伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

5つのGX実行会議関係で出した自分のパブコメ部分

2023-02-20 11:42:05 | ん!ピークオイル時代を語ろう

・年末年始にかけて4つのパブリック・コメントが集中して行われたことは不当です。

2012年の原発政策変更の際と同様に、1年程度の期間は掛けて各種の意見を調整する仕組みを用いるべきです。今回のパブコメはご破算にするべきです。

 

 特に今回は気候危機に対して、COP27において国際的なNDCの深掘りが各国から求められている重大な時期でした。その中身深掘りの必要性についての議論なしで、一昨年の決定をそのままにして、路線を確定させることは人類に対する犯罪ともいうべきものであって、日本政府の目標の見直しをこれからでもするべきです。

 

というのも、日本政府は1.5℃目標と整合性があるのが現在の日本のNDCであるかのように主張していますが、先進国の経済的な均衡性に基づく横並びで、全体として1.5℃目標は達成不可能であるとされている中で、しかも先進国中では90年比で日本は40%程度削減と一番緩い目標であるからです。

基本方針がNDCの深掘りに基づいたものにならない以上、砂上の楼閣であり、気候危機の深化とともに、反古になってしまうでしょう、いまこれを作ることは意味がありません。

 

 

・ピークオイル問題について、一顧だにされていない計画は無意味です。作り直してください。

 2005年から2008年にかけて、価格高騰にもかかわらず在来原油の生産量がピークアウトする現象、ピークオイル問題が世間を多いに賑わしました。

IEAも後に在来原油のピークアウトしたことを認めて、北米のいわゆる「シェール革命」によるシェールオイル産出が爆発的に増加したことがこの危機の救世主となりましたが、一方、今回のウクライナ侵略によるG7各国のロシア産の石油からの離脱に際して、取引価格は高騰したのに米国のシェールオイル産出増加が1年ほど出来なかったことから、第二のピークオイル危機(第一のピークオイル危機は2008年のリーマンショックにつながって需要崩壊をもたらしたという考えに基づいています)に入りつつあるのではないか、と想定する必要があります。欧米での主要紙の論調を2005年頃と同様にきちんとチェックしていないのではないでしょうか。

 

 

・その電力網の中で石炭火力の延命を図るための小細工であるアンモニア混焼とか、LNGガス火力の調節力に期待するなどの項目ではGXの対策全体が大きく現実と乖離したものになるでしょう。結局、石油のみではなく化石燃料全般の高騰が、今後の世界の基調となることを大前提とすべきです。

 出力調整の効かない原発はそれが難しい石炭火力と同様に早期退役させる必要があります、それによって初めて、再生可能エネルギーの主力化が進められます。この関係性について何も記述がありません。変動する再生可能エネルギーを如何に出力抑制させずに活用するのか、ここのいわゆるフレキシビリティを確保するための知恵なしでは国際競争力の上でも負けてしまう電力価格高騰を招くことは必定です。

その重大なフレキシビリティ確保について語る専門家が一人も委員には入っていないのではないでしょうか。

 

・国際的な産業戦略としても、この化石燃料の高騰基調の中で、将来の産業界の競争相手である、途上国の産業界に、日本と同じ化石燃料のインフラ輸出をするのは、自分で自分の首を締める行為です。同じレシピをみんなに配れば同じ問題点(化石燃料の価格高騰)で苦しむ産業界が増えるだけです。国内の産業界向けのエネルギー・インフラと海外向けの国際援助の項目は厳密に国家戦略として対立を産まないことを最優先して決めるべきです。

 

 

・次世代革新炉について

国際的に必要とされている2030年CO2半減という目標達成には、役に立たずお金の無駄であるので削除するべき。

原発の新増設にかける金と時間があるなら、その金と時間を太陽光風力の増加と、蓄電池の大量設置、EVの推進による調整力の整備に当てるべきである。再生可能エネルギーの主力化はすでに定まったことであり、それらの方向に更にカジを切るべきである。

小規模なSMRを多数建設することが、この調整力に寄与するかのように考える向きもあるが、そのような多数の建設は立地自治体の受容的にも、反対派の数の多さからしても非現実的である。そして時間もない。

かつてはあったのかもしれないが、そして福島原発事故という失敗を引き起こしたが、原発の新規建設に使える人的資本はない、というのが今の日本の産業界の実態である。

 

 

・カーボンプライシングについて

「成長に資する」というまえがきを削除するべき。

 成長がどうかという以前に、気候災害の多発が将来的に爆発的に増え続ける中で、どんな経済成長をしても災害の多発とそれによる人命や自然環境の荒廃、食糧危機などは補償できない、という事実を考えるべきでり、大胆な化石燃料インフラの閉鎖プランを大前提として近い未来のエネルギー・インフラを再構築し直すことが求められている。

