猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

普天間移設問題、政府が沿岸案を微調整で検討

2006-03-19 10:15:20 | 日米同盟
 地元との調整が難航している普天間飛行場の名護市沿岸部への移設案に関して、政府側から滑走路の方向を変更することなどにより地元の理解を得るという打開策が示されているようだ。図は従来案の滑走路の方向と飛行経路の関係と、政府が提示したとされる修正案のそれを比較した琉球新報の図である。修正の結果、直近の集落の民家の真上を通る最悪のコースは回避されそうだ。私は12日に書いた『普天間移設、国と地元で安全・振興の協議機関設置へ』の中でも「キャンプ・シュワブ沿岸移設案の滑走路の方向の悪さは明らかである。これは絶対に正されなければならないと思う。」と書いた。したがって、政府が「一切の修正に応じない」という姿勢を転じて、滑走路の方向を修正する方向になったのは心から歓迎したい。
 一方、滑走路を海側へ大幅に移動するか否かについては、情報が錯綜している。琉球新報は「飛行場の位置を海側にずらす変更はしない」、読売は「沖合へずらす距離は数十メートル以内にとどめる」、産経は「建設場所を沿岸案より海側にずらす名護市の修正案に近い案」と、それぞれ報じており現時点では判断しかねる。ただ、政府の考えとして、移設先を海上にした場合、環境への影響や建設作業の阻止行動を防ぐのが難しくなるとの判断が根底にあり、せいぜい数十メートルの移動というところだと思われる。この、環境団体による阻止行動を防げないという根拠に対しては何度も何度も批判してきた。国防のためには、それを強制的に排除してでも建設工事を実施するのが国家の責務だからである。さらに、自治体という憲法上の存在の意見よりも環境団体の横車を優先するのはまったく理に叶わない。
 地元の合意が得られるか否かは、これも現時点では何とも判断できないが、最大限の配慮を提示したのちに、一方的に決定して、事後的に協議するしかない。米側は「日本政府は早期に地元自治体の合意を得るべきだ」と求めてきている。これは、日本政府の当事者能力に疑問符が付けられているということに他ならず、政府の方針に対して自民党内から異論が出ているようだが、適切な対応が求められる。


(参考記事1)
[滑走路の向き変更 政府が打開策検討]  
 【東京】地元との合意が難航する米軍普天間飛行場移設の沿岸案について、政府は17日までに、滑走路の向きを変えて豊原集落の民家の上を飛ばないようにする方向で検討に入った。飛行場の位置を海側にずらす変更はしない。在日米軍再編の最終報告取りまとめの期限が3月末と目前に迫る中、サンゴなど自然環境の破壊を避けつつ、地元の理解を得る打開策として浮上した。県も非公式に情報を得ている。だが県は沿岸案自体に反対する姿勢を崩しておらず、名護市も飛行場全体の位置変更を求めているため、地元の理解が得られるかどうかは不透明だ。 
 現在の沿岸案では、ヘリが発着の際に飛ぶ場周経路は海上に設定されているものの、連絡機や輸送機など固定翼機の西側の進入経路は直近の豊原区の集落外れにある民家2戸の真上を通る形で設定されていた。進入経路付近にはさらに8戸がある。地元では墜落の危険性から反対論が強かった。
 これに対し政府は従来、「日本の狭い国土で、民家の上を全く通らないような飛行場設定はできない。那覇空港も民家の上を通っている。豊原区の民家の真上を通る時点では、既に機体は150メートル上空にあり、万一のことがあっても(民家への墜落を避ける)回避措置が取れる」(防衛庁幹部)と説明し、理解を求めていた。
 だが地元の反発が強いことから、政府は直近の民家上空の飛行を避ける検討に入った。固定翼機の進入経路は滑走路の方向通りに飛ぶ必要があり、滑走路自体の向きを変更する。政府は23日からの日米審議官級協議を経た上で、この案を地元に提示する構え。
 これにより直近の民家は飛行経路の真下に入らないが、逆に東側の進入経路は、大浦湾をはさんだ対岸のリゾート施設上空を飛ぶことになる。だが、リゾート施設上空に達する時点では機体はかなりの高度にあることから、抵抗は比較的少ないと判断した。
 一方、県幹部は滑走路の方向変更で非公式に情報を得ていることを認めた上で、「滑走路の位置自体が集落に近付いたという沿岸案の根本的な問題点は解消されない。向きを変えても県が容認できるものではない」と、容認し難いとの認識を示している。
(琉球新報) - 3月18日10時42分更新

