原発事故後、いち早く被災者を受け入れた片品村。そして今度は震災で発生したがれきを北毛(ほくもう=群馬北部)の3町村(中之条町、東吾妻町、高山村)は受け入れを表明しました。「お手伝いは人の道」と、義理人情に厚い上州人らしい善意です。
全国では昨年4月当初、572自治体が震災がれきの受け入れに手を挙げましたが、放射性物質の懸念から昨年末54自治体に激減。前橋市もその一つ。
政府は、震災がれきの全国広域処理を進めていますが、現状ではそれは汚染の拡散につながってしまいます。東京電力に言わせると、放射性物質は所有者のいない「無主物」という主張ですがとんでもない暴論です。放射性物質はれっきとした東京電力の原子力発電所から吹き散らされたもので原発事故がなければ発生しなかったもの。無主物どころか明らかに東電の「所有物」です。東電に返却するのが筋です。
放射性物質の管理は万年単位
放射性物質は一元管理しなければ危険が抑えられません。フィンランドでは「100,000年後」の安全を考え最終処分場「オンカロ」を建設し代々にわたって監視をつづける態勢をとっています。
全国各地に分散しては、きちっとした対応がこれから先、何十年、何百年と個々の自治体で万全な管理ができるでしょうか。もうすでに伊勢崎市の処分場の放流水から2011年7月、8月、9月に国の基準値以上の放射性セシウムが検出されているような状態です。核種はセシウム以外でないことも知っておかなければ・・。
北毛3町村の「痛みを互いに共有」し受け入れようとする気持ちは温かいものです。しかし放射性物質に限っては、その厚情では処理しきれないものであることを3町村は認識しなければなりません。
【写真】除染作業(時事通信)
参考動画 小出裕章氏と班目春樹氏