法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

新人営業の教科書 (XX)- 営業に必要なスキルの体系化 - 夏休み

2024-08-31 21:47:46 | 『理詰めの営業』そのコンセプト
ここまで12回に渡り「新人営業の教科書 」を掲載。

少々詰め込みすぎたので、ここでいったん夏休み。

といってもブログを書く時間がないだけで週末も仕事。

仕事が途切れずにあるということは幸せだ。



<BUTAKINの冷やし。ニンニク、脂マシマシでスタミナづくり。白いソースは胡椒の効いたタルタル>


<夏休み中は、近隣で武蔵野散歩。『武蔵野・ロストハイウエイ』は、女性の逃亡劇。>


<『武蔵野』は都会の孤独?彷徨い>
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新人営業の教科書 (12)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 自社に関する知識

2024-07-21 10:11:27 | 新人営業の教科書
さて、ここまで顧客情報の収集・分析・対策の話が続きましたが、今週はおおもとの「営業スキル体系」にもどり、「自社に関する知識」の話をします。「えー、なんで。自社のことなら知ってるわい」と言われそうですが・・・・・



就活時に今いる会社について十分に研究したはずです。どうでしょう、働き始めて内部情報も入手しやすくなったのではないかと思います。

「これからもこの会社にいてよいのか」「転職すべきか」などということを検討するために自分の会社を調べるわけではありません。自社の商品の営業に役立てるための調査です。

ここでは、個別の製品やサービスの競合分析ではなく、自分の会社の「会社としての強み・弱み」を調査・分析します。

例えば、強みには、「納入実績」「サービスサポート体制」「財務力」「販売網」「製品開発力」などがあります。つまり会社という組織としての強みです。

弱みとしては、「納入済み製品のトラブル」「新製品開発の遅れ」「会社が訴訟に巻き込まれた」「会社がリストラ中」「SNSでブラックとたたかれている」などが考えられます。

特に競合と比べた現実的な「会社の」強み・弱みを考えてみましょう。

重要なことは、組織能力など会社としての強みを営業活動に活用すること、トラブルなどの弱みを早め早めにリカバリーすることです。

例えば、ある顧客のある事業所でのあなたの会社の納入実績は9台、B社は1台、H社も1台とします。

プレゼン等で「納入実績」を示せば、顧客と密な関係や貢献度を示すことができますし、メーカーを変えた場合のデメリットをそれとなく匂わせることもできるでしょう。更に、「この際、B社、H社の製品もリプレースしてはどうか。可能であれば、複数台購入として、20%値引きできる」などと、提案することも可能でしょう。ただし、B社の導入を決めた人が、当該事業部の事業部長などといった場合は、持って行き方に注意する必要があります。

また、私がB社あるいはH社の営業なら、「もう1台入れて冗長構成にしましょう。そうすれば、備品も安く提供します」などと提案します。これにどう対抗するかも考えねばなりません。納入実績一つとっても様々な観点から検討する必要があります。

さて、「営業に必要な知識」はこれで終了です。

トップセールスの方の頭の中には、これらの知識が詰まっています。『理詰めの営業』のように、それを可視化できるツールもあります。また、あなたがやる気を見せれば、トップセールスの方から何かアドバイスをもらえるかもしれません。いや、与えられることを待つのではなく、積極的に聞き出すことです。

トップセールスまでの道は遠いかもしれませんが、営業に関する知識で、昨年、一昨年入社の先輩を抜くことは簡単かもしれません。なぜなら、あなたは何を勉強すればよいのか分かっているからです。仕事はしても勉強しない人も沢山います。
経験・体験・学習したことをしっかり体系化して身に付けることが肝要です。
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新人営業の教科書 (11)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き - 業界情報

2024-07-14 10:13:42 | 新人営業の教科書
今週は、顧客基礎情報収集なかの「業界情報」の話です。

顧客が属する業界に関する学会誌・業界紙や日ごろの営業活動の中での情報収集から、業界としての技術トレンドや課題、大きな潮流などを把握しておきましょう。

新人営業から「もうお腹いっぱいです」との声が聞こえてきそうですが、この一週間でやれという話ではなく、この先、営業という仕事を続ける上での行動指針(『理詰めの営業』のベース)の一つと考えていただければと思います。

まずは、業界における当該顧客の位置づけ。

トップを走っているのか、二番手か。

また、技術トレンドや課題に関して、当該顧客がどう対応しているか、それがあなたの会社の事業に結び付くのか、つかないのか・・・・・

直近の案件のためだけでなく、営業トークのタネ、あるいは、中長期的なビジョン作成のためと考えていただいてもよいかと思います。

例えば、今週、訪問した自動車メーカーでの話。

電気自動車に関して下調べをした上で・・・・

CO2の発生を抑えるためガソリン車の販売が近い将来禁止され、電気自動車に代わる。関連するガソリンエンジンなどの部品は不要に。ガソリンスタンドも不要に。すり合わせ技術が不用となり、だれでも自動車を作れるようになる。

ここまでは、マスコミや本でしばしば取り上げられていますね。

今週、お訪ねした自動車メーカーさんでは、すでに実際に電気自動車を販売しており、そこでのお困りの点は・・・・・・

・充電設備の設置に関し、電気設備の追加が必要なためビル側との交渉が難航
(社有車やマンション住民の車の充電はどうするのか?)

