
今回の記事は『ダークナイト ライジング』(2012年、監督:クリストファー・ノーラン)です。
クリストファー・ノーラン監督の新生バットマンシリーズの三作目にしてその完結編。
■内容紹介 ※goo映画より
ジョーカーとの戦いから8年、バットマンはゴッサム・シティーから姿を消し、ブルース・ウェインは隠遁生活を送っていた。
そんな彼の家にセリーナ・カイルという女性が忍び込み、彼の指紋を盗み出す。
彼女に盗みを依頼した組織が何か大きな計画を立てていると気付いたブルースは、再びバットマンのコスチュームに袖を通す。
その頃、不気味なマスクをつけたベインという男が、ゴッサム・シティーの地下で大規模テロを計画していた…。
伝説が、壮絶に、終わる。



■感想
クリストファー・ノーラン監督の新生バットマンシリーズ、ダークナイト三部作の完結編。
前作『ダークナイト』はリアルで重厚な世界観で正義と悪を巡る根源的なテーマを描いた名作として世界から賞賛された。
またバットマンの宿敵ジョーカーを圧倒的な役作りで演じた名優ヒース・ロジャーの死も世界中に衝撃を与えた。
『ダークナイト ライジング』はその『ダークナイト』の続編にあたる作品です。
いかにも映画を観たという満足感に浸れる重厚な作品だった。
アメコミ原作の物語をここまでリアルで重厚な空気に満たされた映画に仕上げることができるとはさすがクリストファー・ノーランだと思った。
この映画が持つ重苦しいまでの空気感は明らかに他の映画とは一線を画している。
後々物語を思い返してみると「そんな無茶な!」と思える点は実はけっこうあったりもします。
例えばベインの監獄とか。命綱が何故か存在するのだから、工夫次第では脱出可能なのではとか思ってしまう。
そんな監獄から脱出したブルースを目の当たりにして驚愕するベインの図にも若干の無理がある。
あと核爆弾を積んだ車が街を常に走り回っているとかよくよく考えるとかなりの荒唐無稽な設定な気がしてならない。特定はしづらいのかもしれないけど、守ることを考えたのならむしろマイナスなんじゃないかとすら思えてくる。だってあれだと守備要員が車の同乗者ぐらいに限られちゃいません?なんてナンセンスなツッコミが浮かんだりする。
けど鑑賞中にはそんな不自然さは微塵も感じることなくクライマックスまでずっと釘付けだった。この辺りは張り詰めた重厚な空気感で満たされた演出の上手さが成せる技なのかもしれない。
低音で響く映画の音楽(要所で流れるダンダンダンッ…ってやつ)は心音の高鳴りをすこぶる刺激する。この演出の巧さはさすがだなと思う。
バットマンの想像以上の渋さと低い声にもやられます。確かにそこらのアメコミヒーローとは全く異質の存在に感じます。
クライマックスは感動的でした。確かに伝説は壮絶に終わった。誰の心にも残るヒーローの姿と忘れられない傷跡を残して。
アン・ハサウェイ演じるキャットウーマンの注目度が高かったですが、地味ながら堅苦しいまでの正義感と真面目さがとても魅力的だったブレイク刑事が個人的にはすごく好きだ。
最後に橋を渡ろうとするシーンは彼の勇敢さと本心からくる正義感を強く感じた。それだけにあの命令準拠な隊員の行動に彼が感じた憤りはすごく大きく、対照的に規則に縛られず自らの正義を行使するダークナイトの姿は鮮烈に刻まれたことだろう。
そしてラストカットの演出も憎い。
ネタバレになるので多くは書きませんが、このシーンがある未来の予感を脳裏にはっきりと浮かばせてくれる。
僕はバットマンの物語をあまり詳しくは知りませんが、彼が○○だということは容易に想像がつく。
その正体も含め、この驚きは何だか嬉しかった。
■登場人物ちょいメモ
・ブルース・ウェイン/ダークナイト=バットマン(クリスチャン・ベイル)
…前作『ダークナイト』でジョーカーとの死闘を演じた後、英雄的検事デントの罪を一身に被り8年もの間、隠遁生活を送っていた。今回8年ぶりに表舞台へと出てくるのだが、そのブランクを感じさせない強さと人々の記憶から全く薄れていない存在感はさすがだ。
