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友だちのうちはどこ?(映画)

2011-11-13 22:38:00 | 映画
今回の記事は『友だちのうちはどこ?』(1987年、監督:アッバス・キアロスタミ)です。
友達のノートを間違えて持って帰ってしまった少年がノートを返すために友達の家へ向かう。そんな何でもないストーリーを素朴でどこか懐かしさを感じる描写で描いたイラン映画。
アッバス・キアロスタミ監督の「ジグザグ道三部作」の第1作に当たり、世界的に大変評価の高い映画です。
第2回午前十時の映画祭上映作品。

■内容紹介 ※午前十時の映画祭ウェブサイトより
授業中のある小学校。
モハマッド少年(A・アハマッドプール)は、宿題をノートに書かずに叱られていた。
授業が終わり、モハマッドは駆け出すが、転んで怪我をしてしまう。
隣の席の少年アハマッド(B・アハマッドプール)はその手当てをしてやるのだが、その際にモハマッドのノートを間違えて持ち帰ってしまう。
あわてたアハマッドは、モハマッドにノートを返すため、彼の家を目指して外出するが……。

荒涼としたイランの大地に、友情の小さな花が咲く。

友だちのうちはどこ?

友だちのうちはどこ?


■感想
この映画はイランの映画です。イラン映画って初めて観ました。

映画で描かれているストーリーは至極単純で、友だちのノートを誤って持って帰ってしまった少年がノートを返す為に友だちの家を探し回るだけの映画である。
道中いろんな大人や老人達にはぐらかされたりする展開が交えられてはいるものの、これといったストーリープロットは無くドラマ性というものは皆無と言っていいぐらいの映画に思える。
しかし巧みな演出でまったく飽きることなく観せる脅威の傑作だ。
…というのがこの映画の一般的な評価なのですが、僕はけっこう退屈に感じた。

素朴で自然でリアルに少年の心理描写がなされた名作なのだとは思う。
けど心に訴えかけるものは特に感じなかった。
そしてやはりプロットが巧みに練られた映画と比べてしまうと面白さというものはどうしても薄い。
こうした何でもないストーリーの映画からその良さを見い出せない僕は映画ファンのレベルとしてはまだまだなのだろうなぁという自覚はあります。
(蛇足。最近知ったのですが「ストーリー」と「プロット」は区別されるものなのだそうです。簡単に言うと「ストーリー」とは単純に出来事を順を追って書いたものであり、「プロット」はストーリーをより面白くみせるために構成したもの。
例えば「妻が重い病気になった。夫は毎日泣き暮らすようになった」はストーリー、「夫は毎日泣き暮らすようになった。理由がわからなかったが、妻が重い病気になったからだとわかった」はプロット。
参考:wikipedia。「へぇー」って思います。)

観ていて印象的に感じたのが映画で描かれている大人と子供の絶望的な力関係の差です。
大人たちは子供の言い分には耳を貸さず、自分の価値観やら言い分を子供にとにかく押し付けているのだ。
この関係は絶対的であり決して崩れることはない。
近年の子供の意見にもしっかりと耳を傾けるのを良しとする風潮に慣れていると、これってかなり理不尽なように感じてしまう。
けれどこういう厳しい境遇を経るからこそ、子ども達は賢く打たれ強い大人へと成長していくのかもしれない。
ただ今の日本でこんなことになったら「ああ虐待だ、人権無視だ」とそうとう騒がれそう。

世界中で賞賛されているジグザグ道をアハマッド少年が上り下りするシーンは良かった。
このシーンになるとカメラは遠目から少年がジグザグ道を走る様子を映す絵柄に変わります。
思い通りに事が進まず時間だけが過ぎていく少年の不安や苛立ちとは対照的に、何ともゆったりした気持ちにさせられてしまいます。これは上手い演出だなと思った。

ちなみに、この映画に出演している子供たちは演技馴れした子役たちではなく、ある小さな村の子供たちをそのまま起用し特別な演技指導も行っていないとのことです。これには驚いてしまいます。

映画データ 
題名 友だちのうちはどこ? 
製作年/製作国 1987年/イラン 
ジャンル ドラマ 
監督 アッバス・キアロスタミ 
出演者 ババク・アハマッドプール
アハマッド・アハマッドプール
ゴダバクシュ・デファイエ
イラン・オタリ
ラフィア・ディファイ、他 
メモ・特記 第2回午前十時の映画祭上映作品 
おすすめ度★★★☆
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)※午前十時の映画祭特設ページです。
+友だちのうちはどこ? - goo 映画

+⇒第2回午前十時の映画祭レビュー記事一覧

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