つきなみな備忘録

個人的な備忘録です

『みかづき』を読んだ

2017-07-20 22:41:23 | 

昭和36年、千葉県習志野市の小学校の用務員の大島吾郎は、勉強ができない子供たちのめんどうを、仕事の傍ら見てあげていた。その評判を耳にして赤坂千明というシングルマザーが塾の経営を持ち掛けてきた。

昭和40年代は、塾に対する世間のお風当たりも強かったが、二人の情熱で塾は成長する。しかし、昭和50年代に、進学塾に転換しようとする千明は、勉強ができない子供たちを補佐するべきと主張する吾郎を塾長から追い出す。吾郎は世界を放浪する。

母親に対して反発して公教育に携わる、連れ子の蕗子。その長男の一郎。

母親譲りの気の強さでいったんは塾の経営にかかわるが、やがて自分には合わないと気づき、花屋、そして高齢者向けの宅配お弁当屋に携わる二女の蘭。

そして三女の菜々美。

この、塾にかかわっての、大島家3代にわたる人間模様が主題。

タイトルの「みかづき」は、「満月」=「完璧な幸福」を目指して奮闘するあり方の象徴。

 

森絵都『みかづき』(集英社 2016.9)