バットマンのシルエットは遠目から見るとコウモリというより猫っぽくて可愛いのだけど、アップで見ると想像以上の渋さを誇る強面ヒーロー。
・セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)
…猫耳(猫耳言うな)というずいぶん可愛らしいコスチュームに身を包んだ女泥棒。アン・ハサウェイ演じるキャットウーマン役として暗黙の内に認知されていますが、実は作中でセリーナ自身がキャットウーマンだと名乗るシーンは1度もない。
詳細は不明だが作中で暗い過去が示唆されており、その犯罪歴を抹消する特殊なソフトウェアを探し求めている。
・ベイン(トム・ハーディ)
…最悪のテロリスト。見た目のインパクトからは脳筋のようなイメージを放っているが、実は理性的な行動をするキャラで、大衆を煽動する演説にも長ける。ものすごく喋りにくそうだが声がこもるということはない。
また致命的な弱点を抱えており、最終決戦でバットマンにそれを的確に突かれている。(涙目)
・ジェームズ・ゴードン市警本部長(ゲイリー・オールドマン)
…8年前のデント検事の闇とダークナイトの真実を知る警察関係者。ただし彼はダークナイトの正体自体は知らない。
いきなり病院に入院するというアクシデントに見舞われるが、今作ではかなり見せ場が多く活躍する。
ブレイク刑事とのコンビもちょっと見たかったけどね。
・ジョン・ブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)
…熱い精神と生真面目な正義感を持ち合わせた若い刑事。ダークナイト事件で犯罪者として糾弾されたバットマンを擁護する理解者である一方で、正体をマスクで隠して戦うバットマンを非難する。今作においては全編で地味に活躍する。
・アルフレッド(マイケル・ケイン)
…バットマン=ブルース・ウェインを支える執事。8年ぶりにバットマンとして戦いに赴こうとするブルースを親心から制止し衝突してしまう。まさか自分が出ていっている間にこんな事態になってしまうだなんて思ってもいなかったのだろうなぁ。
・ミランダ・テイト(マリオン・コティヤール)
…ウェイン財団の重役で、ブルースに未来のエネルギー源としての可能性を持つ核融合炉の後を託されるほどの信頼を勝ち得ている女性。それだけの人物だと思っているとそれだけでは終わらない物語後半における超キーパーソンだったりするので驚かされる。その正体を正確に見破れた人は絶対にいない。
・ルーシャス・フォックス(モーガン・フリーマン)
…フォックス社社長。バットマンに武器兵器を提供する。出番は少ないがモーガン・フリーマンが演じているためその存在感たるや抜群。
・ラーズ・アル・グール(リーアム・ニーソン)
…1作目のビギンズを観ていないのでよく分からなかった謎の人物。謎のテロ組織・影の同盟の首領だったらしく、何故かブルースとも謎の師弟関係があったらしい謎のカリスマ。
・そしてもう一人
…バットマンの有名な登場人物。その正体はネタバレになるので書かないが、勘の良い人なら分かってしまうのかもしれない。
この人物の登場が重苦しい映画にそっと明るい希望の予感を添えている。
■予告編
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒ダークナイト ライジング - goo 映画
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クリストファー・ノーラン監督の新生バットマンシリーズの三作目にしてその完結編。
■内容紹介 ※goo映画より
ジョーカーとの戦いから8年、バットマンはゴッサム・シティーから姿を消し、ブルース・ウェインは隠遁生活を送っていた。
そんな彼の家にセリーナ・カイルという女性が忍び込み、彼の指紋を盗み出す。
