今回の記事は『すべてがFになる』(森博嗣、講談社文庫)です。
初めて読んだ作家さんなのですが、確かに理系作家さんかも。作風も内容も。
とは言っても、難解でとっつき難いわけではなく楽しく読めました。
■内容紹介 ※裏表紙より
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離されて生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがだ・しき)。
彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。
偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわ・そうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのその・もえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。
新しい形の本格ミステリィ登場。
■感想
理系出身作家さんというと真っ先に思いつくのは東野圭吾さんなのですが、森博嗣さんも理系畑の作家さんです。
というより、現役の工学博士でもあるらしく、すごい人です。
この『すべてがFになる』を読んで感じる印象もどこか今までとは何か違うものがありました。
序文がいきなりオブジェクト指向の考え方の引用文章だし、作品中にも情報系の用語がけっこう出てきます。
「UNIXを介してFTPする 云々…」など。
それに、登場人物がほぼ100パーセント理系なんていう小説は初めて読んだように思います。
トリックもいかにも理系です。
でも堅苦しかったり、難解だったりというわけではなく、読みやすく面白かったです。
『すべてが~』はS&Mシリーズの第1作に当たる作品で、犀川創平と西之園萌絵の二人が主人公。(どちらかと言うと犀川先生がメイン主人公です)
物語もこの二人の視点で展開していきます。
理科系の先生と生徒ということだけあって、この二人、考え方が超理系です。
行動にも話すことにも、しっかりと論理を根底に据えています。
犀川先生はクールなナイスガイ。
取り乱すことはほとんどなく、淡々としていますが、優しい人柄がにじみ出ていてすごく魅力的。
理想的な大人な男性ってこんなだろうなぁ、というのを体言したような人です。
頭もいいし、羨ましい限りです。(←いつのまにか妬みに…)
西之園萌絵は世間外れなお嬢様。
キャンプ場に日傘を持ってきたり、チョコは噛んだりするものではないと言い張ってたりと、どこかズレてます。
おっとりとしているようで頭の回転は速く、芯もしっかりしています。
で、お約束のごとく犀川先生に気があります。
で、これもお約束のごとく犀川先生はそれには気づいていないと。
この性格の対照的な二人が実にナイスコンビで、とっても楽しい。
S&Mシリーズは全部読みたくなってきます。
ラストにはあっと驚く真相が用意されています。
どこか悲しい真相ではあるのですが、当の本人は歯牙にも掛けていない。
心が死んだというのではないし、冷酷というのとも違う。
全てを超越した境地とはこういうものなのだろうか。
僕には少々分からない。
読後感は今まで読んだどの小説とも何だか違う。
新しい形の本格ミステリーというのも納得の1冊でした。
←ランキング参加中。よろしかったらクリックお願いします。
初めて読んだ作家さんなのですが、確かに理系作家さんかも。作風も内容も。
とは言っても、難解でとっつき難いわけではなく楽しく読めました。
■内容紹介 ※裏表紙より
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離されて生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがだ・しき)。
彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。
偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわ・そうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのその・もえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。
新しい形の本格ミステリィ登場。
■感想
理系出身作家さんというと真っ先に思いつくのは東野圭吾さんなのですが、森博嗣さんも理系畑の作家さんです。
というより、現役の工学博士でもあるらしく、すごい人です。
この『すべてがFになる』を読んで感じる印象もどこか今までとは何か違うものがありました。
序文がいきなりオブジェクト指向の考え方の引用文章だし、作品中にも情報系の用語がけっこう出てきます。
「UNIXを介してFTPする 云々…」など。
それに、登場人物がほぼ100パーセント理系なんていう小説は初めて読んだように思います。
トリックもいかにも理系です。
でも堅苦しかったり、難解だったりというわけではなく、読みやすく面白かったです。
『すべてが~』はS&Mシリーズの第1作に当たる作品で、犀川創平と西之園萌絵の二人が主人公。(どちらかと言うと犀川先生がメイン主人公です)
物語もこの二人の視点で展開していきます。
理科系の先生と生徒ということだけあって、この二人、考え方が超理系です。
行動にも話すことにも、しっかりと論理を根底に据えています。
犀川先生はクールなナイスガイ。
取り乱すことはほとんどなく、淡々としていますが、優しい人柄がにじみ出ていてすごく魅力的。
理想的な大人な男性ってこんなだろうなぁ、というのを体言したような人です。
頭もいいし、羨ましい限りです。(←いつのまにか妬みに…)
西之園萌絵は世間外れなお嬢様。
キャンプ場に日傘を持ってきたり、チョコは噛んだりするものではないと言い張ってたりと、どこかズレてます。
おっとりとしているようで頭の回転は速く、芯もしっかりしています。
で、お約束のごとく犀川先生に気があります。
で、これもお約束のごとく犀川先生はそれには気づいていないと。
この性格の対照的な二人が実にナイスコンビで、とっても楽しい。
S&Mシリーズは全部読みたくなってきます。
ラストにはあっと驚く真相が用意されています。
どこか悲しい真相ではあるのですが、当の本人は歯牙にも掛けていない。
心が死んだというのではないし、冷酷というのとも違う。
全てを超越した境地とはこういうものなのだろうか。
僕には少々分からない。
読後感は今まで読んだどの小説とも何だか違う。
新しい形の本格ミステリーというのも納得の1冊でした。
書名 | :すべてがFになる |
著者 | :森博嗣 |
ジャンル | :小説(ミステリー) |
メモ | :第1回メフィスト賞(1996年)受賞作 :S&Mシリーズ第1作 |
おすすめ度 | :★★★★ |
←ランキング参加中。よろしかったらクリックお願いします。
私は確実に文系なんで
読んで理解できるか不安ですが
ご紹介文読んだら、読みたくなりました
東野 圭吾さんの「ガリレオ」シリーズに
近いものがあるのでしょうか
僕はガリレオシリーズは読んだことないので、明言はできませんが、おそらく近いものはあるんじゃないかと思います。主人公はどちらも助教授の先生ですし。
でも作品から感じる雰囲気はだいぶ違うんじゃないかなと思います。(←何を根拠に言ってるのか全く不明)
「すべてがF~」は、僕でも理解できたくらいなので、きっと誰が読んでも大丈夫なはずです。
こちらにもトラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
はい。トラックバックさせてもらいます。