耳を洗う

世俗の汚れたことを聞いた耳を洗い清める。~『史記索隠』

死んでいなかった“労働組合”~嬉しいニュースに涙

2008-02-23 11:26:44 | Weblog
 自分の体験から、わが国主要労働組合は「死んだ」とばかり思っていたが、素晴らしい労働組合が存在することを教えられた。

 高砂香料工業労働組合平塚工場支部。職場で発行している組合機関紙(日刊:週5日発行)が、1969年1月21日創刊以来1万号に達したというのだ。しかも毎朝、出勤時に手渡しで配布されているらしい。私自身も「ガリ版刷り」時代を含め相当期間、組合の機関紙・誌の編集・発行を担当した経験があるが、日刊で、しかも素晴らしい編集方針のもと継続され、これが運動の支えとなっていることを考えると、関係者の努力・気力に驚嘆するばかりである。

 「正社員クラブ」と揶揄されているわが国最大の労働組合組織「連合」に関してはたびたび苦言を呈してきたが、「死んだ」組合ばかりが目に付いて、「管理職ユニオン」をはじめ「派遣」「パート」など個人加盟の労働組合が頑張っているニュースにわずかな救いを感じていた。そこに、資本金90億円余、年間売り上げ600億円超の東証一部上場会社の労働組合で、肝の据わった運動を続ける人たちがいたと聞いて、まさに青天の霹靂だったわけだ。

 高砂香料工業労働組合がどんな組合か知りたいと思い関連サイトを探したら、手がかりとなる記事が一つだけあった。およそ10年前になるが、1999年11月30日、『労働者派遣法』が12月1日に改定施行されることに抗議して開催された「『新』派遣法がやってくる!施行前夜の集い 派遣労働サミットシンポジューム」で、同労組の立花委員長がこう発言している。

 <18年前、会社の受付に派遣で働きながら突然契約を打ち切られた小川さんのことを派遣の人と知らず、解雇も知らなかった。同じ職場にいて恥ずかしかった。そこでわれわれも解雇撤回を求めて会社に要求している。小川さん一人の問題ではなく、派遣労働者全体の問題として闘っている。われわれも同じ職場の人間が首になったのを放っておいては、労組としても同僚としてもなんなのかと問われる。>

 「他人の痛みを知る」人間の言葉は尊い。およそ半世紀前、4年半を「臨時工」として過ごした造船所の職場を想い起こす。本工(正社員)のおよそ半分を占める1000人余で『臨時工労働組合』をつくって闘ったが、高度成長期でもあったため本工労働組合の後押しも得られ、組合結成後5年にして「臨時工制度」は撤廃された。だが、あの当時でさえ、本工と臨時工との確執は尋常ではなかったのだ。「労使運命共同体」化したこんにちの労働組合下において、立花委員長のように語れる指導者をもった組合員は幸せである。同時に、派遣労働、パートなどの非正規雇用労働者たちにどれほどの励みになるか計り知れない。

 日刊職場新聞『雑草』の記事を教えてくれたジャーナリスト岩垂弘氏に感謝し、一人でも多くの人に知ってほしいとの願いからその記事をここにリンクさせて頂くことにした。ご了承下さい。

 「リベラル21」:http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-256.html


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