彼女に盗みを依頼した組織が何か大きな計画を立てていると気付いたブルースは、再びバットマンのコスチュームに袖を通す。
その頃、不気味なマスクをつけたベインという男が、ゴッサム・シティーの地下で大規模テロを計画していた…。
伝説が、壮絶に、終わる。



■感想
クリストファー・ノーラン監督の新生バットマンシリーズ、ダークナイト三部作の完結編。
前作『ダークナイト』はリアルで重厚な世界観で正義と悪を巡る根源的なテーマを描いた名作として世界から賞賛された。
またバットマンの宿敵ジョーカーを圧倒的な役作りで演じた名優ヒース・ロジャーの死も世界中に衝撃を与えた。
『ダークナイト ライジング』はその『ダークナイト』の続編にあたる作品です。
いかにも映画を観たという満足感に浸れる重厚な作品だった。
アメコミ原作の物語をここまでリアルで重厚な空気に満たされた映画に仕上げることができるとはさすがクリストファー・ノーランだと思った。
この映画が持つ重苦しいまでの空気感は明らかに他の映画とは一線を画している。
後々物語を思い返してみると「そんな無茶な!」と思える点は実はけっこうあったりもします。
例えばベインの監獄とか。命綱が何故か存在するのだから、工夫次第では脱出可能なのではとか思ってしまう。
そんな監獄から脱出したブルースを目の当たりにして驚愕するベインの図にも若干の無理がある。
あと核爆弾を積んだ車が街を常に走り回っているとかよくよく考えるとかなりの荒唐無稽な設定な気がしてならない。特定はしづらいのかもしれないけど、守ることを考えたのならむしろマイナスなんじゃないかとすら思えてくる。だってあれだと守備要員が車の同乗者ぐらいに限られちゃいません?なんてナンセンスなツッコミが浮かんだりする。
けど鑑賞中にはそんな不自然さは微塵も感じることなくクライマックスまでずっと釘付けだった。この辺りは張り詰めた重厚な空気感で満たされた演出の上手さが成せる技なのかもしれない。
低音で響く映画の音楽(要所で流れるダンダンダンッ…ってやつ)は心音の高鳴りをすこぶる刺激する。この演出の巧さはさすがだなと思う。
バットマンの想像以上の渋さと低い声にもやられます。確かにそこらのアメコミヒーローとは全く異質の存在に感じます。
クライマックスは感動的でした。確かに伝説は壮絶に終わった。誰の心にも残るヒーローの姿と忘れられない傷跡を残して。
アン・ハサウェイ演じるキャットウーマンの注目度が高かったですが、地味ながら堅苦しいまでの正義感と真面目さがとても魅力的だったブレイク刑事が個人的にはすごく好きだ。
最後に橋を渡ろうとするシーンは彼の勇敢さと本心からくる正義感を強く感じた。それだけにあの命令準拠な隊員の行動に彼が感じた憤りはすごく大きく、対照的に規則に縛られず自らの正義を行使するダークナイトの姿は鮮烈に刻まれたことだろう。
そしてラストカットの演出も憎い。
ネタバレになるので多くは書きませんが、このシーンがある未来の予感を脳裏にはっきりと浮かばせてくれる。
僕はバットマンの物語をあまり詳しくは知りませんが、彼が○○だということは容易に想像がつく。
その正体も含め、この驚きは何だか嬉しかった。
■登場人物ちょいメモ
・ブルース・ウェイン/ダークナイト=バットマン(クリスチャン・ベイル)
…前作『ダークナイト』でジョーカーとの死闘を演じた後、英雄的検事デントの罪を一身に被り8年もの間、隠遁生活を送っていた。今回8年ぶりに表舞台へと出てくるのだが、そのブランクを感じさせない強さと人々の記憶から全く薄れていない存在感はさすがだ。
バットマンのシルエットは遠目から見るとコウモリというより猫っぽくて可愛いのだけど、アップで見ると想像以上の渋さを誇る強面ヒーロー。
・セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)
