函館港イルミナシオン映画祭 会期中広報「イルプレ」

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松田美由紀さん&御法川監督 大胆にコラボ!

2004年12月08日 | 2004
御法川修監督が2本のフィルムを持って函館に乗り込んできました。もはや伝説と化している松田優作という人物を、永瀬正敏、寺島進、太田光のフィルターを通して映し出すトリビュートフィルム。なぜ今、松田優作なのか。この世を去って16年になる今も、若者たちは松田優作という男をなぜ追い求めるのか。その一端が見えた気がした一作。
永瀬正敏さんの言葉と言葉の隙間から立ち上る紫煙。友達にでも話すかのような語り口で、けれど時折鋭い眼光で圧倒的な存在感を与える寺島進さんのザラリとした空気、そして「え、この人が松田優作さんとどんなかかわりが?」な太田光さんの横顔。時折差し込まれるそれぞれのアップ。モノクロの世界に松田優作が浮かび上がる。彼らの言葉のなかに存在する松田優作。誰にも何処にも帰属しない松田優作が、それぞれの形で甦る。

もう一作は松田美由紀さん主演の『世界はときどき美しい』。40代を目前にしたヌードモデルが、何気ない日常をさまよいながら手を伸ばした先の美しい緑。松田美由紀さんの凛とした演技が印象的。詩が挿し込まれた写真集をめくっているような感覚。言葉が沁みる。私も幼い頃、鏡を見て泣いたことがあったっけ…などと記憶の波にゆらゆらと漂いつつ映像の雰囲気に飲み込まていく。

上映終了後、御法川修監督と松田美由紀さんにインタビュー。

---どんな経緯で作られた作品なのですか?>松田優作トリビュート

松田…松田優作13回忌の展覧会の展示映像として製作されたものです。松田優作を語るためではなく、懐古することでもなく、現在進行形の松田優作を知ってもらうためです。

---優作さんを直接は知らない監督を起用した理由は?

松田…俳優の伝記よりも、1人の人間がどんなことを変えたか、そういうことを描きたかった。そのためには同世代の監督ではなく、優作を全く知らない世代で、客観的に捉えられる方が必要だと思ったからです。優作が亡くなって16年。彼を知らない若い世代の方々がいまもなお優作を求めてくれている。監督がどう触れるのか見てみたかったのです。

---『世界はときどき~』のことを聞かせてください。

御法川…僕は『エレファントソング』という映画の助監督をやっていて、そこでの松田さんを見て凄い人だと思い、それで美由紀さんと仕事がしたいと思うようになりました。世の中ではよく若くて無垢なものが美しいといわれますけど、この作品では熟成した感情を盛り込みたいと思いました。映画やテレビでは見せない松田さんの表情を撮りたいと。

---『パコダテ人』とは全く別のキャラクターですね。

松田…私はばあちゃんの役でも、10歳の子役でも、演れと言われれば何でもやります。自分を出すのが役者ではなくて、幅広いものを演じるのが俳優だと思っています。人間の感情や機微を真面目に演じていければ嬉しいと思います。監督が求めてくれたものを理解して演じられたら本望だと思っています。

---最後に一言。

御法川…短編は気の利いたオチがあるもの…というような感じがありますが、もっといろんな可能性があると思います。来年は長編を撮りたいと思っています。そしてまたこの映画祭で上映してくれると嬉しいと思います。今日はありがとうございました。

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こちらこそありがとうございました!
松田さんは背筋がピンと伸び、黒を身に纏っていらっしゃいましたが、まるでカラーの花のようなすっとした印象がありました。人の目を真っ直ぐにみてお話されていて、体の芯の部分に熱いものをお持ちの方なんだろうなぁと思わずにはいられませんでした。両作品とも映像が繊細でそれでいて力強く、こういう世界を描いた御法川監督にすっかり心酔。私の脳内メモリには、今くっきりとこう刻み込まれているのです。

御法川監督恐るべし。いま一番注目したい新鋭監督。>握り拳。(み)

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