猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

普天間移設、国と地元で安全・振興の協議機関設置へ

2006-03-12 00:52:06 | 日米同盟
 米海兵隊の普天間飛行場移設問題に関して。私は、なぜ日本政府が、地元の反対も相対的には小さかった、米国が主張した浅瀬埋め立て案ではなくてキャンプ・シュワブ沿岸部移設案にこだわったのか今もって理解できない。名護市沖にはジュゴンが生息しているため環境団体の反対が大きく、それを排除して建設することは困難である、などと説明していたが到底納得できるものではない。また、1996年に橋本・クリントン合意により普天間飛行場の返還が決まってから10年も事実上たなざらしにしてきたのは、地元に対しても米国に対しても背信的行為であったとすら言えるかもしれない。日本政府が当事者能力を著しく欠いていたと批判されても仕方ない。交渉にまつわる政治的困難さを最大限割り引いて考えても、褒められたものではない。
 そうはいっても、キャンプ・シュワブ沿岸部移設案で進める以外に選択肢はない。それが、政府間の合意というものが持つ重みである。米国側が「(日米が)基本合意した計画をまた交渉するのは望ましくない」と再三述べているのも理由のないことではない。したがって、基本計画は変更せず、国と地元で安全・振興の協議機関を設置するという方向性は間違ってはいないと思う。そもそも、安全保障に関することは中央政府の専権事項であり、第一義的には中央政府が責任を持って最終決定を下すのが筋論である。その上で、軍事的な効率性と地元負担の軽減をバランスよく調和させることは政治の重要な任務の一つである。
 一方、名護市は、キャンプ・シュワブ沿岸部案と当初の辺野古沖案との間の位置まで移設場所が修正されれば、政府との協議に応じるとの見解を表明し、市としての「許容範囲」を明示した。図は、その範囲を地図上に示したものである(読売新聞3月9日付)。キャンプ・シュワブ沿岸移設案の滑走路の方向の悪さは明らかである。これは絶対に正されなければならないと思う。島袋吉和市長は「当初計画のバリエーションの範囲に修正されれば、政府との協議に応じる」と語っている。その範囲の中には米側が提示した浅瀬埋め立て案も含まれており、地元の浅瀬埋め立て案へのこだわりが感じられる。


(参考記事1)
[普天間移設、国と地元で安全・振興の協議機関設置へ]
 政府は8日、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)移設案に関連し、4月にも国と地元の関係自治体による協議機関を設置する方針を固めた。
 8年間を要するとされる移設完了までの現在の普天間飛行場周辺の安全確保策や、県北部を中心とする地域振興策などをテーマとする方向で調整する。政府は、協議機関を通じて、再編計画への地元自治体の合意を得たい考えだ。
 政府は、地元が求める移設案の修正には基本的に応じない方針だ。このため、今月末に開催する方向の外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)で最終報告を発表した後、地元調整を本格化することにした。
 一方、名護市は8日、キャンプ・シュワブ沿岸部案と当初の辺野古沖案との間の位置まで移設場所が修正されれば、政府との協議に応じるとの見解を表明した。政府との調整に向けて、市としての「許容範囲」を明示したものだ。島袋吉和市長は「当初計画のバリエーションの範囲に修正されれば、政府との協議に応じる」と語った。しかし、小泉首相は8日夜、都内のホテルで自民党の山崎拓・前副総裁、二階経済産業相、公明党の冬柴幹事長と会談した際、「政府案を譲歩すると、新しい問題が起こってくる」と述べ、移設案の修正に否定的な考えを示した。
(読売新聞) - 3月9日3時9分更新

(参考記事2)
<普天間移設>政府との協議へ範囲を初めて明かす 名護市
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設(沿岸案)問題で、名護市は8日、政府との協議に応じることができる移設先の範囲を初めて明らかにした。
 沿岸案受け入れを巡り、こう着状態に陥っている政府との関係打開を求める姿勢を示したものとみられる。
 末松文信助役が市議会一般質問に答えた。それによると、移設可能としたのは、99年の閣議決定に基づく辺野古沖埋め立て計画(従来案)の海域に加え、沿岸案の埋め立て区域の南側から従来案の間にある海域。最も陸側に近づけた場合は辺野古崎の先端にかかる。沿岸案で1500メートルとされる滑走路の長さについては、1300メートルと短縮した。
 市は、移設範囲を示した理由について説明していないが、範囲の中には米側が主張していた「浅瀬案」も含まれている。
 市は沿岸案を拒否する一方「従来案の変形の範囲なら政府と協議する」としてきた。これに対して、政府は沿岸案の修正に否定的な構えを崩していない。
また、沖縄県も「従来案以外なら県外移設」との方針を変えていない。日米両政府は地元の同意がなくても今月末の在日米軍再編協議の最終報告に合意する方針。【三森輝久】
(毎日新聞) - 3月8日13時12分更新

(参考記事3)
[米軍再編で官房長官「日米協議が整えば最終合意」]
 安倍官房長官は6日の記者会見で、在日米軍再編について、「1日も早く(沖縄など)地元の合意が得られればいい。他方、最終報告は日米で協議している。協議が整い次第、それが最終合意になる」と述べ、地元との合意が得られなくても日米両政府で最終報告をまとめる考えを示した。
 在日米軍再編で懸案となっている米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設案に対して、沖縄県をはじめ地元自治体などが強く反発。地元出身の国会議員は政府に修正を求めていた。しかし、小泉首相は「修正しない」との姿勢を表明しており、地元の説得は困難な情勢となっている。
 小泉首相は6日夕、地元への説得について「(理解が)得られるよう努力します、最後まで」と首相官邸で記者団に述べた。
(読売新聞) - 3月6日20時4分更新

(参考記事4)
[移設修正「望ましくない」 普天間問題で米大使館幹部]
 在日米大使館のケビン・メア安全保障部長が27日、那覇市で開かれた共同通信加盟社の論説研究会で講演し、米軍普天間飛行場の移設問題について「(日米が)基本合意した計画をまた交渉するのは望ましくない」と、キャンプ・シュワブ沿岸部への移設基本計画を修正する考えが米側にないことを強調した。
 一方で「細かいところに時間がかかるので、3月末に(在日米軍再編の)最終報告が出ても、具体的な計画にするまで何カ月間もかかると思う」として、最終報告後も日米で技術的な調整が必要との認識を示した。
 日米で詰めの協議をしている沖縄本島中南部の基地返還については「個別に中間報告の内容を実行しようとすると、すべてが駄目になる」と、普天間移設の実現が前提との立場を強調した。
(共同通信) - 2月27日21時13分更新


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2 コメント

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Unknown (PJ)
2006-03-12 12:25:57
地元が浅瀬埋め立て案を望んでいるのなら、なぜ政府が沿岸案を持ち出すのか本当にわかりませんね?

予算の問題でしょうか。それともまた利権?

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PJさまへ (猫研究員。(高峰康修))
2006-03-13 00:02:59
例えば、メガフロートなんか大いに検討してみる価値があります。建設費も安いし、環境への影響も埋め立てに比べればはるかに小さいとされています。メガフロートをやる気配がないのは「儲からないから」すなわち「利権のためではないか」と江畑謙介氏が著書の中で指摘しておられます。
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