・大量のバッテリーを積んでいるため車の重量は2トン半ほどに。機械式駐車場に負荷がかかりすぎて、故障の原因になる。あるいは機械式駐車場は使用不可に。
(米国では機械式駐車場はあまり使われないため問題にならない。機械の補強は可能か。それとも置き換えか?)

顧客をヒアリングしながら、次の飯の種が考えられそうですね。

顧客基礎情報は、顧客の全体像を把握し、今回の投資の確度の分析や関係者の洗い出し、あるいは顧客の選択等(営業として本格攻勢をかけるか否か)に活用します。

これらの情報の収集・分析の一部は、マーケティングの仕事ですが、マーケティング部のない企業では、営業が積極的かつ日常的に行わなければなりません。

実際のところ、営業が個人的にこれらの情報をすべて収集するのは不可能に近いと言えます。

また、タダで入手できる情報には限界があります。業界に精通したマーケティング会社から情報を買うなど会社としての対応も必要です。

まずは、自分の顧客のHPを調査するところから着手してみましょう。

最近の私の訪問事例では、初めてお会いする社長の略歴をLinkedInで調査し、会議のストーリー作りに役立てました。

LinkedInは個人のPRのツールであり、会社のHPからは分からない社長の略歴や社長個人としての実績、人柄を知ることができました。
(「LinkedInを見てから会議にきてね」と他の出席者に言ったのにも関わらず、見てこない出席者達。がっかりしますね。「意外と」ではなく「本当に」皆、準備してこない!)

勉強や準備を怠る先輩たちを追い抜く日は近いです!!!
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新人営業の教科書 (10)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き - 競合情報

2024-07-06 17:40:50 | 新人営業の教科書
さて、今週も「顧客に関する知識」の続きです。

f. 競合情報

競合情報の収集・分析は、営業に必要な知識の一つ「マーケティング」の分野の一つです。大変、奥の深い話で、これを専門に行う会社もあります。私がいた外資系の会社では、日本のライバルメーカーの製品の品質が何故格段に良いのかを知るために、調査会社に設計・製造・品質管理体制などを徹底的に調べさせたことがありました。かなり大規模でお金のかかる調査でした。

ここでは、少し肩の力を抜いて、「当該案件(あるいは当該顧客)と関連のある競合情報の収集」にフォーカスしましょう。

Googleなどで、商品名で検索すれば競合会社がピックアップできるでしょう。長年、同じビジネスを行っていれば社内で競合情報をある程度蓄えていると思います。

同じ商品を扱っている会社の名前、所在地、財務情報、サポート体制を含めた組織、販売チャネル、商品の位置づけ(主力商品か脇役か)、商品の仕様、価格情報(卸値、実勢販売価格、値引き率など)、顧客、当該顧客担当営業、担当営業の人脈など知りたい情報はたくさんあります。キリがありませんね。

まずは、商品の仕様、強み、弱みの比較からまとめてみましょう。

これだけでも大変なはずです。

製品の場合、仕様が入手できれば比較は可能(実力はデモをしないと分からない)ですが、サービスの場合はどう比較しますか。

例えば、清掃業者の場合は?

参考までに、ある会社がキッチン周りの備品補充や清掃を行うサービス業者選定のRFPで用いていた選定基準をお知らせします。ちなみにRFP(Request for Proposal)とは、発注側がベンダーや開発者に対して提案書(含む、見積書)を提出してもらうために依頼する書面です。

<RFP選定基準>


これらの項目があらかじめ分かっていたとして、どうあなたの会社の優位性をアピールするのか、どう競合他社との差別化を図るのか、頭を悩ましますね。

もう少し補足すると、以前もお話ししましたマクドナルドの例にように、提供する製品やサービスによっては、見方を変えて競合を探す必要があります。例えば、マクドナルドの競合は、ハンバーガーという切り口で言えばモスバーガーやバーガーキングなどですが、ランチの価格帯で見ると、コンビニ弁当や吉野家の牛丼などが競合になります。

あなたの会社の製品をいくつかの切り口で競合分析してみましょう。

キリがないと言っていながら、いろいろ出すね・・・・・・とぼやきたいところですね。

SWOT分析などの分析手法も加えればもっともっと勉強が必要!!