 

・この中で、炭素税は、化石燃料価格の高騰する短期だけではなく、それが仮に下がり始めた時期にも、浪費的な消費を抑制することができるよう、化石燃料価格を高騰させ続けるためのメカニズムとして早期に導入を図るべき。

化石燃料価格が高騰している現在は、むしろ炭素税を産油国産炭国に払い続けているようなものであり、できる限り早期に炭素税として国庫収入に取ることで、海外への資金流出をなるべく早期に減らしていくことを政策の優先課題とするべきである。

 

・国内排出量取引については、仕組みの実現の難しさから、本来は京都議定書の約束期間内にも実施すべきであった仕組みであり、すでに時期を逸している。リオの地球サミットからの30年間、あればいい、と言われ続けてきた仕組みなので、現在から始めたのでは対策が効果を発揮するまでにすでに遅すぎる。

 

 

・そもそも、2017年には、長期目標として策定したものを、その後5年で見直し、さらに5年毎に見直し続ける、という必然性がない。2017年からなんの契機が変わったのか?2027年に見直しでも良いのが前回の方針であったのではないか。次回見直しは2027年でも良かったのが前回の方針であったのではないか。原子力委員会の独立性にも関わる論点なので説明を求めたい。

 

・G7各国は、協調して、ウクライナ侵略を起こしたロシアから、ロシア産の化石燃料の導入を可能な限り止める、あるいは価格キャップを通じて資源の購入が戦争継続のための資金源とさせないようにという活動を行っている。

そこで、原子力の燃料となるウランに関してもロシア産のものの取扱い規制を想定した国際協調に基づく対応を行うべきであることを前提として記述するべき。

 

・また、一方のロシア問題は入っているのに、特に台湾海峡を巡っての米中(そして米国と同盟関係にある日本)の対立構造の深化、激化、戦争準備という問題は、日本自体を取り巻く外交上、安全保障上の緊張関係であり、原子力の利用が国内で安全に行えるかどうかに関わる非常に重要な問題であるにもかかわらず、この中に環境変化として描かれていないことは重大な欠陥である。この問題抜きに、5年間の環境変化を上げることがおかしいくらい、重要な論点であるため一節を分けてでも、日本周辺の安全保障環境の変化として、取り上げるべきであろう。

 

 

・福島原発事故の実態を隠蔽することを止めて、原発推進政策を中止するべきです。

子どもの甲状腺がんの多発を原発事故のせいではない、とする強弁は、国際的な不審の念を受けている問題です。

せっかく海洋への流失を止めるために貯留しているアルプス処理水をわざわざ工事を行って海洋投棄する、という誤った対応は、そして中間処理施設で保管すべき汚染土を、わざわざ県外へ搬出し、試験的に埋め捨てるという事業も事故時の日本政府の「信用」を毀損している問題です。

こういう問題に頬かむりして、原発事故の責任は政府にはない、という最高裁判決を裁判官に書かせたり、電力会社の対応の不備を刑事事件で問わないという高裁判決も、日本の三権分立の建前を破壊する行為であると言えます。

 福島原発事故の対処がおかしいのは、原発推進に偏った論理構成に基づいて、原発推進の障害にならないように事故対処を行っているからであろう、という問題点を指摘するべきです。

特に「トリチウム未処理水」と呼ぶべきアルプス処理水の海洋放出になぜこだわっているのか、それはこのトリチウム未処理水を溜め込まなければならないのであれば、六ケ所村の再処理工場の操業開始に支障を来すからでしょう。被災地福島県民の広範な反対にもかかわらず、風評被害のみしか害がない、と強弁して海洋放出を強行しようとする、その風評被害をわざわざ引き起こそうとしている現状の動機となっています。このような態度は、福島原発事故の反省云々の本提言書の全体を綺麗事として無力化してしまう大問題です。このような欺瞞的態度を取ることは許されません。

 よって六ケ所村再処理工場は操業開始できないことを想定して、未処理の大半の使用済み燃料を各電力会社に返却し、長期間の陸上保管ないし、将来の全力直接処分を見越した政策体系に変えるとともに、プルサーマル推進の計画を撤回するべきです。

 

・そして、一つの産業分野のみに偏る経済産業省は福島原発事故の責任を取って一旦解体、再編すべきです。このことを提唱する責任が独立機関である原子力委員会にはあります。17年の項目に入っておらず提言を見直すのなら、政府機関の原発推進に偏った構成を変えるべきである、ということです。

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以下は重複分ですが、まとめて5つめのパブコメに出した部分です。

・2012年の原発政策変更の際と同様に、1年程度の期間は掛けて各種の意見を調整する仕組みを用いるべきです。今回のパブコメはご破算にするべきです。

 

