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幸せへのキセキ(映画)

2013-01-27 19:20:00 | 映画
今回の記事は『幸せへのキセキ』(2011年、監督:キャメロン・クロウ)です。
妻の死から立ち直れずにいた主人公が、心機一転とばかり動物園付きの邸宅に引っ越し、飼育スタッフたちと力を合わせて困難な動物園の再建に奮闘するとともに、悲しみを乗り越えて子どもたちとの絆を取り戻していく姿を描いた、感動の実話ヒューマン・ドラマ。
主演はマット・デイモン、共演にスカーレット・ヨハンソン、トーマス・ヘイデン・チャーチ、エル・ファニング。
地味に良い映画ですよ、地味に。

■内容紹介 ※goo映画より
LAの新聞社に勤めるコラムニストのベンジャミンは、半年前に最愛の妻を亡くし、14歳の長男ディランと7歳の娘ロージーの子育てに追われている。
反抗期で問題を起こし退学になったディラン。そして自分も衝動的に会社を辞めてしまい、ベンジャミンは心機一転のため、郊外に引っ越すことにする。
“理想の家”を見つけたベンジャミンだが、その購入条件は「動物園」のオーナーになることだった。

最愛の人の死から立ち直ろうとする家族の<軌跡>を描く、
実話から生まれた<奇跡>の物語。


幸せへのキセキ

幸せへのキセキ

幸せへのキセキ


■感想
当ブログ2012年度ブログdeビュー大賞第6位作品。

マット・デイモンが父親役を演じているのはちょっと意外だった。
けれどこの人はやっぱりどんな役でもそつなくこなす器用さを持っているなぁと、素直に思える自然な上手さだった。
もしかしたら、ここ最近マットが演じた役柄の中では最高の役だったかもしれない。それぐらいこの作品でのマットは好きになれた。

マットが演じるのは、最愛の妻の死からまだ傷が癒えない悩める父親役。
彼は7歳の娘ロージーは目に入れても痛くないほどの可愛がりようだが、一方で14歳の息子ディランに対しては厳しく接することが多かった。
ディランはたびたび学校で問題を起こす反抗期の少年。絵を描くことがとても好きで、しかしその絵は上手だが暗いイメージのものが多く、ディランの繊細で危うげな心情が伺える。
そんなディランに対しマット演じるベンジャミンは厳しく接しているけれど、その心は本心から息子を愛していて、ディランには傷ついて欲しくないという父親の優しい愛情がはっきりと感じられる。
この親子3人の距離感はとても自然で物語の共感できるポイントをいっそう高めている。

マットの悩める優しい父親役は文句なしに上手い。
どこか寂しげに微笑むその姿は大変に魅力的に感じる。
心の底から子供たちのことを愛していること、そして亡き妻のことを心底愛していたことが、自然な演技(+演出の上手さ)からしっかりと伝わってくる。

子供達も良かった。
ロージーの愛くるしさは映画に明るい華を添えている。予告編でも流れる「動物園付き」と聞いて喜ぶシーンとか、とっても可愛い。
ディランの繊細な息子役も大変に良かった。彼と父親とのドラマはこの映画の一番の見所のひとつだったと思う。
「20秒の勇気」は父から息子へとしっかり伝わっているのが嬉しい。

音楽の使い方も良く、実に心地よく感動している気分を高めてくれます。
見せ場では壮大な音楽を流せば良いのだというような安易な勘違いしている監督さんたちは、この映画でベストな音楽の使い方を学んで欲しいと思えるほどに文句なしに良かった。

演出は全体的にとにかく上手い。その中でも特に上手かったのが、マット=ベンジャミンの亡き妻との思い出に対する演出だろう。
最愛の人を失った寂しさが消えることはおそらくない。けれど悲しみは乗り越えられる。
写真として固定されていた妻の姿が、現在の自分を巻き込んで映像へと変わる演出は、ベンジャミンの心情が変化していく様を見事に表現している。

そして映画のラストシーン。子供達に妻との出会いを語って聞かせるシーン。
こんなにも最高の演出のさせ方があるのかというほどに素敵だった。このシーンはぜひ実際に見て頂きたい。
「現在と過去の見事な時間軸の融合のさせ方」というと少し違うような気がする。おそらくこれはベンジャミンが子供達に聞かせる「現在」の彼の想い出なのだ。辛いからと過去の想い出を封印することと、想い出を誰かに話して聞かせられることは大きく違う。
この想い出の中で、ベンジャミンの問いに対して彼女が答えるひとこと。実はこれ、劇中でベンジャミンが使ったセリフのひとつなんですよ。