営業も勉強する気になるとなんぼでもやることがあるということです。
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新人営業の教科書 (9)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き

2024-06-29 18:15:17 | 新人営業の教科書
今回も『顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識』の続きです。

e. サプライチェーン

当該顧客の上流および下流のサプライチェーンを調べましょう。

昔、私が担当していたハードディスクドライブ(HDD)の場合、主要部品のディスクは富士電機、昭和電工、HOYA、ヘッドはTDK、アルプス電気、モーターはニデック、パナソニック。販売先はPCメーカーの日本電気、富士通、IBM、HPなどなど。いずれも当時の話です。

もちろん、ディスクの基板(アルミまたはガラス)以外、全部、自社製という垂直統合型メーカーもありました。いずれにしても部品の購入元や製品の販売先が分かりやすい製品でした。

サプライチェーンが分かりにくい業界もありそうです。そもそもサプライチェーンそのものの構築が大きな差別化のポイントの業界もあります。その一例が、以前、新聞で報道された「かっぱ寿司」元社長の情報持出事件です。

新聞によると、

2022年9月30日、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの社長だった田辺公己容疑者(※10月3日付で社長辞任)ら3人が、警視庁に逮捕された。容疑は競合する「はま寿司」の仕入れ価格に関する内部データの不正に持ち出し。不正競争防止法違反だという。

販売価格はオープンになっているので、仕入れ先と仕入れ価格、それとオペレーションが競争のポイントなのでしょう。

このような深刻な問題ではなくても、もし、分かればこんなことに使えるという事例をお知らせしましょう。

検査機器メーカーC社の営業の話です。

そのときのお客さんは小型モーターメーカーA社。

A社のモーターを購入し、最終製品を組み立てているメーカーB社でモーターの発塵に起因すると思われる問題が発生。B社はC社の検査装置を購入し、発塵の有無を検査。その後、B社は、本来この検査はモーターメーカーで検査すべきものだとしてA社に対し発塵検査を要求。

これを聴きつけたC社の営業は、B社のモーター納入仕様書に「C社の検査装置で検査したものをデータと共に納品すること」と書いてもらった。発塵用の検査機器は他社のものでもよいのだが、仕様書に書いてもらうことにより商談をかなり有利に進めることができた。

営業の知恵ですね。

この他にも、川上、川下を調べることにより生産数量や歩留まり等を推定することが可能となる場合があります。

「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」の話は、まさにこのサプライチェーンに含まれますが、サプライチェーンに関しては、新人営業の調査項目としては、「低」優先順位にしておきましょう。

でも、先輩にチラッと聞いてみましょう。先輩が知らなければ、いつかあなたが調べて先輩を抜きましょう。

<競争の激しい回転寿司業界。価格競争から顧客体験による差別化へとシフトしてきているが・・・・・。写真は私の大好きな「魚べい」の寿司>

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新人営業の教科書 (8)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 「顧客に関する知識」の続き

2024-06-22 17:21:37 | 新人営業の教科書
さて、『顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識』の続きです。

最初にお断りしておきますが、
以下に説明する情報がすべて揃うことはないでしょう。

不足情報がある中で、創造力(想像力)を働かせ、最善の営業戦略を練ることが大切なのです。全部の情報を揃えることにエネルギーを使いすぎないようにしましょう。情報収集そのものが営業の目的になってはいけません。



a.企業業績、関連事業業績、中期・長期投資計画、本年度投資計画
帝国データバンク、東京商工リサーチ、きんざい「業種別審査辞典」、東洋経済「会社四季報」、Webサイトの株主向けの情報や経済新聞、業界新聞などでこれらの情報を収集します。関連事業の企画部門や購買部門からも必要な情報を入手できる場合もあります。もっと効果的なのは、会社のマネージメント同士が懇意になり、日ごろの付き合いの中で、投資情報等を聞き出すことで、現実的で精度の高い情報を入手可能となります。

b.問題・課題
企業には大きな経営課題から現場の問題・課題まで様々な問題・課題があります。ここでは、貴社が提供するソリューション(商品)に関連する問題・課題を整理します。それらが経営課題と結びついていれば、実施の可能性は高くなります。

c. 組織図(全体・関連部署)
当該企業全体の組織および案件と関連のある部署の組織図を入手し、当該企業の構造と関係者を明確にします。組織を明確にすることにより、次の項目「意思決定プロセス」も見えてきます。
既存顧客の場合は、組織図上で、貴社に好意的な顧客、貴社に好意的でない顧客(いわゆるアンチ)と中立的な顧客に色分けしましょう。人間関係構築に関する課題が見えてきます。

d. 意思決定プロセス
意思決定プロセスは、投資計画立案段階なのか、実施を決める段階なのかなど、案件の進捗状況や会社の組織あるいは購買手続きの変更等により変わっていきます。また、最終的には社長あるいは当該事業の事業部長・役員が承認することになるのでしょうが、実際には現場の課長の意見が尊重される会社もあります。実質的で最新の意思決定プロセスを把握しておきましょう。

とはいえ、新規顧客でここまで調べるのは無理です。

顧客との関係を強化していく中で、意思決定プロセスを頭に入れて調べていきましょう。

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新人営業の教科書 (7)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ④ 顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識

2024-06-16 12:12:00 | 新人営業の教科書
さて、今回は「営業に必要な知識」の中の『④顧客と「顧客の顧客」「顧客の仕入れ先」に関する知識」』です。