(参考記事2)
[滑走路方角など普天間移設で微修正…政府・与党検討]
 政府・与党は17日、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)移設案について、地元の自治体などの同意を前提に、微修正する方向で検討に入った。
 沿岸案の骨格は維持しつつ、滑走路の向きを変えたり、沖合側に若干移動させたりすることで、周辺の住宅地への騒音などの影響を緩和するもので、地元関係者も一定の理解を示している。政府は従来、沿岸案の修正を否定していたが、普天間飛行場の移設実現には地元の協力が不可欠と判断し、局面の打開を目指すことにした。
 名護市は今月8日、沿岸案と従来の辺野古沖案との間の位置に移設場所が修正されれば、政府との協議に応じると表明した。政府は、移設先を海上にした場合、環境への影響や建設作業の阻止行動を防ぐのが難しくなるとの判断から、大幅な修正には否定的だった。
 だが、米側も「日本政府は早期に地元自治体の合意を得るべきだ」と求める中、額賀防衛長官や自民党の山崎拓・前副総裁らは、代替施設がキャンプ・シュワブの陸上部に残る形で滑走路の向きなどを微修正する可能性について地元関係者と非公式に調整していた。
 一部の地元関係者は「微修正でも、地元に配慮した案なら受け入れを検討できる」と政府側に伝えている。山崎氏は17日、沖縄県の北部市町村会幹部と会談後、「政府案を基軸に何とかお願いしたい」と語り、微修正に含みを持たせた。
 現在の沿岸案では、固定翼機や悪天候時のヘリコプターは、滑走路の南西方向の延長線上にある民家10戸の上空を飛行する予定だ。政府・与党は、民家10戸を飛行ルートから外すため、滑走路の方角の変更を検討している。沖合へずらす距離は数十メートル以内にとどめる考えだ。
(2006年3月18日3時1分 読売新聞)

(参考記事3)
[普天間移設 名護市案にほぼ修正 4閣僚が合意]
 在日米軍再編をめぐり、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、額賀福志郎防衛庁長官、小池百合子環境相は十六日夜、都内で会談し、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市など)沿岸部への移設(沿岸案)などについて協議。建設場所を沿岸案より海側にずらす名護市の修正案に近い案を米側に提示することで大筋合意した。
 日米両政府は二十三、二十四の両日、都内で審議官級協議を開き、大筋合意にこぎ着けたい考え。その前に首相官邸、外務省、防衛庁などの足並みが乱れないよう関係閣僚が政治主導で調整する必要が生じていた。
 沖縄県や名護市が反対している沿岸案を修正するかが最大のポイントだった。
 地元・名護市は八日、代替施設の建設場所を沿岸案より海側にずらし、シュワブの岬部分に接する形の修正案であれば協議に応じる方針を提示。政府・与党、米政府内にも、名護市の意向に沿った修正に前向きな意見もあったが、沿岸案を主導してきた防衛庁は消極的で打開のメドは立っていなかった。
 この日の四閣僚会談では額賀氏が軟化し、名護市の修正案に近づく形で沿岸案より建設場所を海側にずらす案で大筋合意した。今後、小泉純一郎首相の意向を踏まえた上で、さらに微修正を加えて、日本政府の方針を最終決定するとみられる。
 もう一つの焦点は、海兵隊のグアム移転経費の問題。米政府は総額約百億ドル(約一兆千七百五十億円)で日本側に75%の負担を要求しているが、日本政府は家族住宅などについて融資方式を提案している。この日も「受け入れられない」との見解で一致した。
 また、四閣僚会談では、米側が地元合意が得られない段階での日米安全保障協議委員会(2プラス2)開催に消極姿勢を示していることについても協議した。地元説得を含め、三月末の最終合意に向け、努力していくことを確認した。
(産経新聞) - 3月17日2時46分更新

(参考記事4)
[在日米軍再編 閣僚合意に自民から異論]
 米軍再編をめぐる十六日夜の閣僚合意をめぐり、自民党からは異論が噴出し、政府側は火消しに追われた。
 防衛関係に強い影響力を持つ久間章生総務会長は十七日午前、首相官邸で、小泉純一郎首相と直談判、閣僚合意の真偽をただした。記者団には「当初の政府方針通りでなければならない」と述べた。額賀福志郎防衛庁長官は同日朝の閣僚懇談会で「政府案で地元の了解を取るように全力を挙げている」と説明したほか、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相は記者会見で「コメントできない」。首相は同日夜、首相官邸で記者団に「今の政府案で合意が得られるように努力する。(修正は)考えていない」と述べた。
(産経新聞) - 3月18日2時57分更新


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2 コメント

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全く意味不明ですよね (tsubamerailstar)
2006-03-24 00:54:55
8月31日のカツオ君のようにあわただしくなって参りましたが、ご指摘されているようにテレビや新聞それぞれ勝手な「憶測」で物言っているようでわけわかめです。(汗)



>環境団体による阻止行動を防げないという根拠



今だかつてこれを声高に言っているのが全く意味不明です。それもこれも含めてとにかく土俵際という危機感を持って頂かないとですね。
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意味不明なので… (猫研究員。(高峰康修))
2006-03-24 01:43:10
珍しく記事が色つきなんですよ。対照できるように…。

米側としては「浅瀬埋め立て案に変更してくれる分には困るものではないけれども、ここで迷走させるとまたたなざらしになりかねん」ということで、強硬に「最終報告であって中間報告ではない」と主張している面があるように思われます。同盟国といっても所詮は他国なので、こういう体たらくだからこそ、グァムへの移転費用7500億円よこせなどと言われるのです。
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