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七色いんこ / 手塚治虫

2005-11-23 18:22:50 | 読書
今回のレビューは手塚治虫の漫画、『七色いんこ』です。
『ブラック・ジャック』がTVで連続アニメ化されたりなどして
最近、手塚作品が脚光を浴びてます。
『七色いんこ』はそれほど有名な漫画じゃないのかもしれないけど
僕が幾つか読んだ手塚漫画の中でもかなり好きな漫画のひとつです。

まずは内容紹介。
代役専門の天才役者、七色いんこ。
彼はどんな代役でも見事に演じてみせることができる天才であった。
しかし彼は舞台を観に来た金持ちの客から何かを盗み報酬とする泥棒でもあった。
天才役者にして天才的な泥棒・七色いんこ。
いんこを捕まえる任を受けた警視庁屈指の女刑事・千里刑事(鳥が苦手)。
いんこに負けない演技力を持った犬、玉サブローなど
個性的なキャラクターたちが魅せる異色犯罪活劇だ。

この漫画の面白いところのひとつに
各話のタイトルを実際にある演劇の題目の名前を付けてることがあります。
例えば第1巻に収録されている話は
「ハムレット」
「どん底」
「人形の家」
   ・
   ・ (途中略)
   ・
「誤解」
と入ってますが、全て実際にある演劇です。
漫画中にその演劇の説明とかもされているので
読むと演劇の勉強にもなる(かもしれない)お得な漫画です。

それから主人公・七色いんこの魅力のでかさもこの漫画の面白い点です。
この漫画を読んだことない人が七色いんこについて聞くと
天才役者・天才泥棒という説明から七色いんこって
クールでかっこいい
という想像をするかもしれない。
でも七色いんこの性格はかるい!
お調子者
っていう印象が強い。
思いつめた感がない明るい主人公です。
「検察官」(第1巻)の話でギャングたち?をあごで使い
言いがかりをつけてきたら
「うるせーッ」
と吐き捨てるこの性格、最高に好きです。
時々、泥棒として非情にふるまおうとするが非情になりきれない優しいところも好き。
いつもは軽い性格でお調子者のいんこが時々見せる真剣な一面、優しさがすごくかっこよく見えます。
この記事の画像に使った第5巻の最終話「終幕」(とんでもなく長い)で明かされる
七色いんこ誕生の秘密、ものすごく衝撃的です。
子供時代に嫌いな同級生に対して
あんなにも陰険で手の込んだ仕返しをしていた彼が
よくぞこんなに明るく軽いヤツになったもんだ。

笑えて、痛快で、時々しんみりもくるこの『七色いんこ』
おススメです。


『七色いんこ』 / 手塚治虫 / 秋田文庫(全5巻)
ジャンル:漫画
メモ:2000年に稲垣吾郎主演で舞台化
おすすめ度:★★★★
は最大で5つです)


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