PowerPoint資料にはなかった「顧客の仕入れ先」も追加しました。ただ、今は「顧客本体」に集中しましょう。

ここで言う顧客は、販売先の会社です。いわゆるBtoBビジネスを想定しています。

商品が個人向けのもの、たとえばチョコレートのようなものでも、販売先は卸売業者、デパート、スーパー、コンビニなどの「会社」ですね。もちろん、小売店は個人相手の「販売」となりますが。

では、「営業に必要な知識」は、個人相手の営業には役立たないのか?そんなことはありません。建売住宅やマンション、車の営業を考えてみてください。

・マーケティング  
・商品知識
・市場に関する知識
・顧客と「顧客の顧客」に関する知識 
・自社に関する知識

顧客が「個客」になるだけで、どれも必要な知識です。建売住宅の営業の場合、住宅や内装、什器等に関する知識、建売住宅市場や競合するマンション・賃貸住宅に関する知識、住宅ローンに関する知識などが必要になります。「個客」に関する知識としては、年収(それを推定するための勤務先や職業)、年齢、家族構成、購入理由、新規か買い替えか、などが必要になるでしょう。会社同様に意思決定プロセスを見つけ出す必要もあります。例えば、ディシジョンメーカーは、ご主人ではなく奥様の方。あるいは、そのご両親。

「個客」相手の営業でも、このブログのように必要な知識を整理して調査・質問することが大切なのです。

顧客情報の収集は、顧客訪問前の大事な準備の一つです。新規顧客の場合は最初のステップであり、既存顧客であれば最新情報に更新するステップです。

必要情報および入手先の一覧を作ってみました。

必要情報は、企業業績、関連事業業績(あなたの商品と関連する事業)、中期・長期事業計画、本年度投資計画、組織図、意思決定プロセス、当該企業の課題、競合情報などです。

この表では、収集手段としてWebサイトや業界紙などを上げていますが、問題・課題など推定はできても、顧客と良好な関係を築かないと正確な情報を入手できない項目も多々あります。

新人営業の場合は、「アクセス可能な情報源から可能な限り」としましょう。特にWeb情報は確実に。訪問される側から見ると、Webに出ている内容を質問されると「勉強不足」と思ってしまいます。逆に、Webに記載されている内容を更に突っ込んで質問されると「よく調べているなぁ」となります。といっても、案件の本筋とかけ離れている内容ではだめですが。

もっとも普通の会社であれば、既存顧客や過去に売り込みをかけた顧客の情報は、データベース化されて社内に残っているはずです。それをまず学習し、不足情報を収集します。データベースにない、これから攻める顧客の場合は、かなりの調査・分析が必要になります。

いずれにしても、顧客基礎情報は、顧客の全体像を把握し、当該案件の実施の確度(本気度*)や関係者の洗い出し等に活用します。

*本気度:本当にあなたの会社から買いたいと思っているか、その度合いです。例えば、見積り依頼が来ても、意中の取引先が決まっており三社見積もりを成立させるだけの見積依頼、エンジニアが自分の好奇心で依頼した見積依頼、来年以降の予算を獲得するだけのための見積依頼などもあります。

新人営業にとっては濃すぎる内容ですが、焦らずに少しづつ積み上げていきましょう。まずは、一つ上の先輩のレベルを目指して。

では、次回、必要情報についてもう少し詳しく見てみましょう。

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新人営業の教科書 (6)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ③市場に関する知識

2024-06-01 17:38:12 | 新人営業の教科書
前回の「営業に必要な知識」の中の「商品知識」、この一週間に勉強しましたか?

自分が売ろうとしている商品に関する知識。商品の価値、強み、弱み、価格、特徴、成功事例・失敗事例など、熟知して当たり前の領域。

「目標:顧客の言っている専門用語を含めた内容が理解できる!」 でしたね。実際のところ新人が勉強するのは当たり前ですが、一週間で先輩に追いつくはずはありません、


さて、今回は「営業に必要な知識」の中の「市場に関する知識」です。





市場(マーケット)とは、製品やサービスを購入しようとしている、あるいは今後購入する見込みのある個人や組織の集まりです。 簡単に言うと「売れそうなところ」です。

大抵の場合は、明らかです。

特に生産財の場合は、用途で決まってしまいます。

私が扱っていたHDD(ハードディスクドライブ)の場合は、パソコンメーカーと外付けドライブメーカーでほぼ100%。昔、日本だけカラオケに使われたことがありましたが。

自動車の部品なら、トヨタ自動車、日産、BMWなどの自動車メーカー、自動車の修理工場、部品によってはイエローハットのような自動車用品店、DIY店も販売先になりますね。

あなたの商品の販売可能な市場はどこか考えてみましょう。

ちなみに、「商品」とは、経済活動において生産・流通・交換される物財のことです。 商品には具体例として先の自動車部品や食品、衣類などの物のほかに、法律相談や宅配便配達などのサービスや、証券などの権利、情報などが含まれます。

さて、先週、商品知識の一つとして「競合との比較」を上げました。市場を眺めてみて、あなたの商品の競合はどこでしょうか。同じ商品を提供しているA社、B社、C社。それだけでしょうか。

