・スタイルを使い分けます。
1)部下の成熟度が低い(リーダーへの依存度が高い)とき
・ 指示的リーダーシップ(Telling)
「~しましょう。」 「~して下さい。」(指示命令)
2)成熟度が上昇したとき
・ 説得的リーダーシップ(Selling)
「~してはどうですか。」 「~するのもいいですよ。」(助言教導)
3)成熟度がより高まったとき
・ 相談的リーダーシップ(Perticipating)
「~どうするつもりですか。」 「じゃあ、そうしましょう。」(参画支援)
4)部下の自立が完了するとき
・ 委任的リーダーシップ(Delegating) (口出しせずに任せる)
6.W.W.バークの「チーム・シェア論」
1)「チーム」とは、
①小集団(10名以下で構成されスモール・グループ)であり、
②各メンバーが協働(コラボレート)して、
③何らかの課題(タスク)を課せられて、これを解くことを任務とし、
④その解決には必ず「いついつまで」という締め切り(デッドライン)がある。
2)成果を上げるための「チームワーク」の条件とは、
①目的(ゴール)、目標(ターゲット)を共有(シェア)し、
②段取り、役割分担、意志決定の課題解決へのプロセスを共有し、
③情報とコミュニケーションを共有し、
④やる気(インボルブメント)、全力投入(コミットメント)、情熱(パッション)を共有し、
⑤相互に支援(ミューチャル・サポート)し合うこと。
これらの論調と第5水準のリーダーシップとは、手順や組織に勢いを持たせるという点において、大きな違いがあります。
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いかがでしたか。
光陰矢のごとし、ビジョナリーカンパニーに刺激されて、偉大なる企業と、革新的な企業の経営理念を探求し始めてから2年が過ぎました。
セールスマンから社長になったトーマス・ワトソン・シニアによって、IBMという名前が付けられた企業が、個人を尊重し、世界で一番のサービスを提供し、最高のやり方を目指したことで、セールスマンが栄光の職業になっていく時代をつくり出しました。
2年前のテーマが昨日のように思い出されます。希望をもつというのは、不思議な心の作用です。個人を動かし、企業を動かし、時代を動かします。
第5水準のリーダシップの行動を学ぶことから、新年は良い年となって行くことでしょう。
すこし楽観的ですが。
皆様にとって良い年となりますように。