 特に今回は気候危機に対して、COP27において国際的なNDCの深掘りが各国から求められている重大な時期でした。その中身深掘りの必要性についての議論なしで、一昨年の決定をそのままにして、路線を確定させることは人類に対する犯罪ともいうべきものであって、日本政府の目標の見直しをこれからでもするべきです。

 

というのも、日本政府は1.5℃目標と整合性があるのが現在の日本のNDCであるかのように主張していますが、先進国の経済的な均衡性に基づく横並びで、全体として1.5℃目標は達成不可能であるとされている中で、しかも先進国中では90年比で日本は40%程度削減と一番緩い目標であるからです。

基本方針がNDCの深掘りに基づいたものにならない以上、砂上の楼閣であり、気候危機の深化とともに、反古になってしまうでしょう、いまこれを作ることは意味がありません。

 

・また、ピークオイル問題について、一顧だにされていない計画は無意味です。作り直してください。この問題意識は2010年頃にはエネルギー白書の中にも記述されていました、2030年頃を前提とする計画では考慮すべき事項です。

 2005年から2008年にかけて、価格高騰にもかかわらず在来原油の生産量がピークアウトする現象、ピークオイル問題が世間を多いに賑わしました。

IEAも後に在来原油のピークアウトしたことを認めて、北米のいわゆる「シェール革命」によるシェールオイル産出が爆発的に増加したことがこの危機の救世主となりましたが、一方、今回のウクライナ侵略によるG7各国のロシア産の石油からの離脱に際して、取引価格は高騰したのに米国のシェールオイル産出増加が1年ほど出来なかったことから、第二のピークオイル危機(第一のピークオイル危機は2008年のリーマンショックにつながって需要崩壊をもたらしたという考えに基づいています)に入りつつあるのではないか、と想定する必要があります。欧米での主要紙の論調を2005年頃と同様にきちんとチェックしていないのではないでしょうか。

 

・電力網の中で石炭火力の延命を図るための小細工であるアンモニア混焼とか、LNGガス火力の調節力に期待するなどの項目ではGXの対策全体が大きく現実と乖離したものになるでしょう。結局、石油のみではなく化石燃料全般の高騰が、今後の世界の基調となることを大前提とすべきです。

 

 また、出力調整の効かない原発はそれが難しい石炭火力と同様に早期退役させる必要があります、それによって初めて、再生可能エネルギーの主力化が進められます。この関係性について何も記述がありません。変動する再生可能エネルギーを如何に出力抑制させずに活用するのか、ここのいわゆるフレキシビリティを確保するための知恵を発揮することなしでは国際競争力の上でも負けてしまう電力価格高騰を招くことは必定です。今回の取りまとめではその重要課題について、海外の専門家からの見識を伝えることもなく、具体化されていないものと言わざるを得ません。

系統連系線の拡充対策、長期季節的な変動を吸収するためのCO2バッテリーや鉄空気バッテリー、熱の形での貯蔵の仕組み、様々な要素技術を積み重ねて、推進のための青写真を作ることがこの委員会では求められているものではないでしょうか。

 

・気候災害の多発が将来的に爆発的に増え続ける中で、どんな経済成長をしても災害の多発とそれによる人命や自然環境の荒廃、食糧危機などは補償できない、という事実を考えるべきでり、大胆な化石燃料インフラの閉鎖プランを大前提として近い未来のエネルギー・インフラを再構築し直すことが求められている。この対応を不可能にするのが、容量市場という、過去のインフラを長期間保有させるインセンティブ制度です。容量市場の考え方は破棄すべきで、代替策としてフレキシビリティ確保の総合的な施策を作るべきです。

 

・カーポンプライシングの中で、炭素税は、化石燃料価格の高騰する短期だけではなく、それが仮に下がり始めた時期にも、浪費的な消費を抑制することができるよう、化石燃料価格を高騰させ続けるためのメカニズムとして早期に導入を図るべき。

化石燃料価格が高騰している現在は、むしろ炭素税を産油国産炭国に払い続けているようなものであり、できる限り早期に炭素税として国庫収入に取ることで、海外への資金流出をなるべく早期に減らしていくことを政策の優先課題とするべきである。

 

・国際的な産業戦略としても、この化石燃料の高騰基調の中で、将来の産業界の競争相手である、途上国の産業界に、日本と同じ化石燃料のインフラ輸出をするのは、自分で自分の首を締める行為です。同じレシピをみんなに配れば同じ問題点(化石燃料の価格高騰)で苦しむ産業界が増えるだけです。国内の産業界向けのエネルギー・インフラと海外向けの国際援助の項目は厳密に国家戦略として対立を産まないことを最優先して決めるべきです。



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