政府が進めている年金一元化に関する動きのご報告です。このたび方針が示された事項は、厚生・共済両年金の一元化に向けて、両者の保険料率を段階的に引き上げ、最終的には18・3%にそろえるというものである。現在までのところ、企業年金部分を除く厚生年金の保険料率は、2017年度まで段階的に引き上げ、18・3%で固定し、国家・地方公務員の共済は20年度までに16・5~16・8%、私学共済は27年度までに16・2~16・6%にそれぞれ引き上げることとなっている。その先の目標を定めたということである。こうすることで、負担率の官民格差を解消する。結果として、共済年金は厚生年金に統合されるということである。具体的な日程に関しては4月に閣議決定する予定である。
政府が行おうとしている「年金一元化」は今回示された方針の通り、いわゆる二階部分の一元化である。一階部分に相当する基礎年金に関しては、消費税を福祉目的化するなどの案もあるが、明確に決まったわけではない。まずは国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げである。その財源としては、消費税が最有力候補であることは間違いない。
ここからは、あくまでも個人的見解として述べると、二階部分は完全積み立て方式に移行する余地はないか、また、国が運営していく必要があるのか、検討していく必要があると思う。また、一階部分は税方式にしてしまってよいのではないか。受給と負担の関係が不明瞭になるし税を用いることは大きな政府に繋がるというのが、税方式化に対する批判の一つである。しかし、現行のような現役世代が高齢者への年金受給の負担を担うという賦課方式では受給と負担の関係は既に明確ではない。さらに、国庫負担割合を引き上げるとなれば、税方式との差異は程度の問題ともいえる。そういうわけで、一階部分は税方式にしてしまって問題なかろうと思うのだが、民主党が主張しているような、高所得者ほど受給額が少なくなるというような過度の所得再配分機能を持つものには賛同できない。所得再配分機能の大小こそは政府の大小に直結する。そこは譲れない一線である。
(参考記事1)
[厚生・共済年金の保険料率は18・3%で…政府方針]
政府は3日、厚生・共済両年金の一元化で、段階的に引き上げる両年金の最終的な保険料率を18・3%でそろえる方針を固めた。
公務員の共済年金の負担を厚生年金と同等に引き上げ、「官民格差」を解消する。今月上旬の政府・与党の「被用者年金一元化等に関する協議会」にこの方針を示し、具体的な引き上げ日程などを検討する。4月に一元化の全体像を閣議決定し、早ければ今秋の臨時国会に関連法案を提出する。
企業年金部分を除く厚生年金の保険料率は、2017年度まで段階的に引き上げ、18・3%で固定する。
一方、国家・地方公務員の共済は20年度までに16・5~16・8%、私学共済は27年度までに16・2~16・6%にそれぞれ引き上げることとなっていた。共済年金は厚生年金より保険料率が低く、「官民格差」が指摘されている。
政府・与党は、一元化の実現には、保険料率と年金給付水準を同一とし、不公平を解消することが必要として、厚生年金の最終保険料率に統一することにした。これにより、国家・地方公務員共済と私学共済の3種類の共済年金は事実上、厚生年金に吸収される。
(読売新聞) - 2月3日19時18分更新
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政府が行おうとしている「年金一元化」は今回示された方針の通り、いわゆる二階部分の一元化である。一階部分に相当する基礎年金に関しては、消費税を福祉目的化するなどの案もあるが、明確に決まったわけではない。まずは国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げである。その財源としては、消費税が最有力候補であることは間違いない。
ここからは、あくまでも個人的見解として述べると、二階部分は完全積み立て方式に移行する余地はないか、また、国が運営していく必要があるのか、検討していく必要があると思う。また、一階部分は税方式にしてしまってよいのではないか。受給と負担の関係が不明瞭になるし税を用いることは大きな政府に繋がるというのが、税方式化に対する批判の一つである。しかし、現行のような現役世代が高齢者への年金受給の負担を担うという賦課方式では受給と負担の関係は既に明確ではない。さらに、国庫負担割合を引き上げるとなれば、税方式との差異は程度の問題ともいえる。そういうわけで、一階部分は税方式にしてしまって問題なかろうと思うのだが、民主党が主張しているような、高所得者ほど受給額が少なくなるというような過度の所得再配分機能を持つものには賛同できない。所得再配分機能の大小こそは政府の大小に直結する。そこは譲れない一線である。
(参考記事1)
[厚生・共済年金の保険料率は18・3%で…政府方針]
政府は3日、厚生・共済両年金の一元化で、段階的に引き上げる両年金の最終的な保険料率を18・3%でそろえる方針を固めた。
公務員の共済年金の負担を厚生年金と同等に引き上げ、「官民格差」を解消する。今月上旬の政府・与党の「被用者年金一元化等に関する協議会」にこの方針を示し、具体的な引き上げ日程などを検討する。4月に一元化の全体像を閣議決定し、早ければ今秋の臨時国会に関連法案を提出する。
企業年金部分を除く厚生年金の保険料率は、2017年度まで段階的に引き上げ、18・3%で固定する。
一方、国家・地方公務員の共済は20年度までに16・5~16・8%、私学共済は27年度までに16・2~16・6%にそれぞれ引き上げることとなっていた。共済年金は厚生年金より保険料率が低く、「官民格差」が指摘されている。
政府・与党は、一元化の実現には、保険料率と年金給付水準を同一とし、不公平を解消することが必要として、厚生年金の最終保険料率に統一することにした。これにより、国家・地方公務員共済と私学共済の3種類の共済年金は事実上、厚生年金に吸収される。
(読売新聞) - 2月3日19時18分更新
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>民主党が主張しているような、高所得者ほど受給額が少なくなるというような過度の所得再配分機能を持つもの
これだと結局「第二の生活保護」に近い形になってしまうんですよねぇ。何年か前の厚生労働白書にはこうなることに対しては批判的な見解が書かれていました。
共済年金との統合は、母集団の問題が大きいのだと思います。今後公務員も削減していく方向ですから。
共済年金は社労士の試験には出なかったので少々わかりにくいところはあります。(爆)
どこへ消えていらっしゃったのかと思ったら台湾だったんですね(笑)
「第二の生活保護」は困ります。共済と厚生の一本化の背景、母集団の観点からみると、なるほどその通りですね。公務員の共済ではないですが、私学共済なんて少子化であっという間につぶれてしまいそうだし…。