ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

『提報者』に見る報道人の正義

2016年07月01日 | 映画・芸能

2005年韓国で実際に起きたES細胞捏造事件を映画化したドラマです。
DVDで2回観ました。とても傑作です。

盲信した国民多数の恐ろしさ

「国益か真実か・・」簡単に択一するのはむずかしい。しかし選ぶなら真実でしょう。「真実を明らかにしてこそ国益だ」とドラマでも制作局長が言う。しかしすでに誰もが敬意を払っている巨大な権威を相手に、その真偽を問いただす事は容易ではありません。報道機関に勤める者としては辞職を覚悟して向かわなければならないほどハードルが高い。すでに不実を盲信している国民を敵に回すことにもなる。

真相を放送で流すかどうかテレビ局の社長も悩む。主人公は捨て身で、車で帰宅する寸前の社長に直訴する。感動的なシーンでした。報道人の意地と誇りを知る思いです。
「放送の主人は国民である。公平性、正確性、客観性をもって真実だけを伝える放送の自由を死守して社会貢献したい!」


参考取材で、肝細胞医学の最高権威の先生が語る言葉も重い。
「国民をあおるマスコミ、精査せず血税をつぎ込む政府も問題だ。また(捏造疑惑の)博士のおこぼれを待つ学者たちも情けない」

この構造は、わが国で起きたSTAP細胞事件にも共通したものを感じませんか。研究機関、マスコミ、巨額な予算・・

提報者(告発者)の意志を継承

理研を舞台にした日本のSTAP細胞事件(2014年)、米国ベル研究所のシェーン事件(2002年)、そして韓国の黄禹錫博士によるES細胞事件(2004年)は、科学をめぐる「世界3大捏造事件」といわれ後世に語り継がれていきそうだとも。(『捏造の科学者』(須田桃子著:参照)

国家の威信を考えれば事件そのものを隠蔽したくなるような不祥事を、勇気ある告発者(提報者)の行動を受け報道機関の正義の力で真実を明るみにし、映画化まで仕上げた韓国。その自浄作用、国家の成長は見事だと思いました。

 

提報者~ES細胞捏造事件~ [DVD]
パク・へイル主演 (2015年)
TCエンタテインメント

 

『提報者~ES細胞捏造事件~』予告編

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