寂しさは残る。けどそれを楽しかった想い出へと変えようというベンジャミンの前向きな姿は、観客に爽やかな感動を与えてくれる。

純粋に爽やかに感動できる素敵な作品だった。機会があればぜひご覧になって頂きたい映画です。

■登場人物ちょいメモ
ベンジャミン・ミー(マット・デイモン)
…一家の父親。元冒険コラムニスト。妻を亡くしてから家族、特に息子との関係がギクシャクしてしまい悩める父親に。自分も妻の死から立ち直れていない。
そんな生活を心機一転させるため新居の購入を決意、見つけた理想の家は動物園付きだった。

ディラン・ミー(コリン・フォード)
…14歳の息子。絵を描くの好きでよく絵を描いているがそのどれもがどこか暗い印象の絵。学校でも度々問題を起こす。
そんなディランに対し、ベンジャミンは厳しく接していく。ディランは次第に父は「母親ではなく自分=僕が死ねばよかった」と思っている、「自分は愛されていない」という思いに駆られていく。

ロージー・ミー(マギー・エリザベス・ジョーンズ)
…7歳の娘。明るく無邪気。けれど母親の死の影響は強くどこか元気がない。
ベンジャミンが周囲の反対を押し切り動物園付きの家を購入するきっかけとなったのが、そんなロージーの喜ぶ姿だった。

キャサリン・ミー(ステファニー・ショスタク)
…ベンジャミンの亡き最愛の妻。冒険コラムニストという無茶な仕事をしているベンジャミンを支えるしっかり者の母親だった。

ダンカン・ミー(トーマス・ヘイデン・チャーチ)
…ベンジャミンの兄。正直な印象としてダメな人っぽい印象しか残ってないのだけど。
ベンジャミンにしたアドバイスは「動物園は買うな」、「男なら女にアタックだ」「俺も(動物園で)働くぜ」だ。(記憶に齟齬あるかも)

ケリー・フォスター(スカーレット・ヨハンソン)
…動物園の飼育係のリーダー的存在で、勝ち気でしっかり者の女性。考え方は意外と現実的。
新しいオーナーのベンジャミンに対して全く期待をしていなかったが(酷い…)、誠実で純粋、責任感もあるベンジャミンに少しずつ惹かれていく。

ロビン・ジョーンズ(パトリック・フュジット)
…肩にサルを載せてる飼育係。可もなく不可もない職員だが、動物に対する知識は深いのかも。

ピーター・マクレディ(アンガス・マクファーデン)
…年長の飼育員。動物園の画期的な柵の考案者。動物園を閉園へ追いやったウォルターに対する憎しみはひたすら強い。性格は頑固者。

ロンダ(カーラ・ギャロ)
…経理係?
「ボスは財産が尽き動物園を安価で売りに出すわ」と言いまわってた人。そのせいで職員達の不安を大いに煽る。
けど自分たちが路頭に迷うかどうかの瀬戸際なので仕方ない事情だったとは言える。

リリー(エル・ファニング)
…13歳。最年少の飼育員。労働法に引っかかるため実質アルバイト扱い。都会っ子のディランに惹かれていく。
演じていたのがまさかのエル・ファニング。他作では主役を張る天才子役がけっこうな脇役だぞ。

ウォルター・フェリス(ジョン・マイケル・ヒギンズ)
…農務省の検査員。かつてこの動物園を閉園へと追いやった、唯一の悪役とも思える人物だが……。
敷地面積の測り方、独特すぎ。何?あのアイテム。

Mr.スティーブンス(J・B・スムーヴ)
…不動産の営業の人。不動産業界デビューの初日にベンジャミンに動物園付き物件を売る。
動物園なんて厄介なものが付いてるしこんな物件売れないだろうな。
…え、買うって!? 本当に買うんですか? …本当にいいの?
ラッキーな人。

レジ係(キム・ホイットリー)
…かつての動物園のファン。動物園の開園初日7月7日に必ず来ると言ってくれた人。
人物紹介でなぜ取り上げるのかというほど超脇役だけど不思議と印象に残ったので。

■予告編


映画データ 
題名 幸せへのキセキ 
製作年/製作国 2011年/アメリカ 
ジャンル ドラマ/ファミリー 
監督 キャメロン・クロウ 
出演者 マット・デイモン
スカーレット・ヨハンソン
トーマス・ヘイデン・チャーチ
パトリック・フュジット
エル・ファニング
ジョン・マイケル・ヒギンズ
コリン・フォード
マギー・エリザベス・ジョーンズ
アンガス・マクファーデン
カーラ・ギャロ
J・B・スムーヴ
ステファニー・ショスタク
マイケル・ペインズ
キム・ホイットリー
トッド・スタントン
ピーター・リーガート
ロベルト・モンテシーノス
デシー・リディック、他 
メモ・特記 実話をもとにした映画
原作:ベンジャミン・ミー 
おすすめ度★★★★☆
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+幸せへのキセキ - goo 映画

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