静大では『生徒指導』や『教育相談』といった教員養成課程の授業も担当しています。
今日は『生徒指導』の授業の中で『性の多様性と学校教育』というテーマの授業を行いました。
授業者は静岡大学道徳教育研究会として,道徳の授業づくりに取り組んでいる学生さんたちです。
今年の4月に文部科学省が『性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について』という通知を出しました。多様な性を持つ児童生徒が身近にいることを認識し,それぞれの性のあり様に沿って学校生活を支援しよう,という趣旨の通知です。
実際に“性的マイノリティ”として生きてきた人たちの話を聞くと,学校の様々な場面で苦しい思いや悲しい思いをしてきたという話を聞きます。「男」と「女」という2つの性によって作られた学校という社会において,多様な性を持つ人たちが生活することは,いろいろな難しさに直面することなのだということを教わりました。
そんな中,教員になっていく学生たちが性の多様さについて考え,教員として何ができるのかを考えてくれることはとても大切なことだと思います。
今日の授業の中で「あなたの目の前に,多様な性を持った生徒がいて,あなたに相談してきたらどうしますか?」という問いかけをしたとき,ある学生たちはロールプレイを始めました。ゲイの子どもの役とその子の相談にのる先生の役を決めてやり取りをしています。しばらく会話が続いた後,「わぁ,難しい。無理や!」という声。周りで一緒に見ていた学生たちも,「ムズイ」と同調していました。
「そうだよね。難しいよね」「でも,あり得るよね」
答えが出るようなことではないけれど,自分たちが教員になった時に直面するかもしれないこと,と身近に思ってくれるようになったことは大きなことだと思いました。
性の多様さについて授業者が説明してくれているとき,「からだの性」「こころの性」「好きになる性」と多様さが広がっていくのを知ったとき,「訳わからん」とつぶやいていた学生もいました。素直な気持ちだと思います。1つ1つの性を区別して考えることがいかに意味がないことかを感じたようでした。
今回の取り組みでは性の多様さを知ってもらうということも大切ですが,そもそも人って多様だよねということを知ってもらうきっかけを作るということも大切だと思います。
授業づくりに取り組んでくれた学生たちはここ数日大変だったと思います。お疲れさまでした。
また,彼らの授業を興味を持って聞いてくれた学生の皆さんにも感謝です。ゆっくり感想を読ませてもらおうと思います。
⇒静岡大学道徳教育研究会