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ゆび/柴田よしき(小説)

2008-07-15 23:46:10 | 読書
今回の記事は『ゆび』(柴田よしき、祥伝社文庫)です。
突如指が現れ、人を襲い始める。そんな内容の長編ホラーです。

■内容紹介 ※裏表紙より
エレベーターのRボタンを押しためらう飛び降り自殺志願者。
混み合うデパートの非常ベルを見つめる主婦。
彼らの目前に突然、“指”が現れた。
まるでためらう気持ちに踏ん切りをつけさせるかのように。
そして、指はボタンを押す――。

東京各地に指が出現する事件が続発。
幻なのかトリックなのか?
やがて指は大量殺人を目論みだした。
不条理な恐怖があなたを襲う!


■感想
この小説は10年近く前に発売されたもので、かなり古い小説です。
某書店でほこりを被っていた本で、どうしてこの本を買ったのか。
以前にもというホラー小説を読んだこともあり、もしかして指フェチなのか? 僕は?
なんて冗談はさておき、僕が指のホラーに興味を持つ原因には思い当たる節があります。
それは、というゲームに収録されていた「シュレディンガーの指」というホラーが鮮烈に頭に残っていたからだと思います。
いまだに影響を受けているこのゲーム、やっぱりすごいな。
(ちなみにシュレディンガーの指の主演を演じていたのは、あのダンカンさんです。何気にすごい)

それでは、メインの小説の感想です。

この小説には「指」が出てきます。
この「指」というのは、ひとさし指だけの謎の存在。
最初、「指」は思いとどまる人の変わりにボタンを押す程度のことしかしません。
ただ、「指」がボタンを押したせいで、人は自殺したり事故が起こったりと、「指」の行動には悪意が感じられます。
そんな「指」の行動は段々とエスカレートしていき、人を襲うようになっていきます。そして、終いには…。

小説の終盤は、もうとんでもない展開になっています。
ホラーの枠を完全に逸脱している。
こんなことになるなんて、思いもよらないし、少々ずるい。
けれど、面白い小説だったとは思います。
そこそこ長い小説(420ページ)なのですが、あっという間に読み終わりました。

主な登場人物は、求職中の上村と記者の旭。
この二人の視点と、指に惑わされる人の視点で物語は進行していきます。
ホラー、ミステリー、果てはSFまで感じさせる内容は、読ませる内容です。
落ち着いた印象の上村は、とことん誠実で、優しく、かなり好印象。
登場人物が魅了的な小説はやはり面白い。
後半、そんな上村もサイコに苦しみます。

この『ゆび』には続編があり、『ゼロ』という小説に続いていきます。
もう『ゼロ』も読み終わっているんですが、こちらの方は『ゆび』を越えるとんでもなさ。
もうここまで来るとホラーとは呼べないのでは? という内容。

柴田よしきさん。『ゆび』で初めて読んだ作家さんですが、とんでもない小説を書く方のようです。


書名ゆび
著者:柴田よしき
ジャンル:小説(ホラー)
メモ:続編に『ゼロ』
おすすめ度★★★★


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