あなたも良く知っているマクドナルド。

マクドナルドの競争相手は誰でしょうか。

モスバーガー、フレッシュネスバーガー、バーガーキング、ウエンディーズ・・・・バーガーキングは若干、価格帯が異なるようですが、競合に入れておきましょう。

私がお気に入りの高級バーガー店(The Burger ShopやShake Shuck)は価格帯が大きく異なるので競争相手ではないですね。

ランチを想定すると、同じ価格帯で競うのは、前述のバーガーショップよりも、コンビニの弁当・おにぎり・サンドイッチや吉野家などの牛丼や富士そばなどの立ち食いそば、C&Cなどのカレー屋などになりますね。C&Cは高くなりすぎで競合ではないかも?

皆さんの商品はどうでしょう。上下左右斜め、視点を変えて市場をみてみましょう。

< ちなみに、米国ではハンバーガーやホットドッグなど栄養のバランスを欠いた調理済み食品を「ジャンクフード(junk food)」と呼んでいます。I love junk food.
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新人営業の教科書 (5)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ②商品知識

2024-05-25 21:29:00 | 新人営業の教科書
先週に続いて「営業に必要な知識」の中の商品知識です。



自分が売ろうとしている商品に関する知識です。商品の価値、強み、弱み、価格、特徴、成功事例・失敗事例など、熟知して当たり前の領域です。

まずは、ホームページやカタログに記載されている内容およびその裏付けを説明できるようになりましょう。そして競合との比較。

(これらの資料はマーケティングが作成することが多いのですが、資料がない場合は営業が開発エンジニアなどに聞いて作成し、社内研修等で知識を共有します。ただし、機密情報もあるので、どこまで開示できるか、作成した資料を冗長にみてもらうとよいでしょう。これは新人営業には早すぎますね。)

よほどぼんやりしている顧客でないかぎり、最近の顧客はネットで調べまくっていますので、ホームページに掲載されている内容は「そんなの知ってるよ」ということになり、この程度の内容では満足しない、説明を必要としない方もたくさんいます。

もちろん、顧客を上回るくらい営業は勉強すべきですが、エンジニア的な基礎力がないと難しいことも多いかと思います。やはり、技術的に難しいところは、無理をせずエンジニアに同行してもらい、説明してもらったほうが良いでしょう。その場でエンジニアが質問に応えてくれるので顧客も喜びます。エンジニアの説明を聞いているうちに、あなたの知識も「耳学問」として増えるはずです。少しばかり技術に強い営業になれます。

私の知人の奥さんに通訳業の方がいます。半導体関連企業から仕事が入ったのをきっかけに半導体の勉強を始め、半導体分野の通訳のスペシャリストになりました。年収は1千万円を超えたそうです。ちなみに、ご主人は半導体関連の装置を販売する営業ですが、半導体に関する知識の広さでは奥さんにかなわないそうです。本人の努力と「耳学問」の効用ですね。

知識の部分は、本人の努力次第でなんぼでも増やせます。まずは、手に入る情報を短期間で学習(詰め込み学習)しましょう。

目標:顧客の言っている専門用語を含めた内容が理解できる!


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新人営業の教科書 (4)- 営業に必要なスキルの体系化 - 営業に必要な知識 - ①マーケティング

2024-05-18 21:02:17 | 新人営業の教科書
2.営業に必要な知識

次は、営業スキルの真ん中の層「営業に必要な知識」です。ここでは必要な知識として次の5点あげました。



・マーケティング  
・商品知識
・市場に関する知識
・顧客と「顧客の顧客」に関する知識 
・自社に関する知識

少し詳しく見ていきましょう。

① マーケティング
学問的には営業は、マーケティングの販売促進機能の一部です。どのような会社にも必要な機能であるにも関わらず、営業学という学問領域や「営業学部」などといった学校はないのです。マーケティングに関する本を読んでも、営業そのものに関する知識にはならないかもしれませんが、市場トレンド、購買行動、マーケティング・リサーチ、製品開発、製品ライフサイクル、製品価格、販売チャネル、広告やパブリシティなど、営業戦略等を検討する際の多くの視点を与えてくれます。

コトラーの『マーケティング・マネージメント』、『コトラーのマーケティング3.0』、『コトラーのマーケティング4.0』を一読することをお薦めします。私はコトラー信奉者なので。

また、かなり古くなりますが、『新しい生産財のマーケティング』(西村務著)も生産財の営業には大いに役立ちます。特に顧客の購買行動に基づいた営業プロセスを考える参考になるでしょう。

比較的最近の本では、新人営業が読むには早すぎますが『ストーリーとしての競争戦略』(楠木建著)が興味深いです。「優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリーだ・・・・・戦略を構成する要素がからみあって、全体としてゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる」これがストーリーというものだそうで、競争戦略は「ストーリーづくり」としています。

