(米) 私立学校に転校する生徒の授業料を公的費用=公立学校予算から支給するいわゆるバウチャースクールの法案にアリゾナ州知事が署名した。従来は障がいを持つ生徒や学力格差を抱えた生徒に限定されていたが一般生徒にも拡大される。民主党員や教員組合は反対しているが、バウチャー制度に前向きなトランプ政権の誕生に後押しされている。
( NYT 2017. 4. 7 )
(米) トランプ政権の新教育長官ベッツィ・デボス女史がワシントンの全女子チャータースクールやラップ音楽家ピットビルが創設したマイアミのチャータースクールなどを訪問した。デボス女史はフロリダ州を学校選択のモデル州として評価している。
( NYT 2017. 4. 6 )
(英) 学期中に子どもを無断で旅行に連れ出し学校を休ませる親に罰金を課すのは合憲なのか、最高裁は親を敗訴とした。敗訴した親は、判決は親の権利を奪うものだとして批判、一方テレサ・メイ首相は各学校の裁量の問題としている。
( BBC 2017. 4. 6 )
(英) 英国の初等学校では1-3学年が無料給食であるが、これを全学年に拡大する必要を労働党党首ジェレミー・コルビン氏が主張。財源は、私立学校授業料に付加価値税を課すことにより捻出することとしている。私学の慈善団体的性格がその理由。
( BBC 2017. 4. 6 )
(米) 「全生徒学力向上法」に基づきオバマ政権時に制定された関連法がトランプ政権により廃止されたことにより、「高等学校卒業率」の定義が緩やかになり、5~6年をかけて卒業した者や高卒認定試験により卒業資格を得たものまでがその対象に含まれることになった。これは、高校卒業率を引き上げるという各州の責任があいまいになることを意味する。
( EDweek 2017. 4. 4 )
(米) 「全生徒学力向上法」の実施のために各州の関係当局は実施計画を策定し連邦政府や州知事に提出することが求められている。チェックポイントして1)長期・短期の目標、2)学力の指標と学校評価におけるその位置づけ、3)生徒の成功や学校の質を示す指標、4)学校評価を親や地域関係者に知らせる方法、5)統一テストの実施や不実施に関する取り組み、6)学校改善に向けての州としての取り組み、などがある。
( EDweek 2017. 4. 4 )
(米) トランプ政権が提案している予算削減措置の中で「タイトルⅡ」と呼ばれるものは、教育の質向上に関するものであるが、「目標が不明確で効果についての証拠が少なくバラマキ」であるという大統領府の説明に教育関係者が反発している。
( EDweek 2017. 4. 3 )
(米) 性転換者の学校での取り扱いに関してトランプ政権は、それを各州や各州内の地方自治体の問題とし連邦政府としての決定を避けたが、この問題についての賛否両派の主張が対立する中で個々の性転換生徒は不安定な状況に置かれている。
( EDweek 2017. 4. 2 )
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〇モロッコの蛇使い https://www.youtube.com/watch?v=mekYbAcSbx4
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= 特別企画 (2017. 4. 12版)=
=学校におけるいじめ対策の効果 =
〇 次の表は英国(主としてウェールズ地区)でいじめ対策のキバプログラムを実施した学校において実施前と実施後でいじめ被害生徒と加害生徒の数がどのように変化したかを示している。
(A Large-Scale Evaluation of the KiVa Antibullying Program: Grades 4-6)」(「子どもの発達(Child Development)」2011年1・2月号所収)
学校番号 |
試行前 |
|
施行後 |
|
|
被害者(%) |
加害者(%) |
被害者(%) |
加害者(%) |
1 |
20 |
5 |
3 |
3 |
2 |
35 |
16 |
18 |
3 |
3 |
8 |
0 |
0 |
0 |
4 |
8 |
4 |
8 |
0 |
5 |
4 |
16 |
8 |
0 |
6 |
8 |
4 |
0 |
4 |
7 |
25 |
9 |
13 |
4 |
8 |
8 |
7 |
0 |
0 |
9 |
22 |
10 |
3 |
6 |
11 |
31 |
19 |
8 |
0 |
12 |
17 |
18 |
6 |
0 |
13 |
6 |
10 |
0 |
0 |
15 |
11 |
14 |
11 |
2 |
(実験的試行としてキバプログラムによる訓練等を受けた生徒数は17校の748人であるが、その内有効データが得られたのは13校合計で試行前473人、施行後472人であり、本表の「被害者」はそのうちいじめを受けていると答えた者の割合、「加害者」はいじめをしていると答えた者の割合を示す。)
このように、いじめ防止対策として有効とされるキバプログラムでさえ、その効果は一定ではない。平均的にはいじめは40%減少するといわれるが、その方法によってはそれだけの効果が上がらない場合もあるし、逆にそれ以上の効果を上げる場合もある。個別の学校での導入の方法に大きく左右されるが、国境を越えていじめ対策の効果を考える場合には国による学校制度の違い、教員の質の違いなども考慮する必要がある。
〇 学校でいじめ防止対策が有効に機能するためには一般に次の事項が着実に履行される必要があるとされる。(米国のいじめ防止サイト https://nobulling.com より)
1 いじめの察知
2 瑣末に思えるいじめも軽視しない
3 迅速な関与
4 被害生徒との秘密裡の接触といじめ状況の明確な把握
5 把握した事実に基づく調査といじめの重大性についての関係者の認識喚起
6 傍観者の責任の重大性についての教育指導
7 いじめ対応に必要な教職員の訓練
8 加害者・被害者に対する専門的カウンセリング、 親や地域指導者との連携
〇 日本ではいじめ対策防止法が期待された成果を上げていないこともありその見直しが進められているところであるが、子どもが安全、安心に学校生活を送ることは学力の向上を図ることと同様にあるいはそれ以上に重視されなければならない。学校制度自体に問題はないのか、そのような観点も見逃されてはならないだろう。見直しの行方が注目される。
(以上)
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