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今回の記事は『グラン・トリノ』(2008年、監督:クリント・イーストウッド)です。
クリント監督が主演と監督を務めた映画で間違いなく名作です。
クリント監督の美学がぎっしりと詰まっています!
こんなにも静かで優しくて悲しいラストはクリント監督だから出せたような気がします。
■内容紹介 ※goo映画より
朝鮮戦争の帰還兵ウォルト・コワルスキーはフォード社を退職し、妻も亡くなりマンネリ化した生活を送っている。
彼の妻はウォルトに懺悔することを望んでいたが、頑固な彼は牧師の勧めも断る。
そんな時、近所のアジア系移民のギャングがウォルトの隣に住むおとなしい少年タオにウォルトが所有する1972年製グラン・トリノを盗ませようとする。
タオに銃を向けるウォルトだが、この出会いがこの二人のこれからの人生を変えていく…。
俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。
少年は知らなかった、人生の始め方を。


■感想
クリント監督の映画というと、超重いイメージが僕にはあった。
もちろんこの『グラン・トリノ』も後半のストーリーは重めです。
けれど、この映画の重さは他の映画とは少し意味合いが違う。
重いけれど優しいんです。この映画は。
『グラン・トリノ』でクリント監督が演じるのはウォルトという偏屈で気難しい老人です。
彼はその性格から家族からも避けられ、いっそうひねくれ心を閉ざしていく。
そんな時に、ウォルトは隣に住むアジア系移民の一家をある事件から守る。
それ以降、その一家はウォルトに恩を感じ、度々関わってくるようになり…。
序盤の物語はだいたいこんな感じで始まります。
ウォルトにとってはアジア系一家の習慣は奇妙なもので、最初は戸惑いを感じています。
何てったって、たまたま一度助けただけなのに(本人にとっては助けようと思ってやったことではない)、その一家は度々いろんなものをウォルトに持って来るようになる。
食べ物だったり花だったりを勝手に玄関に置いていく。
昔は日本にもあった、美味しいものが手に入ったからお隣さんにもあげよう。
みたいな感覚なのかもしれない。
それがウォルトにとっては奇妙に思えて戸惑っています。
そのやり取りが何だかすごくほほ笑ましい。
固く心を閉ざしていた男の心が、その一家との交流で少しずつ溶けていく。
そのドラマが、ユーモアを交えつつも温かく描かれていて、観ていてすごく優しい気持ちになれます。
ウォルトを強引に連れ出す役を買っているのは、その一家の姉さんで、ウォルトの心を開かせるきっかけを与えているのは間違いなく彼女です。
意外なことにタオとの交流は中盤以降なんですよ。
ウォルトとタオとの交流もやっぱりほほ笑ましい。
最初はとにかく気弱なタオですが、ウォルトに男の生き方というものを教えられ、少しずつたくましくなっていきます。
この辺りにクリント監督の男の美学というものが詰め込まれているような気がします。
クリント監督が演じるウォルトがとにかく渋くてかっこいいです。
最初は怖い感じだったウォルトもこの頃にはお茶目な一面も出るようになっていて渋くも可愛い。
そして、衝撃の終盤。
何が起こるかは此処には書きません。
これはぜひ映画を実際に見てもらいたい。
ここでウォルトは、真の強さというものをタオに教えている。
このラストはとにかく衝撃的なのに静かで、
悲しいのにすごく優しい。
こんな気持ちになれる映画はそうは無い。
こういう映画こそ名画なんだと僕は思います。
エンドロールに流れる歌も、優しく心に響いて、何ともいえない気持ちになった。
この映画を持って俳優業は引退することを宣言したクリント監督。
『グラン・トリノ』のクリント監督の演技は、魂を懸けた演技というのも納得の素晴らしいものでした。
とにかく観ているものの心を惹きつけて離さない。
そんなクリント監督を、スクリーンで観れなくなってしまうのはやっぱり寂しいなぁ。
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題名 | グラン・トリノ |
製作年/製作国 | 2008年/アメリカ |
ジャンル | ドラマ |
監督 | クリント・イーストウッド |
出演者 | クリント・イーストウッド ビー・ヴァン アーニー・ハー クリストファー・カーリー コリー・ハードリクト ブライアン・ヘイリー ブライアン・ホウ ジェラルディン・ヒューズ ドリーマ・ウォーカー ジョン・キャロル・リンチ スコット・リーヴス ブルック・チア・タオ、他 |
メモ・特記 | 特になし |
おすすめ度 | ★★★★★ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒グラン・トリノ - goo 映画
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