もちろん営業戦略もストーリーづくり。トップセールスパーソンの中には、たくさんのストーリーが詰まっています。

マーケティングの本は、成功例を語ることが多く、スマートで面白いのですが、実際の営業のような泥臭さが足りない気がして物足りなさとマーケティング(という仕事)に対する羨ましさを感じます。

ちなみに、私は、エンジニアからプロダクト・マーケティング、それから営業へと変身しています。

<新卒営業は「いったいなんだこれ」という世代であろう。お父さんかお母さんに聴いてみて・・・・「へん~~しん」。勉強して最強営業に変身。>
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新人営業の教科書 (3)- 営業に必要なスキルの体系化 - 社会人基礎力

2024-05-12 10:37:19 | 新人営業の教科書
今回からは「営業に必要なスキルを体系化」の話です。

以下の資料は、営業に必要なスキルを体系化したものです。三層構造になっており、一番底の部分が社会人として備えるべき能力「社会人基礎力」、真ん中の層は、営業に必要な知識、一番上の層が営業として強化すべきスキルです。



一番下の枠から順に説明していきましょう。

1.社会人基礎力
「社会人基礎力」は2006年に「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として経済産業省から発表された概念です。その背景には、若者が学校卒業後にスムーズに職場に定着できない等の社会問題がありました。この問題の解決策として、それまで十分に意識されていなかった「職場等で求められる能力」を明確化し、意識的に育成していくこととしました。「社会人基礎力」を育成すべく授業のプログラムとして組み込んでいる高校・大学もあり、私も母校のプログラムを2年ほどお手伝いしました。

「社会人基礎力」は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と、それに伴う12の能力要素から構成されています。

「人生100年時代」のもと、2006年に発表した「社会人基礎力」はその重要性を増しており、有効です。しかし、「人生100年時代」ならではの切り口・視点が必要となっていました。

このような状況下、2017年に開催した「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力が「人生100年時代の社会人基礎力」と新たに定義されました。

社会人基礎力に関してはWebに診断プログラムが用意されていますので試してみるのもよいでしょう。監修は一般社団法人社会人基礎力診断協議会。このような団体があるとは思いませんでしたが・・・・・・

社会人基礎力診断 WEB診断| 【キャリエデュ】日経HRのキャリア教育・就職支援情報サイト (nikkeihr.co.jp)

自分が大学を卒業したとき、社会人基礎力はどうだったかと考えると、かなり劣っていたのではないかと思います。バイトはやっていたもののクラブに入るでもなく人との関りが少ない、特に、上下関係の希薄な中で過ごしたせいか、外資系企業に入社したとはいえ上司や先輩との上下関係には悩んだものでした。営業として人様の前に出るなんてことは考えられませんでした。

そんな私でもエンジニアを辞めて営業をできるようになったということは、社会に出てからも「社会人基礎力」は少しずつ身に着くということでしょう。「え~、まだまだだ力不足だよ・・・・」という声が聞こえてきこうですね。やはり「人生100年時代の社会人基礎力」として鍛え続けましょう。

でも、あまり真剣に考え悩まないように。

これらの能力を身に付けることにより、仕事がしやすく、生きやすくなるかもしれませんが、「人柄」や「人間性」という別の切り口もあります。こちらで勝負しても良いでしょう。


参考までに、「社会人基礎力」の3つの能力と12の能力要素について簡単に解説します。
<<読まなくても大丈夫です。受験勉強ではないので、まして、暗記は不要>>

① 前に踏み出す力(アクション)
「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」のこと。必要な能力要素は以下の3つです。

・主体性:物事に進んで取り組む力
・働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
・実行力:目的を設定し確実に行動する力

② 考え抜く力(シンキング)
「疑問を持ち、自ら深く考える力」のこと。備えておきたい能力要素は下記の3つです。

・課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
・創造力:新しい価値を生み出す力
・計画力:問題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力

③ チームで働く力(チームワーク)
「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」のこと。

・発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
・傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
・柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
・情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
・規律性:社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
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新人営業の教科書 (2)- 営業に必要なスキルとは?

2024-04-28 11:38:32 | 新人営業の教科書
(ハードディスクの開発)エンジニアであった私は、入社時からスキルアップを自己啓発の目標の一つにしてきました。磁気記録、論理回路設計、符号化技術、エラー訂正技術、流体力学、摩擦工学などなど学ぶべきたくさんの要素技術があり、スキルアップの方向が定まらないほどでした。

では、営業に必要なスキルは何でしょうか。ネットで検索してみると、次の資料のようにゴロゴロ出てきます。



何々「力」という項目が多いですね。ここ数年売れている書籍も『聞く力』(阿川佐和子著)、『伝える力』(池上彰著)など「力(ちから)」ブーム?

