猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

情報流出、陸海空自衛隊全てに拡大―軍法会議も必要だ

2006-03-08 21:28:19 | 安全保障・自衛隊
 2月24日に書いた『海自「秘」情報流出、CDで持ち出し』の続き。海自だけでなく陸自空自でも全く同様にファイル交換ソフトWinnyを通じて情報流出が相次いでいた。関連記事を資料としてまとめておく。事実関係はそれらを参照していただくとして、今更ようやく「私用パソコンの業務利用や、私物の記憶媒体の職場への持ち込みも全面禁止する」という決定がなされたという、情報管理に対する危機意識のなさに驚かされた。おそらく過失を犯したもののなかには仕事熱心のあまりデータを持ち帰って私用パソコンで作業していた人もいるのだろうが、厳しい言い方をすれば無知が罪である。もっとも、今回の一連の件は、個人の罪というよりは組織として負うべき罪というべきかもしれない。自衛隊の部隊では官品のパソコンが不足しており、私有パソコンを持ち込むケースが多いという事実から強くそのように思う。
 それにしても、これほど杜撰な情報管理体制ということは、『スパイ天国』であろうことは想像に難くない。改めて防諜法をはじめとする法制度の確立の必要性を強調するとともに、軍紀を高めるために「軍法会議」の設置を強く求めたい。軍法会議は、軍人による軍人を対象とする法廷である。これを設置して自律性を高める事が、自衛隊を真の軍たらしめるための必要条件である。情報の取り扱いに関しても、軍事上の専門性を勘案した取り扱いができるようになると期待される。


(参考記事1)
<空自情報流出>パソコンから基地警備計画案など
 重要情報の流出が相次いだ海上自衛隊に続き、航空自衛隊でも複数の隊員のパソコンから内部情報やデータが流出していたことが1日分かった。流出したデータには、昇任試験の模擬テストや、隊員約60人分の個人情報などが含まれており、空自が詳しい調査を始めた。2年前に発覚した陸上自衛隊の情報流出問題を含め、これで陸海空3自衛隊での流出が確認され、自衛隊全体の徹底した情報管理が求められる事態となった。
 毎日新聞が入手した資料などによると、流出させたのは2等空尉(27)ら隊員2人とみられる。ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を入れた私用パソコンが暴露ウイルスに感染し、ネットワークに流出した。
 2尉のパソコンからは、同期隊員名と携帯電話番号のほか、職種、所属基地などの一覧表や、空自の将来像などさまざまなテーマの論文、家族の写真などが流出した。
 「基地警備計画」名のファイルには、隊の編成図や小銃、機関銃の数を記した「火力の編成」などの項目を含む計画案と2尉の所属、氏名が記されていた。また、飛行中に任務継続が不可能となった(アボート)際の行動をさまざまなケースに応じて規定した「アボート手順」というファイルもあった。
 もう一つの流出情報には、昇任試験の模擬テストのファイルが多数収められた「試験『昇任模試1』」などのフォルダーがあった。フォルダー内には、防衛庁の訓令や武器使用など自衛隊法についての解説が記されたファイルや、「解説秘密保全に関する訓令第11条」という名のファイルまで含まれていた。
 自衛隊の情報流出を巡っては、04年4月に陸自・第1普通科連隊(東京都練馬区)の訓練計画や隊員名簿などがウィニーネットワークへ流出していることが発覚。先月には海自幹部を含む6人が情報流出させたことが明らかになった。
 防衛庁のある幹部は「講習や通達などソフト面での対応には限界がある。隊員がデータを持ち出せないよう、記録媒体を接続できなくするなどハード面の対応が必要だ」と話している。
【サイバーテロ取材班】
(毎日新聞) - 3月2日3時6分更新

(参考記事2)
[情報流出 陸空自にも拡大 新たに4件、訓練計画など]
 海上自衛隊の秘密情報や個人情報が私用パソコンからファイル交換ソフト「ウィニー」を通じてインターネット上に流出した問題で、新たに陸上自衛隊と航空自衛隊でも訓練計画などの情報流出があったことが一日、防衛庁などの調査で分かった。いずれもウイルス感染した私用パソコンから流出したとみられる。防衛関連情報の流出は陸海空三自衛隊に拡大する事態となった。
 新たに判明したのは、陸自隊員による三件と空自隊員による一件。陸上幕僚監部によると、訓練計画を記した業務用文書や隊員名簿などの個人情報などがインターネット上に流出。空自のケースでは航空部隊に所属する二等空尉(27)が保存していた電子メールアドレスや携帯電話番号などが記された名簿や行動計画などが流出した。
 防衛庁では秘密度が高い順に「機密」「極秘」「秘」の秘密指定をしているが、陸自と空自の流出情報にはこうしたものは含まれていなかった。
 いずれも海自隊員の場合と同様に、「ウィニー」をインストールした私用パソコンに取り込んでいた情報、資料が「暴露ウイルス」に感染し、流出したとみられ、防衛庁と自衛隊は流出の経緯をさらに詳しく調べる。
 海自の護衛艦乗組員による「秘」情報を含む情報流出を受けて、防衛庁は検討会(委員長、高木毅長官政務官)を設置。「職務上使用する私用パソコンからのファイル交換ソフトの削除」「秘密情報、不要な業務用データの削除」「職場の私用パソコンによる秘密の取り扱い全面禁止」を全隊員、全職員に指示し再発防止策を検討している。
(産経新聞) - 3月2日2時59分更新