…猫耳(猫耳言うな)というずいぶん可愛らしいコスチュームに身を包んだ女泥棒。アン・ハサウェイ演じるキャットウーマン役として暗黙の内に認知されていますが、実は作中でセリーナ自身がキャットウーマンだと名乗るシーンは1度もない。
詳細は不明だが作中で暗い過去が示唆されており、その犯罪歴を抹消する特殊なソフトウェアを探し求めている。
・ベイン(トム・ハーディ)
…最悪のテロリスト。見た目のインパクトからは脳筋のようなイメージを放っているが、実は理性的な行動をするキャラで、大衆を煽動する演説にも長ける。ものすごく喋りにくそうだが声がこもるということはない。
また致命的な弱点を抱えており、最終決戦でバットマンにそれを的確に突かれている。(涙目)
・ジェームズ・ゴードン市警本部長(ゲイリー・オールドマン)
…8年前のデント検事の闇とダークナイトの真実を知る警察関係者。ただし彼はダークナイトの正体自体は知らない。
いきなり病院に入院するというアクシデントに見舞われるが、今作ではかなり見せ場が多く活躍する。
ブレイク刑事とのコンビもちょっと見たかったけどね。
・ジョン・ブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)
…熱い精神と生真面目な正義感を持ち合わせた若い刑事。ダークナイト事件で犯罪者として糾弾されたバットマンを擁護する理解者である一方で、正体をマスクで隠して戦うバットマンを非難する。今作においては全編で地味に活躍する。
・アルフレッド(マイケル・ケイン)
…バットマン=ブルース・ウェインを支える執事。8年ぶりにバットマンとして戦いに赴こうとするブルースを親心から制止し衝突してしまう。まさか自分が出ていっている間にこんな事態になってしまうだなんて思ってもいなかったのだろうなぁ。
・ミランダ・テイト(マリオン・コティヤール)
…ウェイン財団の重役で、ブルースに未来のエネルギー源としての可能性を持つ核融合炉の後を託されるほどの信頼を勝ち得ている女性。それだけの人物だと思っているとそれだけでは終わらない物語後半における超キーパーソンだったりするので驚かされる。その正体を正確に見破れた人は絶対にいない。
・ルーシャス・フォックス(モーガン・フリーマン)
…フォックス社社長。バットマンに武器兵器を提供する。出番は少ないがモーガン・フリーマンが演じているためその存在感たるや抜群。
・ラーズ・アル・グール(リーアム・ニーソン)
…1作目のビギンズを観ていないのでよく分からなかった謎の人物。謎のテロ組織・影の同盟の首領だったらしく、何故かブルースとも謎の師弟関係があったらしい謎のカリスマ。
・そしてもう一人
…バットマンの有名な登場人物。その正体はネタバレになるので書かないが、勘の良い人なら分かってしまうのかもしれない。
この人物の登場が重苦しい映画にそっと明るい希望の予感を添えている。
■予告編
![]() | |
---|---|
題名 | ダークナイト ライジング |
製作年/製作国 | 2012年/アメリカ |
ジャンル | アクション/サスペンス/犯罪 |
監督 | クリストファー・ノーラン |
出演者 | クリスチャン・ベイル マイケル・ケイン ゲイリー・オールドマン アン・ハサウェイ トム・ハーディ マリオン・コティヤール ジョセフ・ゴードン=レヴィット モーガン・フリーマン マシュー・モディーン アロン・モニ・アブトゥブール ベン・メンデルソーン バーン・ゴーマン ジョシュ・スチュワート ジュノー・テンプル ジョン・ノーラン ネスター・カーボネル キリアン・マーフィ リーアム・ニーソン ジョシュ・ペンス、他 |
メモ・特記 | ![]() |
おすすめ度 | ★★★★ |
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前作の終わり方が、終わりだっただけに、今作のラストは、気に入りました。
それぞれに、明日(未来)がある感じがして、三部作のラストにふさわしかったのではないでしょうか。