ちなみに、資料にある「因数分解力」は、例えば上司から頼まれた大雑把な仕事の指示を細かい「タスク」に分け、更に優先順位をつけ、一つ一つの仕事に集中する力だそうです。表現としては面白いですが、営業特有のスキルではないですね。

一方、「受注獲得力」は、営業に必須ですが、スキルと呼んでよいかどうかは疑問です。むしろ「受注獲得力」を因数分解して、より分かりやすい、習得可能なスキルにした方がよいでしょう。

次の資料は、これらのスキルと呼ばれているものを、名前を変えずに大きく分類したものです。「営業として強化すべき能力」と営業に関わらず「社会人基礎力に関わる力(社会人として備えるべき能力)」に分けました。「その他」には、販売する商品の知識を入れ、前の資料にはありませんでしたが「マーケティングの知識」を加えました。

「ざっくりまとめるとこうなるんだ」程度に見ていただければよいです。社会人として備えるべき能力「社会人基礎力」に関しては、「営業に必要なスキルを体系化」で説明します。



「え~、こんなに」と思うかもしれませんが、もう、ある程度備わっているスキルもあるはずです。また、この先、ひよっとしたら(しなくても)一生、営業を続けるのですから、じっくり戦略を考えて学習しましょう。実践は職場で!
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新人営業の教科書 (1)- 自分の「型」を作る!

2024-04-14 11:24:39 | 新人営業の教科書
いつも同じ時間の電車に乗って通勤していますが、4月に入るといつも見かけていた人がいなくなったり、真新しいスーツのいかにも新入社員といった出で立ちの人が増えたりします。

新入社員の方々は、新人研修や現場実習があり、しばらくは、慣れない環境でお疲れなことと思います。

配属先が営業だった人には、希望通り営業になれた人と、「えー、営業!向いてないのに」と本人の希望とは異なる営業部になって困惑している人もいるかと思います。

また、新入社員でなくとも新年度から会社の都合で営業に「異動させられた人」など様々な立場の人がいることでしょう。

私はかつて自分から希望して転職し、エンジニアから営業に「変身」しました。正確に言うと、エンジニアからマーケティングに転身し、その後、営業も行うようになりました。

<新人営業にもいろいろある>


私には営業の師匠に当たる人はいませんが、自分なりに営業を研究しました。そのとき用いた資料の一部が、このブログの一項目である「営業関連書籍」です。

エンジニアやマーケティングの研究とは異なり、学問的・科学的なアプローチで営業を研究することは容易ではありませんでした。

それでも、研究と経験を重ね、自分なりの営業手法を確立し、成果をコンスタントに出せるようになりました。

自分なりの営業手法(営業戦略を立案・実行する手法)、それは「自分の型」とも言えます。

「型」は、扱う製品やサービスにより異なる部分もありますが、「芯」になる部分は同じだと考えています。

トップセールスの頭の中には、営業としてのしっかりした考え方が出来上がっています。

それをどうやって観察し、盗み、自分のモノにし、「自分の型」を作っていくのか。それが新人営業に求められています。

「学ぶ」はもともと「真似(まね)ぶ」のことです。

よ~く先輩を観察して営業手法をまね、自分のものにし、更に良いものに仕上げましょう。

次回以降に説明することも参考にしながら、「自分の型」を作り、営業で成功してください。

もちろん、営業手法がすでに確立している会社もあるはずです。

その場合は、まずは、それを完全に吸収し、更に研究と経験を重ねて、もっと効果的なもの、どこでも通用するもの、「いつでも転職できる」くらいのレベルに仕上げてください。

どんなに良い製品・サービスがあっても、営業なしで売れるものはありません。営業は、どのような会社にも必須で、クリエイティブでやりがいのある職業です。

<「型」もいろいろあるが、自分にあった「型」を確立し勝負する!怖い顔は不要。スマイルで>



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契約は始まりに過ぎない(5) - 「顧客リレーションシップ」マネージメント成功のキー

2024-03-31 09:07:36 | ・・契約は始まりに過ぎない
「売ってさよなら」の「ない」、「できない」コンプレックスセールス。もう一度、その定義を確認してみましょう。

このコンプレックスセールスとは、以下の特徴を持つ営業です。

・高額の商談や技術的に複雑な商談
・顧客の課題の把握、解決策の紹介から受注、受注から納品に至るまで長期間、複数の商談が必要
・複数の担当者、複数の関連部門による意思決定
・意思決定は商談の場以外のところ
・納品後のフォローも重要

受注までは「理詰めの営業」を活用し、戦略的に行動しても、一旦、注文書を受け取ると営業の気持ちは別のところに行ってしまうことがあります。

営業と顧客の間の同床異夢の始まりです。

では、受注後も緊張感を維持するにはどうしたらよいでしょうか。

コンプレックスセールスの特徴を理解し、「契約は始まりにすぎない」ことを認識し、『理詰めの営業』を活用して案件を定期的に振り返ります。

そのとき顧客の微妙な変化を敏感に感じ取り、自社が解決すべき自社自身の課題と自社の利益になるチャンスを察知します。

また、顧客との依存関係が望ましい状況にあるか、顧客はどう思っているか、買い手の心理に配慮できているか、等をベースに自社の顧客リレーションシップの現状を振り返ります。