(参考記事3)
[海自情報流出、さらに4隊員のパソコンから4件]
 護衛艦の秘密文書も含む情報がインターネット上に流出した海上自衛隊で、昨年秋以降、少なくとも全国の4人の隊員から4件のネット流出が新たに確認されていることが、28日までの海自の調査で明らかになった。
 昨年11月に自衛隊中央病院(東京・世田谷)の医官の自宅のパソコンから患者の個人情報が流出した問題をきっかけに、ネット上の監視を強化した中で判明した。いずれも流出したデータの中に秘密情報が含まれていなかったか、慎重に調べている。
 防衛庁・自衛隊では、業務用データの無許可持ち出しを禁止し、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」などの危険性も厳しく指導しているが、情報管理に対する意識の甘さが、自衛隊員に深く広がっていることが露呈した形だ。
 関係者によると、データ流出は、今回の護衛艦のケースと同様、いずれもウィニーを入れた私用パソコンがウイルスに感染して起きたとみられる。ネット上で流出を指摘する書き込みを見つけても、流出元や流出データの全容を特定するには、数か月間かかるという。
 海自は、今回の流出問題を受けた緊急対策として、現在、許可制で認めている私用パソコンの業務利用や、私物の記憶媒体の職場への持ち込みも全面禁止する。
(読売新聞) - 2月28日14時38分更新


(参考記事4)
[情報流出防止、防衛庁が官費でパソコン7万台支給へ]
 額賀防衛長官は8日の参院予算委員会で、海上自衛隊の秘密情報流出の再発防止策として、自衛隊員が職場に持ち込んでいる私有パソコンを一掃するため、パソコン約7万台を官費で購入し、隊員に配布する方針を明らかにした。
 2005年度予算の通信機器購入費などを工面して約40億円を支出し、3月中に契約する予定だ。
 額賀長官は「陸上自衛隊で6万台、海上自衛隊、航空自衛隊で計1万台近くは全部、防衛庁の方で供給する」と述べた。
 海自の情報流出は、秘密情報を取り込み、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を介して、隊員の私有パソコンから外部に流出したとされる。
 自衛隊の部隊では官品のパソコンが不足しており、私有パソコンを持ち込むケースが多い。防衛庁によると、昨年11月現在、許可を受けて職場に持ち込まれたパソコンは、陸自で約6万台、海自で約2000台、空自で約5000台に上る。
(読売新聞) - 3月8日20時33分更新

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (We are ニッポン!!)
2006-03-09 01:32:38
なんつーか自衛隊同士で機密交換ゲームしたたら笑っちゃいますね。いざ戦争になって電子機器に対してアタックされたら大変です。
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コメントありがとうございます (猫研究員。(高峰康修))
2006-03-09 19:10:24
>いざ戦争になって電子機器に対してアタックされたら大変です。



これが一番重大事です。平時でも、情報漏洩が容易に起きるということは、米軍が情報共有を拒否するということになり、自前の情報をそれほどとってこれるわけでもないので結局は「従属」ということになります。
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何か最近凄いですよねぇ・・・・ (tsubamerailstar)
2006-03-09 19:44:54
よく批判する人がいますが、この辺がザルだからライセンス生産等でも肝心なところは「ブラックボックス」という事情も大きいんですよね。メリケンからしたら危なっかしくてたまらんといったところがホンネでしょう。

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コメントありがとうございます (猫研究員。(高峰康修))
2006-03-09 23:51:50
>ライセンス生産等でも肝心なところは「ブラックボックス」という事情も大きい



今回の体たらくぶりを見れば甘受せざるを得ませんよね。

そういえば、新型迎撃ミサイル(SM3だったかな)の共同開発実験に成功したとか報道されてましたが心配になってきますよ。
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