
今回の記事は『主人公は僕だった』(2006年、監督:マーク・フォースター)です。
あなたの人生がある作家によって描き出された小説だったならば…、そしてその小説の筋ではあなたは死ぬことになっていたのならば…。
みたいな感じの映画です。
コメディテイストを交えつつも文学的な印象も受けるこの映画(映画で小説を読んだような気持ちになるかも?)、なかなか良かったです。
■内容紹介
国税庁の会計検査官ハロルド・クリックは、規則正しく単調な毎日を送る平凡な男だった。
ところがある朝、その"声"は突然聞こえてきた。ハロルドがいつも通りに回数を数えながら歯を磨いている時に。
これはハロルド・クリックの物語。
彼はいつもひとりぼっちで、楽しいことが何もなくても――
彼はただ歯磨きの回数を数えた。
「…数えたって何だよ」
その声は正確にハロルドの行動や感情を言い当てていた。
"声"はハロルドの人生を物語っているのだ。
ハロルドは次第に困惑し、苛立ってゆく。
彼は仕事に集中できない。
彼はイラだって…
「黙れ!」
…無駄な悪態をついた。
「あんたの声のせいだ。ほっといてくれ!」
自分の人生を描き出す"声"は止まらない。
そして"声"は衝撃的なフレーズを言い放った。
そして彼は――
間もなく死ぬことになるとは知るよしもなかった。
「何だって? 死ぬだって?」
――死にたくはない。
作者を見つけ出さなければ。
これは小説じゃない。僕の人生なんだ!


■感想
純粋にストーリー(脚本)が面白かったです。
平凡な男・ハロルドが自分の人生を生きようと、自分自身を取り戻そうと奮闘する様は観ていて清々しかったです。
映画の進行と共に自分の生きたいように生きようとして、少しずつ変わっていくハロルド。しかし、それこそ作者が描き出すハロルドの姿だった。みたいな、文学的な味わいも深い映画です。
設定もセリフもとてもセンスの良い映画に感じられました。
「主人公のハロルドです」
ハロルドが作者のもとを訪ねる時のセリフなんですが、現実世界ではこんなセリフ言うことはまず無いだろうというこのセリフ。小説と現実が繋がったような不思議な味わいがあって好きです。センスいいな。
登場人物も魅力たっぷりです。
主人公・ハロルド。(まさに主人公・ハロルド。あれ?)
平凡だった彼ですが、自分らしく生きていくことの素晴らしさを教えてくれます。
まさに小説を読んでいて、お気に入りの主人公が具現化したようなキャラです。
作者と会って、小説の結末を知ってからの彼の行動は感動を呼びました。
作者・カレン・アイフル。
孤高というか、飄々《ひょうひょう》としたというか、普通の人とは違った感性を持っているこの人もかなり良さげ。
作中は主人公のハロルドをどのように殺そうかで悩んでいます。(ひぇ~)
突然に自分の書いてる小説の主人公が訪ねてきたりして、さぞ驚いたことでしょうね。
一見、冷たいような彼女ですが、最後の最後でみせた行動はなかなかすごい。
↓カッコ内空白はネタバレ反転注意!ネタバレ度・強!
(「自分の死を受け入れ、自ら死んでいくような人間を殺すことはできない」
というセリフは心に突き刺さった。最終的に自分の傑作と引き換えにしてまで、結末を変えてくれた彼女に人間らしさを感じました。)
映画で小説を読んだ、そんな気持ちになる味わい深い映画でした。
なにげに名作だと思います。
映画データ | |
---|---|
題名 | 主人公は僕だった |
製作年/製作国 | 2006年/アメリカ |
ジャンル | ドラマ/コメディー/ファンタジー/文学 |
監督 | マーク・フォースター |
出演者 | ウィル・フェレル エマ・トンプソン ダスティン・ホフマン マギー・ギレンホール クイーン・ラティファ リンダ・ハント トニー・ヘイル クリスティン・チェノウェス トム・ハルス、他 |
メモ・特記 | アメリカ脚本家組合(WGA)賞:オリジナル脚本賞 受賞作 |
おすすめ度 | ★★★★ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese/English)
※英版にはPoster download とかがあり、日版より少し充実してます。
+⇒主人公は僕だった - goo 映画

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エマ・トンプソンの存在感が、主人公(?)を完全に超えていましたね。
各キャラクターも良く描けていて、素敵な作品でした。
コメディーだけど、この映画、ストーリーがなかなか魅せてくれますよね。
斬新で面白い映画でした。