グループ営業の場合、あるいは、長期に亘る案件の場合、売上だけではなく顧客とのリレーションシップ構築の「強度」で、グループあるいは個人を評価することも必要です。

気づき、振り返り、顧客リレーションシップの強度から経営資源の割り当てを行い、顧客リレーションシップを良好にするためのコミュニケーションの確立と顧客とのコミュニケーションの習慣化が大事になります。

これにより有意義な顧客とのコンタクトが行われ、顧客リレーションシップという無形資産の増加を図ることができます。

さて、このような「顧客リレーションシップ」マネージメントをCRMシステムやSFAで後押しすることはできるでしょうか。

今のところ、私は有効なシステムを見つけ出せていません。読者の中で、適切なシステムをご存知な方がおられましたら、是非、コメントをお寄せいただければと思います。



営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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契約は始まりに過ぎない(4) - 相互依存関係深化のポイント

2024-03-24 09:00:52 | ・・契約は始まりに過ぎない
先週お知らせしたように、顧客リレーションシップという無形資産を増減させる行動で、一番懸念しているのは顧客とのコミュニケーションです。

「こちらから電話をかける」vs「顧客からの電話に折り返すのみ」とありますが、現状は
「こちらからメールする」「顧客からのメールに返信するのみ」ではないでしょうか。



実際、顧問先の協力会社(顧問先にサービスを提供する側)の営業を観察していると、メール以外のコミュニケーションが非常に少ないことが分かりました。
メールでの問い合わせには、きちんと回答してきます。しかし、言葉を交わすのは、月次定例会時の30分程度です。
しかも、質問・提案・アドバイス等はほとんどなし。

来年度の投資に対する提案など、下調べしなければならないことはたくさんあるはずですが、なにも聞いてきません。
こちらが詳細を伝えるのを待っているようです。
この協力会社を見限り他のベンダーと商談を進めていたらどうするつもりなのでしょうか。

「営業のやるべきことが分かる」-第四段階「競合分析・選定基準の明確化」で書いたようにRFPが発行された時点で、すでに顧客の意中の企業は決まっているのです。

たしかに、メールの活用によりコミュニケーションの頻度や情報量は増えています。
しかし、顧客リレーションシップの「深化の度合い」はいかがでしょうか。


いまさらですが、メールには以下のようなメリット、デメリットがあります。

・メリット
- 自分の都合で送信・受信できる
- 相手も自分の都合で確認、返信できる
- 複数の相手、社内、社外にも同時に送信できる
- 添付機能やURLを使い、多くの情報を伝えられる
- 履歴が残せる

デメリット
- 感情や思いが伝わらない
- 相手がいつ確認するかわからない
- 複雑な内容や微妙なニュアンスを伝えるのが難しい
- 送信者の意図とは違った意味合いで受け取られることがある
- 誤った情報でも履歴として記録が残る

「履歴が残る」ことをメリットとしてあげましたが、状況によってはデメリットになります。
「非公式情報」はメールでは送れません。先週書いた、下記の質問にメールで応える人はいないでしょう。

・中長期投資計画、本年度の投資計画は。
・現在の問題・課題は。
・顧客の事業は今後どのように展開していくのか。
・それが今後の購買にどう影響するか。
・競合他社はどのような製品戦略を持っているか
・競合他社の製品への満足度は。問題点は。
・我々の製品は顧客のニーズに十分応えているか
・我々の製品は顧客の課題・問題を解決しているか。
・意思決定プロセスは、キーパーソンはだれか。
・新任の事業部長の経歴や評判は。
・なぜ、A氏は我々の製品が嫌いなのか。

メールのデメリットの部分を面談等、他の方法で補っているか、顧客の期待に本当に答えているか日々、考えて行動する必要があります。
メールで事が順調に進んでいると思わないことが大切です。

コンプレックスセールスに必須の上記情報を得るためには、相互依存関係の深化が必須です。
その上で適切なコミュニケーション手段の選択が必要です。

相互依存関係深化のためには、下記の3点を日々、顧みることが肝要です。

・どの顧客と接点があるかではなく、個々の顧客からどう思われているか。

「担当エンジニアも課長も部長も事業部長もその上の役員も社長も知っている」ことはすばらしいことですが、
その人たちにどう思われているか考えて見ましょう。「頼りになる営業」と思われているでしょうか。

・売り手と買い手は、どれくらい依存しあっているか、あるいは、依存しあっていると感じているか。

あなたが依存していなければ顧客も依存していないかもしれません。
いやいや「彼女は俺にべたぼれ」とうぬぼれて振られたことはありませんか。
自分の製品がないと顧客がどれだけ困るか具体的に考えてみましょう。顧客の選択肢は?

・売り手が買い手個人をどれだけ知っているか、買い手の心理に配慮できているか。

手始めに『理詰めの営業』の「関係顧客分析」を埋めてみましょう。
この段階でつまずいているようでは、顧客リレーションシップの構築がまだできていないというしかないです。

深いリレーションシップを築けるかどうかは売り手次第です。
営業だけでなく、開発、製造、サービスのエンジニアにも参加してもらい、複数の人的な依存関係の構築、マルチチャネルの情報収集を行いましょう。





営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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